「今のクイズには競技性が足りない」QuizKnockエンジニア鶴崎修功、飽くなき挑戦

“早押しクイズはボタンを押せないとつまらない” だからこそ

──アンケートでも好評だったということですが、これまでシーズン1・2と開催してみて、手応えはいかがでしょう?

徳久倫康さん

徳久倫康 初めて早押しクイズをやるという人にたくさん来ていただきましたね。シーズン1のアンケートでは、早押しクイズを全くやったことがない人、ゲームやアプリでしか早押しクイズをやったことがない人、そして普段から早押しクイズをやっている人、それぞれが約1/3の割合になっていました。

先ほどクイズをやる場が増えていると言いましたが、それでも、初心者の人が実際に大会やイベントに出場するのはそれなりにハードルが高いです。とくに1人だと心細いですよね。

「クイズジャム」を開催してみて、興味はあるけど未体験という人がたくさん存在していて、そういう人たちも機会があれば有料でも参加してくれる、ということがわかりました。本当に多くの方に参加いただけて嬉しかったですね。

──誰でも気軽に早押しクイズができるイベントとして、どのような工夫をしていますか?

徳久倫康 早押しクイズにはプレイヤーの適正人数というものがあります。参加人数が多すぎると、1人あたりの押せる問題数はそのぶん減ってしまい、満足度が下がっていきます。

「クイズジャム」では、1回のイベントに最大50人が参加できます。10人1組で5つの組をつくって、早押しクイズに計5セット挑戦していただきます(初挑戦・初心者向けマッチなどでは例外があります)。

その上で、成績に応じて近いレベルの人とマッチングするよう、セットごとに組み分けし直す仕組みです。ただ、参加者が少ない回では、それが上手く機能しないこともありました。こうした経験を踏まえて、お客さんの満足度が上がるように、制度設計は少しずつ調整しています。

そもそも、早押しクイズでは解答権がボタンを押せた1人しか得られないので、言ってしまえば“ボタンを押せないとつまらない”わけです。そのため、近しい実力の人が同じ組になるようなレベル分けが重要になります。

そういった点も踏まえて「クイズジャム」では初心者限定の回も用意しています。

シーズン3では「一般マッチ」「初挑戦マッチ」「初心者マッチ」「グループプラン」の4種類が用意されている

徳久倫康 シーズン1の「初心者マッチ」枠は、用意していた200人分が、すぐに売り切れてしまいました。需要が高いとわかったので、その裾野は今後も広げていきたいと考えています。

また、出題する問題についても、お客さんの反応を見ながら、より多くの人が楽しめるようにシーズン中にも適宜調整をしています。

──なるほど。クイズ初心者でもボタンを押しやすくする工夫がされていると。

徳久倫康 また、第3シーズンから採用された「ジャムはや」では、自身の成績が記録されていき、成績の推移が目に見えるようになっています。

これまでのクイズ界だと、自分でメモする以外で戦歴が残る仕組みというのはあまりありませんでした。自動的に記録が残るのはクイズゲームくらいです。

鶴崎修功さん

鶴崎修功 「ジャムはや」を開発する上での話でいうと、どうしてもオンラインでは通信のラグが発生してしまうんですよね。

早押しクイズは、読み上げられている問題に反応して素早くボタンを押すという都合上、ラグが大きいと、ゲームとしての競技性や参加者のストレスにつながってしまいます。

オンラインクイズアプリの開発は今回が初めてだったので、早押しの判定調整などには苦労しました……。オンラインクイズアプリに詳しい人にも助けていただきながら、最終的にはクオリティの高いものができたと思っています。

僕が知るかぎり、既存のオンラインクイズアプリは早押し機能が中心で、問題を読み上げる「問読み」や読んだ問題を表示するといった機能はありませんでした。こうした機能を盛り込むことが、自社オリジナルのシステムを開発した意図でもあります。

徳久倫康 「ジャムはや」には、問読みの音声を事前に登録できる機能があります。トラブルが発生してしまった回もあり、現時点では調整を続けているところなのですが(外部リンク)、これがうまく機能するようになると、参加者側の満足度も上がるし、イベント運営も効率化できます。

鶴崎修功 録音した音声を使うと、クオリティの高い問読みを参加者全員に提供できるようになります。一律で同じの問読みが使えるということは、早押しクイズにおける競技性・公平性の担保にもつながります。

競技性・公平性の追求と省力化というのが、「ジャムはや」やその前身である「Hayaoshi」開発の一番の動機でしたね。

──競技性・公平性の担保、ですか?

鶴崎修功 そもそも、僕が「Megalomania Tokyo」を開催するようになった理由は、今の競技クイズの姿に違和感を覚えたから。というのも、今の競技クイズには競技性が足りないように感じているんです

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