読モに密着2000時間──KLOOZ×佐藤さき×及川佑介 MV座談会!

読モに密着2000時間──KLOOZ×佐藤さき×及川佑介 MV座談会!
読モに密着2000時間──KLOOZ×佐藤さき×及川佑介 MV座談会!

左から佐藤さきさん、KLOOZさん、及川佑介さん

2010年から2012年にかけて、音楽と映像を組み合わせた作品「KLOOZ Movie Day」を展開し、3Dを取り入れた作品など、低予算でありながら新たな要素を取り入れた数々の実験的な映像作品をネット上で発表してきたラッパー・KLOOZさん。

2013年11月、そんなKLOOZさんが期待の若手クリエイター・及川佑介さんと共に満を持して送り出す新たな映像企画「3ヶ月連続映像配信企画」が始動した。監修を大月壮さんが務め、毎回「恋愛」に関する、あるテーマに基づいたMVと楽曲のプロデューサーのみ発表されてきた同企画。

11月にSeihoさんプロデュースの「Find You」、12月にgrooveman Spotさんプロデュースによる「You Are…」、そして1月には、同じくgrooveman Spotさんによる「Lack of Communication」のMVがYouTubeで公開。

さらにその3作のMVは一般的なMVとは異なり、雑誌『Zipper』の専属モデルにして、圧倒的な存在感を放つモデルの佐藤さきさんに密着し続けたドキュメンタリーMVになっており、KLOOZ×佐藤さき×及川佑介という異色のコラボMVに、公開直後から様々な方面から大きな注目を浴びていた。

そして3作目の「Lack of Communication」のMV公開と同時に、2月12日(水)に、前述の3曲を収録した、「恋愛」をコンセプトにしたミニアルバム『SEASONS』がリリースされることが明らかになった。全8曲が収録されており、すべてを通して聴くことで、まるで1つのドラマのようなストーリーになっていることも明らかに。

左から佐藤さきさん、KLOOZさん、及川佑介さん

「KAI-YOU.net」編集部では、そんな今話題のKLOOZさん、佐藤さきさん、及川佑介さんの3人に集まってもらい、今回の「3ヶ月連続映像配信企画」についての座談会を実施! なぜ今回の企画が始動したのか、なぜ佐藤さきさんに密着したのか、映像で伝えたかった思いや撮影の裏話、さらにはコンセプトミニアルバム『SEASONS』についてまで、非常に盛りだくさんのお話をうかがってきた。(以下、佐藤、及川)

(取材・構成/よしだゆうや)
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なぜドキュメンタリーMVになったのか、なぜ佐藤さきなのか

──2013年11月から始動した話題の「3ヶ月連続映像配信企画」ですが、そもそもなぜMVをドキュメンタリーという形で制作されようと思ったのでしょうか?

KLOOZ もともと、出会いからのストーリーを描いた「恋愛」というコンセプトはしっかりと決まっていて、MVでは恋愛のアップダウンのような喜怒哀楽の感情を表現したいと思ってたんですよ。「恋愛」がテーマなだけあって、エモい感じのMVがいいなと思っていて、それで及川さんと相談しているうちにドキュメンタリーのような作品が出来ればいいねって話になりました。

及川 そうですね。アルバム全体がストーリーになっているので、MVも1つ1つ独立した作品になるよりも、連動して続くような作品のほうが合うかな、と思いました。

──KLOOZさんの映像作品というと、いつも大月壮さんとタッグを組んでやられているイメージがありますが、今回はなぜ及川さんをディレクターに選ばれたのでしょうか?

KLOOZ 及川さんはもともと大月さんのアシスタントをやっていて、及川さんが編集したAAAの日高光啓くんのMVではじめて知りました。そこから及川さんのTumblrでいろいろ作品を見ているうちに、今回の映像企画で表現したいエモい感じがすごく当てはまると思ってお願いしました。

──ドキュメンタリーの対象に佐藤さんを選ばれたのはなぜですか?

KLOOZ 『Zipper』をたくさん読んでたら、もうさっちょ(佐藤さんのDJ活動での名義)しかいない! と思って(笑)。

佐藤 え、『Zipper』で選ばれたんですか!?

及川 ドキュメンタリーだから日常が面白いほうが絶対いいと思って、『Zipper』だけじゃなくて、色んなモデルの子のブログとかTwitterを見てて、その中でYouTubeに投稿されている番組『HARAJUKU KAWAii!! TV』にさっちょが中田クルミちゃんと出演してる動画を見て、そのときのさっちょのなんとも言えないしぐさや挙動が面白くて(笑)。

KLOOZ そこはもう完全に及川さんの個人的な意見です(笑)。

佐藤 あはは(笑)。何か面白いですね(笑)。

及川 要は演技じゃない、ほかの女の子が出演してるMVにはないような、素の可愛さや良さがでれば今回の企画は成功するんじゃないかと思って、さっちょならきっと面白そうなものが撮れるだろうなぁと思いました。

KLOOZ 本当に独特なオーラを纏っているので、最初にお会いした時に、「あ、こういうことか」というのがぼくにも直感的にわかりましたね。

この人どこまで撮るんだろう…

──11月に公開された最初の作品は「Find You」でしたが、密着撮影は具体的にどのような流れではじまったのでしょうか?

佐藤さき 『Zipper』の撮影の現場で顔合わせだと思って及川さんに挨拶したら、「今日から撮影します」って言われて、いきなりはじまったんですよ! マネージャーさんからは密着されるなんて話は聞いてなくて、初日から及川さんに「家の中を撮影させて下さい」って言われたりして、「もうどうしよう」と思って、最初はすごく怖かったんですよ(笑)。

KLOOZ え、聞いてなかったの!? そりゃ「何でこの人撮ってるの?」ってなるよね(笑)。

及川 話は通ってるものだと思ってたら本人に伝わってなくておれも困った(笑)。

佐藤 その日からずっとよくわからないまま撮影されて、「この人ずっと撮ってる」、「どこまでついてくるんだろう」と思ってました(笑)。

KLOOZ たしかに「Find You」でさっちょが怯えてる感じもでてたんですよ(笑)。あのフードを被って壁に寄りかかってるシーンなんか、「またあの人撮ってる」みたいな感じがしてました(笑)。
KLOOZ "Find You (Prod. by Seiho)"
佐藤 でも「Find You」のテーマが「チャンス=出会い」で、本当に私と及川さんもそこではじめて出会ったので、結果的によかったですね。

──いきなり密着された時はどう思いましたか?

佐藤 密着されることなんて今までになかったので、抵抗がありました(笑)。マネージャーさんに「どういうことですか?」って聞いたりもして、寝顔とか仕事の合間のメイクしてる時も撮られてて、最初は「はぁ…」ってなってました(笑)。 ──最初の「Find You」の密着撮影の時点では、事前に3人でお会いされたことはなくて、さらに言えば佐藤さんは何の撮影かもわかってなかったんですね。どのくらいのタイミングで3人でお会いになられたんでしょうか?

及川 さすがにさっちょに企画の説明の機会を設けた方がいいだろうって話になって、撮影開始から1ヶ月後くらいに、ようやく顔合わせも含めた打ち合わせを行いました。

佐藤 そこではじめて「恋愛」をコンセプトにしたドキュメンタリーMVとして密着されてるんだって知りました(笑)。 ──どのくらいの期間を密着されたんですか?

及川 大体3ヶ月くらいは密着しました。

佐藤 ずっと撮ってましたよね(笑)。

KLOOZ さっちょのマネージャーさんに、撮りすぎてちょっと控えて欲しいって言われたくらいですもんね(笑)。

及川 ドキュメントだからどういうものが撮れるのかが全然わからなくて、おれもはっきりした完成図が見えてない状態だったんです。だから保証として撮りまくってないと怖いので、「Find You」の時は公開する前日まで撮影してて、そこから急いで編集しました。

【次のページ】MVに仕掛けられた遊び
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