KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023大賞「コメカミワークス」インタビュー

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KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023大賞「コメカミワークス」インタビュー
KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023大賞「コメカミワークス」インタビュー

「KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023」大賞インタビュー

ポップポータルメディア・KAI-YOU.net運営開始10周年を記念し開催された「KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023」。

募集するのは“ポップ”な作品、ジャンルや形式は最大10分程度で楽しめるものであれば一切不問。ゲスト審査員として、漫画原作者の赤坂アカさん、バーチャルYouTuber(VTuber)/ラッパーのオシャレになりたい!ピーナッツくんQuizKnock河村拓哉さん、イラストレーターの寺田てらさん、コスプレイヤー/モデル/女優の桃月なしこさんが参加。

「次の時代のポップカルチャーを切り拓く作品賞」と銘打たれた本企画には、300を超える応募が殺到した。

そんなKAI-YOU初のクリエイティブアワードで、栄えある大賞を受賞した作品が「コメカミマスター」である。
KAI-YOU大賞を受賞したコメカミワークス「コメカミマスター」
ごく普通の日常空間の中、奇妙な格好をした青年が、飛んでくるボールを平然とこめかみでキャッチする──なんとも不思議な映像作品群だ。

今回KAI-YOU.netでは、本作を制作したコメカミワークスで主演・監督をつとめる長岡岳大さんと演出をつとめる濱口啓介さんの2人に、受賞記念インタビューを行った。コメカミワークスとは、一体何者なのだろうか?

取材・文:須賀原みち 企画・編集:都築陵佑 写真:鈴木一平

目次

映像作品という形のサーカス

──「KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023」の大賞およびゲスト審査委員賞・河村拓哉賞のW受賞おめでとうございます! まずは、自己紹介をお願いします。

(左)演出の濱口啓介さん(右)主演・監督の長岡岳大さん

長岡岳大 「コメカミマスター」主演・監督の長岡岳大です。

普段はジャグリングパフォーマーとして活動しています。ソロ活動しながらもサーカスパフォーマーの谷口界と一緒にサーカスユニット・ホワイトアスパラガスとして、各地の大道芸フェスティバルや芸術祭、海外のサーカスフェスティバルなどに出演させてもらっています。

濱口啓介 僕はジャグリングは専門ではなく、パフォーマーの角谷将視と一緒にセリフのないフィジカルコメディデュオ・ゼロコとしての活動をメインにしています。劇場やカフェ、大道芸として野外であったり、都電荒川線を貸し切って走行する電車内でパフォーマンスをしたこともあります。「コメカミマスター」では、演出をつとめています。

──「コメカミマスター」にはコメカミマスターの相棒(?)が出演されていますが、あの人は……?

長岡岳大 彼はパフォーマーの和田海秀さんです。コメカミワークスが発足した最初のころからずっと、共演してもらっています。また「コメカミマスター」作中の音楽は川瀬浩介さん、小野龍一さんに制作していただいています。

和田海秀さん

──なるほど。「コメカミマスター」はプロのクリエイターの方々によって制作されているわけですね。それでは、「KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023」に応募したきっかけについて教えてください。

長岡岳大 もともとXでKAI-YOUをフォローしていて、その流れで「KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023」の存在を知りました。

公式サイトに「KAI-YOUが考えるポップ」として、人気や流行っているのだけでなく、「コミュニティの外側にも届く力をもつコンテンツ」と書いてあって、コメカミワークスもジャグリングやサーカスを知らない人にもその面白さが伝わる作品づくりを心がけていたので、「コメカミマスター」がどう評価されるのか気になって応募しました。

それと、個人的にぽこピー(甲賀流忍者!ぽんぽこさんとオシャレになりたい!ピーナッツくんのコンビの通称)が好きでして……。

今回の「KAI-YOU HYPER POP AWARD 2023」にはピーナッツくんが審査員をされていたので、そういう意味でも気になってました。

──W受賞となりましたがいかがでしたか?

濱口啓介 大賞受賞とても嬉しかったです! QuizKnockさんもすごく好きなので、「河村拓哉賞」もいただけて、さらに嬉しかったです!

長岡岳大 何も知らずに、受賞結果が発表されているアワードの公式サイトを開いて、大賞の欄に「コメカミマスター」のサムネイル画像が見えた瞬間、「え、ほんとに…?」と一瞬目を疑いました。

興奮した状態で部屋中を歩き回った後、濱口さんや和田海秀さんに連絡しました。

従来のサーカスはライブパフォーマンスありきのものだったので、映像作品という形でサーカスを評価していただけたのが、とても嬉しかったです。

“枠”を探ることで見えてくるおもしろさ

──お二人ともプロのパフォーマーとして活動しているということですが、コメカミワークスはどのように生まれたのですか? 長岡岳大 5、6年前、パフォーマーとして活動をしている中で、ジャグリングとして磨いてきた技術をそのままパフォーマンスしても、見ている人にその凄さやおもしろさが伝わりづらいというジレンマを感じていたんです。

そんな時、岡崎体育さんの「MUSIC VIDEO」のMV(「第20回文化庁メディア芸術祭」エンターテインメント部門新人賞受賞作。映像作家・寿司くんが制作)を見たんです。

MVあるあるをテーマにした作品なんですが、それを見たときに「なんだこの音楽、映像体験は……!」と衝撃を受けまして……。
岡崎体育「MUSIC VIDEO」MV
長岡岳大 音楽やMVの“枠”自体を用いて表現しているということが、すごく興味深かったんです。

ジャグリングもライブパフォーマンスではない形式を探ることで、新しいおもしろさが見つかるのでは……」と考えるようになったのが、大きなきっかけでした。

──なるほど。それをきっかけに、SNSへの動画投稿をはじめた、と。

長岡岳大 そうですね。最初は自分のSNSにiPadで撮影したジャグリングの技動画を上げたりしていました。

当時、お金がなくて中々カメラが買えなくて……2019年ごろにやっと買えたので、「さえぎりさん」という映像シリーズを発表しはじめました。

ジャグリングの技を見せている途中で、謎の女性がボールを横取りして去っていくという作品ですね。
「さえぎりさん」第1話
長岡岳大 その後、2020年の末にコメカミワークスを発足して、「コメカミマスター」の制作をはじめました。

濱口啓介 元々、僕は「さえぎりさん」や最初期の「コメカミマスター」は、いちファンとして楽しんでいました。

僕はゼロコで“日常”にフォーカスした作品制作をしていますが、コメカミワークスも“日常”を大切な要素として活動していて、そんな共通点から、長岡さんと話す機会が次第に増えていき、コメカミワークスに誘っていただきました。好きなコンテンツだったので誘っていただき嬉しかったです。 長岡岳大 僕自身、ゼロコのファンでしたし、コメカミワークスの活動にも興味を持っていただいたので「ぜひ一緒にやってください」と。

──濱口さんは演出という肩書きですが、具体的にはコメカミワークスにどのような形で関わっているのでしょうか?

濱口啓介 映像作品の原案の提案や、アイディア出し、撮影の際には立ち会って、気になる点を共有したり、細かい動きのアドバイスなどをしています。

例えば「自転車」の回で途中から自転車が並走する演出や、「風船」の回でボールでなく風船そのものをこめかみに乗せる演出の原案は僕が提案しました。
コメカミワークス「自転車」
長岡岳大 僕は監督であると同時に出演者でもあるので、濱口さんからフィードバックをもらうようにしています。

濱口啓介 長岡さんの視点を持ちながら、モニターを見てアドバイスをしています。普段から長岡さんと作品について話し合う機会が増えてきて、少しずつ共通言語を持てるようになっている感覚があります。

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