描かれるのは、TVシリーズ第2作目『デジモンアドベンチャー02』の登場人物たちが大人になった姿。同時に、デジモンたちと冒険を繰り広げた“選ばれし子どもたち”誕生の裏に秘められた、悲しくも優しい真実も明かされる。
デジモン視聴世代の田口智久さんが監督をつとめ、脚本は大和屋暁さん、アニメーション制作はゆめ太カンパニーが担当と、前作『デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆』のスタッフが再集結。
インタビューでは、歴史ある「デジモンアドベンチャー」シリーズへの参加で何を感じたのか、そしてルイとウッコモンというパートナーを演じて感じた、互いの役者としての魅力について話を聞いた。
取材・文:オグマフミヤ 編集:恩田雄多
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デジモンを愛するすべての方々へ受け入れてもらえるように
──大和田ルイとウッコモンは、共に作中における重要なキャラクターでした。演じた上で印象的だったことはありますか?緒方恵美 ルイは劇中で子どもの頃から青年時まで登場するキャラクターなんですが、4歳の時と20歳の時で、違う人なんじゃないかと感じるほどに人格が離れていたんですよね。
オーディションの時点でも4歳と20歳の演じ分けをと言われて、現場に臨む時もその意識だったんです。でも、ちょっと極端に演じ分けすぎてしまって、実際の収録ではもう少し(4歳と20歳の演じ方を)寄せてくださいってディレクションをいただいてしまいました。
釘宮理恵 最初にティザービジュアルでウッコモンを見た時は、とても可愛いなと思いました。いざ台本を読むと可愛いのですが、可愛いだけではないキャラクターで。これは現場に行ってみないと何もわからないと思い、実際に現場でつくり上げていった感覚です。 ──「デジモンアドベンチャー」シリーズは20年以上の歴史を持つシリーズです。しかも今回の映画は、シリーズの根幹に関わる大きな謎が明かされるとあって、注目度の高い作品になっています。そうした大作に参加するにあたってプレッシャーなどはありましたか?
緒方恵美 プレッシャーはもちろん感じています。ただ、我々も長い年月この業界にいて、それぞれプレッシャーを感じる作品をやってきてもいるので、特別に大きなものを感じているかというと、どちらかというと今回は、すでに皆さんがつくり上げているワールドにお邪魔させていただき頑張ろう! と思って臨みました。
釘宮理恵 私は過去のシリーズにも参加しているのですが、「デジモンアドベンチャー」シリーズは特に、コアなファンの方々の愛情で支えられている作品、というイメージが強くありました。
今回は重要な役どころで映画に参加させていただく形でしたので、ライトユーザーの方からコアなファンの皆さんまで、デジモンを愛するすべての方々に受け入れてもらえるように飛び込んでいくという気持ちで演じました。
一からつくり上げていったルイとウッコモンの関係性
──劇中ではデジモンとパートナーを繋ぐデジヴァイスが重要なツールとして登場します。現実の社会においても人と人との繋がりは重要ですが、お二人はそうした繋がりをつくる上で重要視されていることはありますか?緒方恵美 声優として一緒に収録をするっていうのは、やはり繋がる上で重要なことだと思います。
別々での収録だと、このセリフはそうしゃべるんだって感じで、聞きながら探ったり調整したりしなきゃいけない。でも、一緒に録ることができれば、それはその場ですぐ解決することができる。良い収録をするために、特別何かが必要ということではなくて、一緒に録る。それだけで良いと思っています。
釘宮理恵 緒方さんとは、今回のように同じ問題に立ち向かうパートナーとしての立場で共演したことがなかったんです。
一緒にイベントに出演したり収録したりと、回数を重ねるたびに、以前より緒方さんと親しくなっている気がしていました。
様々な機会や、収録をしたブース、打ち合わせをした部屋の一つひとつが、デジヴァイス代わりに私たちを繋いでくれたのかなと感じています。 ──直接掛け合いの収録もされたそうですが、収録を通じて印象的だったことはありますか?
釘宮理恵 緒方さんと収録したのは1日だけだったのですが、野田順子さん(ブイモン役)が応援に来て見守ってくださっていたんです。なので、どう録っていくかをしっかり話し合ってから収録に臨むことができました。
緒方恵美 ルイとウッコモンの関係のつくり方は、他のどのパートナーとも違うので、本当に一から私たちでつくり上げていく必要があったんです。
出会って仲良くなるといっても、ウッコモンの献身的な感じやピュアさは普通じゃないですし、そういう特殊な部分について一つずつ説明を受けたり、どうしていくのかを相談させていただいたりして、方向性を決めていきました。
例えば、ルイはネグレクトを受けているんですが、その表現をどこまでやっていいのかとかについて話しましたね。映像でどれだけ表現されるかによって、私たちの表現も変わってくるのですが、収録時点では映像が完全にできていなかったので、どこまでリアリティを持たせるのかを相談して決めていく必要がありました。
ウッコモンはウッコモンで難しそうだったよね……?
釘宮理恵 そうですね、計画立てて演じるというよりも、ルイとの会話で成立していくキャラクターでしたから。自分でイメージを持っていくのではなくて、現場で監督さんや緒方さんと掛け合いながらつくり上げていきました。
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