ピクシブ、VRChatユーザー4000人超を調査 浮かび上がる課題と参入障壁

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浅田カズラ
ピクシブ、VRChatユーザー4000人超を調査 浮かび上がる課題と参入障壁
ピクシブ、VRChatユーザー4000人超を調査 浮かび上がる課題と参入障壁

ピクシブ実施した、VRChat新規ユーザーの動向調査/画像はレポートより引用

ピクシブ株式会社 3Dビジネス室が、8月28日に「VRChatユーザー4000人アンケートレポート:新規ユーザーの動向とインサイト」と題したレポートを公開した。

本レポートは、2025年4月にソーシャルVR・VRChatのユーザーを対象として実施したアンケートキャンペーンの結果を報告したもの。

4000人以上の回答を分析し、新規ユーザーの利用頻度やプレイ歴を紹介。プレイを始めるまでに感じていた障壁や、実際に始めてから困ったことなどについて考察されている。

VRChat向け3Dアイテム販売の中心地・BOOTH

ピクシブ株式会社は、イラスト投稿プラットフォーム・pixivだけでなく、クリエイターEC・BOOTHも運営している。

BOOTHはもともと同人誌・同人グッズなどの流通が主流だったが、近年はVRChat向けの3Dモデル販売のマーケットとしても浸透。2024年の3Dモデルカテゴリの取扱高は約58億円に到達し、著しい成長を見せている。

この活況を受けて、BOOTH本体もVRChat向けの施策を幅広く展開。公式ワールドを公開しているほか、YouTube上では最新の3Dモデルを紹介する動画を公開。直近ではストリーマー・k4senさんとのコラボ配信を企画している。

プレイ歴1年未満が半数 65%のユーザーがほぼ毎日ログイン

今回発表されたレポートでは、4000人以上が回答したアンケートの結果が発表されている。

まず注目すべきは、VRChatの利用頻度とプレイ歴。

「ほぼ毎日」遊んでいると回答した人が65.5%、「週に数回」は23%存在。約8割の人が、一週間に複数回VRChatへログインしていることになる。

VRChatの利用頻度について/画像はレポートより引用

一方で、プレイ歴は比較的分散。最も比率として多いのは、28.2%「半年~1年未満」。次点が21%の「1年~3年未満」だ。また、1年未満のユーザーは51.2%と、ほぼ半数を占めている。

VRChatプレイ歴について/画像はレポートより引用

このうち「半年~1年未満」層は、時期的には「SANRIO Virtual Festival 2024」や「META=KNOT 2024」といった大型イベントの開催、なによりストリーマーのスタンミ(スタンミじゃぱん)さんがVRChat配信を始めた時期と重なる。

そして、新旧のユーザーがバランスよく集まったアンケート調査の中で、ほぼ毎日遊んでいる人が65.5%を占めているという結果からは、新規層もかなりの数がVRChatに“定住”していることが推測される。

始める前も後も、魅力と課題はコミュニケーションにあり?

回答者のプレイ動向に続いて、「コミュニケーション」「VR機器・PCスペック」「情報収集」に関する調査結果も紹介。

VRChatにおけるコミュニケーションについての声/画像はレポートより引用

3540人が「様々な人とのコミュニケーション」をVRChatの魅力と回答しつつも、始める前後に関わらず「どのように人とコミュニケーションを取るべきか」に不安や課題感を抱える人が少なくない。

一方で、「VRChatを知ったきっかけ」や「VRChatを始めようと思った決め手」は「友人や知人」を挙げる人が首位とのこと。様々な面で、周囲の人間の存在が大きなカギを握るのは間違いなさそうだ。

機材と専門知識、そして自由度が参入障壁

「VR機器・PCスペック」に関する調査では、VR機器を未所持であることや、高価だと感じたこと、PCのスペックが足りないこと、VR機器が必須と思い込んでいたことが、参入障壁として浮き彫りになっている。

VR機器・PCスペックについての声/画像はレポートより引用

また、すでにプレイしている人においても、VR機器やPCスペックのハードルの高さを参入障壁だと感じるているという意見が多くを占める。

また、「情報収集」に関する調査では、特に「アバターのアップロードや改変方法がわからなかった」が1684票、「専門用語が多くて理解できなかった」が1379票と、VRChat特有の情報につまづく傾向が見られる。

VRChatに関する情報収集についての声/画像はレポートより引用

VRChatでは、自作アバターや、カスタマイズした市販アバターを使うには、ゲームエンジンのUnityなどで3Dモデルを調整し、専用の開発者向けツールでアップロードする必要がある。

プラットフォーム内で公開されたアバターや、2025年5月に追加されたプラットフォーム内にアバター売買機能こそあるが、“自分らしさ”を打ち出せるアバターを使うにはかなりの情報収集が必要となる。初心者が最初につまづきやすい壁の一つだ。

そして、まだ始めていない理由として「どのようなことができるのかよくわかっていない」が2285票も集まっている。VRChatはユーザー生成コンテンツ文化が根強く、ゆえに自由度が非常に高い。その自由度の高さが、足踏みの原因になっていると推測される。

リアルイベント参加経験は4分の1 求めるのは「友人との交流」

最後に、VRChat関連のリアルイベントについての調査結果も紹介されている。

VRChat関連リアルイベントの参加経験について/画像はレポートより引用

VRChat関連リアルイベントに関する声/画像はレポートより引用

近年、VRChat関連のリアルイベントは数が増えつつある。今回のアンケートでは、全体の4分の1が参加経験があり、半数が参加に関心を寄せている。

そして、参加理由の最多は「VRChatのフレンドや知人との交流、新たな出会いを求めて」(1078票)だ。この回答傾向から、リアルイベントは、いわば巨大なオフ会として機能していると考えられる。

実際、筆者も「VketReal」や「超メタフェス」といったリアルイベントに足を運んでいるが、来場者の中には、買い物以上に一般出展者との会話を楽しむ人が圧倒的に多い。オフラインの場においても、VRChatユーザーの多くはコミュニケーションに魅力を感じているのだろう。

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