2014年
MVは漫画『クローズ』的な学園抗争モノを意識してつくられていますが、爽やかな印象があるSALUさんが、キレたらまじで怖そうなキャラクターを演じきっています。というかみんな演技が上手い。何度でも見られる秀逸なMVと楽曲です。
幻想的なトラックながら力強くラップするさまは、瞬く間に普段ラップを聴かない人にも届き、多くのメディアで取り上げられるなどして話題となりました。「My Name is GOMESS 人間じゃねえ」と歌う彼から、確かに人間の枠に収まらない迫力を感じます。
流行の兆しがあった軟弱な文科系女子ラッパーとは真逆のスタイルですが、本楽曲をきっかけに一気に知名度が広がりました。ちなみに筆者はAYA a.k.a.PANDAさんが大好きです。
超リアルハードコアな漢さんが、日本のヒップホップにおける多様性を明確に肯定している曲だという点だけでも感動しました。内容はかなり黒いけど漢さんのラップは意外にメロディアスで聞きやすいです。
2015年
中でも「Daijoubu」はシンプルすぎるhook「大丈夫じゃねえ けど大丈夫かも」がライブで非常に盛り上がる名曲。今一番現場が盛り上がっているクルーではないでしょうか。メンバーのJunkman(現・JNKMN)さんをはじめ、アパレルブランドを展開している人もいて、みんなお洒落です。東京っぽい。
ライブで「BUSSIN!」って叫ぶとめっちゃ気持ち良いです。
年の差が17歳離れた世代違いのラップユニットだが、「それな!」などの若者言葉や「ポケベル」などの昔流行ったツールに言及した楽しさ満載のリリックを生み出しています。EAST END×YURIによる往年の名曲「DA.YO.NE」を意識している点もヒップホップ。
MVの終わりには加山雄三さん自身も登場し、ラップという歌唱法にかなり興味を持っている様子がうかがえます。
2016年
ストリートでのビジネスや生い立ちの不遇、挫折と成功を歌うラップとは一線を画し、学校生活を中心とした青春像を歌う彼らのラップは日本ヒップホップ史においても稀有。2名のメンバーの脱退を経験しつつも、今後の可能性は計り知れません。
UMB3大会連続優勝という偉業を成し遂げたR-指定さんによる他ラッパーたちのフロウの模倣までもdisっぽく聞こえてしまいますが、あくまで楽曲の内容は本心だそうです。YouTubeのコメント欄までも「このラップはあのラッパーの真似だ」といった話題で盛り上がっており、面白く計算された楽曲になっています。
まだまだ歴史が浅い音楽分野である日本語ラップ
他にも挙げたい曲はたくさんありますが、最近ヒップホップ聴いてないな、どんな曲があるのかな、と探すときの参考になればと思います。「人間発電所」や「証言」、もしくは「Grateful days」といった往年の名曲ばかりがクローズアップされてしまいがちな日本語ラップですが、現在のシーンもとてつもなく高度に進化し続けています。
まだまだロックやポップスに比べると日本に根付いてからの歴史は短い音楽ジャンルですが、だからこそ実験的かつ斬新な楽曲が自由に制作され、リスナーもそれを自然と受け入れているのが日本語ラップの最も魅力的な部分だと思っています。
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日夜生み出される現象や事象を“ポップなまとめ記事”として紹介する人気連載。 いま注目を集めるジャンル、気になったときにチェックしたいトレンド──。 KAI-YOUでは「POP」を軸に、さまざまな対象をまとめて紹介していきます。
2件のコメント
編集部
人間交差点のヨコハマシカ最高だった〜
米村 智水
他にもおすすめな曲ありましたらコメント欄で教えてほしいです〜〜