「YouTube Music AI Incubator」は、生成AI(ジェネレーティブAI)を音楽制作などに適切に活用するための計画だとされている。
賛否両論を集める生成AIに関して、YouTubeは「私たちが責任を持ちながら、このテクノロジーを大胆に受け入れる必要があることは明らかです」とコメントし、積極的に活用していくと宣言。
その上で、音楽制作での生成AI活用に関するプラットフォームとしての方針を、3つの原則として以下のように表明している。
・原則1:AIはここにあり、私たちは音楽業界のパートナーとともに責任を持ってAIを受け入れます。
・原則2:AIはクリエイティブな表現の新時代を切り開こうとしているが、適切な保護を盛り込み、参加を決めた音楽パートナーに機会を与えなければなりません。
・原則3:当社は業界をリードする信頼と安全な組織とコンテンツ・ポリシーを構築しました。AIの課題に対応するためにそれらを拡張していきます。 Our principles for partnering with the music industry on AI technology
(※)なお、上記YouTube公式ブログでは、各原則について詳細も説明されている。
YouTube、アーティストのための音楽AI活用を支持
「私たちの目標は、音楽業界と提携し、責任あるイノベーションの共同推進を強化する形で、創造性に力を与えることです」と説明したYouTube。過去数ヶ月にわたって、社内で働くAIの専門家や音楽業界のリーダーたちと話し合い、UNIVERSAL MUSICを含むパートナーと協力しながら、新たなAIフレームワークを開発してきたという。
その詳細については今後数ヶ月のうちに明らかになるとのこと。具体的なテクノロジーや収益化の方法、コンテンツポリシーについても併せて発表される。
DRAKE、The Weekndが被害に 問題山積の音楽と生成AI
ドレイク(Drake)さんやザ・ウィークエンド(The Weeknd)さんの声に似せた生成AIを使用した楽曲がSpotifyなどに4月にアップされ、話題になった一件は記憶に新しい(すでに楽曲は削除)。これを受けて両者が所属するUNIVERSAL MUSIC GROUPは生成AIに対しての懸念を表明(外部リンク)していた。
だが、この一件があったために、UNIVERSAL MUSIC GROUPは今回YouTubeの試みにいち早く賛同したのかもしれない。
今回の「YouTube Music AI Incubator」および3原則の発表に際し、UNIVERSAL MUSIC GROUPの会長/CEOであるルシアン・グランジ(Lucian Grainge)さんは、生成AIを巡る音楽業界の課題について、「AIの潜在的なマイナス面を制限しつつ、その有望なプラス面を促進できるような効果的なツール、インセンティブ、報酬、そしてルールを確立すること」とコメントしている(外部リンク)。
YouTubeとUNIVERSAL MUSICらの挑戦的な姿勢が実を結ぶかどうか。今後の動向に注目が集まる。
「YouTube Music AI Incubator」への参加が発表された人物(敬称略)
Anitta/Björn Ulvaeus/d4vd/Don Was/Juanes/Louis Bell/Max Richter/Rodney Jerkins/Rosanne Cash/Ryan Tedder/Yo Gotti
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