なぜ日本の若き天才棋士は移籍を選んだのか 韓国の囲碁事情を解説

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なぜ日本の若き天才棋士は移籍を選んだのか 韓国の囲碁事情を解説

仲邑菫女流棋聖/第27期女流棋聖戦特設サイトより

将棋界の若き天才といえば藤井聡太竜王・名人だが、囲碁界にも天才少女がいることをご存知だろうか。

2019年、わずか10歳で当時最年少でプロ棋士になり、2023年に女流棋聖戦で優勝して史上最年少のタイトルホルダーとなった、仲邑菫(なかむらすみれ)女流棋聖である。

2022年には「扇興杯女流囲碁最強戦」で準優勝し、国際棋戦の「三星火災杯」に出場。2023年には中国の女子甲組リーグと韓国の女子囲碁リーグに外国人選手として参加するなど、新鋭として世界的にも注目されるような活躍を見せてきた彼女。

そんな仲邑菫女流棋聖が韓国棋院に移籍することが2023年9月に報じられ、世界の囲碁界がざわついた。

韓国のプロ囲碁界は移籍を歓迎するムード

2023年10月、仲邑菫女流棋聖は記者会見を開催。韓国棋院への移籍を決めた理由について「韓国は国際戦を重視していて、対局数も多くて常に緊張感があるので、強くなることにつながると思いました」と述べた。

今後の目標は「韓国囲碁リーグに出場」することだという。
韓国棋院移籍決定を受けた仲邑菫女流棋聖の会見
日本棋院から海外棋院へ移籍する事例は今回が初めてだが、韓国の囲碁界でも仲邑菫女流棋聖はスターであり、移籍を歓迎する雰囲気だ。

プロ入り前から韓国の女流棋士ランキング1位のチェ・ジョン九段とイベント対局が行われたり、2024年初頭には韓国で行われたイベント大会「日中韓囲碁天才少女三国志」で日本代表として呼ばれたりした。
「日中韓囲碁天才少女三国志」仲邑菫女流棋聖の対局
それでは、仲邑菫女流棋聖が移籍する韓国のプロ囲碁界はどんなところなのだろうか

韓国のプロ囲碁界はどんなところ?

韓国出身の留学生である私の目から見ると、韓国囲碁界の環境は決して日本より豊かとは言えない

日本では7大棋戦(棋聖、名人、王座、天元、本因坊、碁聖、十段)の権威が健在であるに比べて、韓国では30回以上続く現行棋戦が2つ(名人、KBS)しかない。2024年に入っては政府からの支援給付額も大々的に減少し、業界全般に打撃が及んでいる。

それでも韓国行きのメリットがあるとすれば、まず国際大会が開催されることがあげられる(日本では現在、「グロービス杯」「SENKO CUP」のように年齢や性別などで出場枠を限定した国際大会しか行われていない)。

その分、世界棋戦で韓国勢の競争力も強い。仲邑菫女流棋聖が成長するために相応しい環境だと判断するのも頷ける。

そして、リーグ戦が活発に行われるのも特徴だ。全棋士対象の囲碁リーグ、女流対象の女子囲碁リーグ、シニア対象レジェンドリーグの三大リーグが年中開催される。

近年は、各リーグに外国人選手制度が導入されている。日本の棋士だと、女子囲碁リーグに仲邑菫女流棋聖と藤沢里菜女流本因坊が外国人選手として参加した。

レジェンドリーグには、36のタイトルホルダーで世界大会優勝者の依田紀基九段と、中根直行九段が参加。中根直行九段は2023年シーズンのMVPまでも受賞した。

世界的な選手がしのぎを削る「囲碁リーグ」

仲邑菫女流棋聖が目標として掲げた囲碁リーグは、韓国最大規模のチーム棋戦である。

仲邑菫女流棋聖が対戦したい棋士に挙げたパク・ジョンファン九段や、現時点で世界一と言われるシン・ジンソ九段、(今期は不参加だったが)前述したチェ・ジョン九段など、世界的な選手たちが毎週集まっておよそ半年間競い合って優勝を決める。

スピード感のある早碁で、2022年からはフィッシャー方式(※)を導入してより緊迫感が増した。主に長考中心の中国甲組リーグとはまた違う味が楽しめる。

(※)フィッシャー方式:チェス競技で生まれた制限時間ルール。基本タイムアウト方式で、1手着手につき一定の時間が増える(囲碁リーグの場合は20秒)。

また、韓国には囲碁専門のTVチャンネルが2つもあり、ほとんどのプロ棋戦と国際大会がプロの解説付きで生中継されている。他に、女流や新鋭棋士を対象にした棋戦が多く設けられていることも、仲邑菫女流棋聖にとっては良いことかもしれない。

仲邑菫女流棋聖の日本最後の防衛戦

2月5日(月)、第27期ドコモ杯女流棋聖戦の決勝戦第3局(仲邑菫女流棋聖 対 上野梨沙二段)が日本棋院東京本院で行われる。
【無料LIVE 配信】第27期ドコモ杯女流棋聖戦 挑戦手合三番勝負 第3局 仲邑菫女流棋聖 vs 上野梨紗二段
仲邑菫女流棋聖にとっては、日本棋院所属棋士として最後のタイトル防衛戦となる。そして2024年3月以降、韓国棋院所属の客員棋士として活動をはじめる予定だ。

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1件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:9591)

もう日本の棋戦に参加できないの。

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