空澄セナはこの日「本当に汚い部屋」を知った
いくらe-Sportsの面白さを伝える役目があるとはいえ、毎日ゲーム配信だけを淡々とやっていてはファンも飽きてしまうかもしれない。バラエティに富んだエンターテイメント寄りな企画配信も見たいファンもいるはずだ。過去にもゲームとは関係ない企画配信がいくつも行なわれてきたが、特に話題を呼んだ企画といえば空澄セナさんによる「汚部屋コンテスト」配信であろう。2022年5月のゴールデンウィーク特別企画のひとつとして、彼女が企画したものだ
「ぶいすぽっ!」内でもトップランクの汚部屋ガールとして、数々のエピソードでメンバーやリスナーを恐怖させてきた神成きゅぴさんと一ノ瀬うるはさん。写真をアップしているわけではないので想像の域は出ないが、2人の汚部屋エピソードは上記のように枚挙に暇がない。「数日前に食べた牛丼とか皿うどんがそのまま置いてある」
「袋にいれてないです、そのままドーン!です」
「机の上にエナドリの缶がたくさんある。ゴミ袋45L一袋くらいまで片づけない」
「清掃業者を呼んだら60万かかると言われた」
「2週間に1回お掃除業者を呼んでいる」
「カップ麺のスープをずっと放置したら膜が張っていた」
「部屋の中を歩く場所がない」
そんな2人をゲストに呼び、視聴者から投稿された「汚部屋写真」に一言アドバイスやコメントをしていくという内容の配信となった。
汚部屋ガール2人ということもあり、視聴者から届いた写真も気合の入った(?)ものばかり。そんな汚部屋でも状況を解析、それまでの流れを想像しつつ投稿者に理解を示し、見解を述べていく2人。
しかも2人のコメントも、経験者でなければ知らないような内容から、「それはわかるわ」といえる一般的なものまで、空澄さん含めて視聴者も理解できる・できないの一線を知れる内容となった。
配信も後半になると徐々に写真のレベルが上がっていき、流石の2人も「これはヤバい」と口を揃えていくことに。雑談などでチラっと知るだけであったエピソードやバックグラウンドを深堀りし、視聴者からも共感と反感のリアクションがあがった、まさに阿鼻叫喚と化した企画であろう。
如月れん主催!抜き打ちテスト企画!
VTuberやストリーマーらの雑談を聞いていると、当人の知力が薄っすらと察せられる場面がある。一般的な漢字や英単語が読めない、数式が計算できない、つい最近の時事ネタや社会認識が通用しない。
「この人たち、一般常識はどれほどわかっているんだろう?」そんなファンの疑念は、学力テスト企画のなかでは期待へと変わっていく。
「ぶいすぽっ!」となじみ深い白雪レイドさんを校長(司会進行)に、一ノ瀬うるはさんを先生(サポート役)に据えて、当時所属していた11名のメンバーに抜き打ちテストを受けてもらい、その解答をリスナーとともに楽しむ回となった。
もちろん「テスト」企画そのものはVTuber/バーチャルタレントシーンが始まって以来の鉄板企画。多くのファンにとっても期待の企画でもあり、それ故にハードルも高くなる。
しかしこの配信は、最大同時視聴者数 (同接数) 約5万人以上を記録し、「ぶいすぽっ!」のファンダムの強固さが一気に知られるようになった、ある種ターニングポイントな配信であろう。
数か月後にはニコニコ動画にて公式番組「ぶいすぽ激ロー」がスタート。彼女たちに縁のあるストリーマーやVTuberらがゲスト出演しており、まさにストリーマーとVTuberの垣根を超える番組として存在感を発揮してる。
ゲーマーという枠に収めるにはもったいない「ぶいすぽっ!」メンバーの面白さを詰めこみ、その後の彼女たちの活動をひとつ広げることにも繋がった名配信だ。この頃から紫宮さん、白波さん、猫汰さん、小森さんとメンバーが増えたこともあり、「第二回」への期待も高まっている。
花芽なずなが音頭、願いを込めた12人の歌ってみた
2021年12月24日公開された、「ぶいすぽっ!」の合計チャンネル登録者数200万人を記念した動画「Blessing ~12人で歌ってみた~」。「ぶいすぽっ!」公式チャンネルや各個人チャンネルで投稿された動画・配信をすべて含めても、圧倒的な再生数を誇っている。halyosyによる原曲もリリースから8年前。当時は歌い手の方々によって歌われたこの楽曲は、現在VTuberらによってカバーされることも多い。ホロライブのメンバー、ホロスターズ、すとぷりなど、「歌うこと」を求められるポジションにいるVTuberらがこの曲を取り上げてきたが、そういった「歌ってみた」に負けない力がこの動画にはある。
しかも、彼女が自ら制作進行に手を挙げたわけではなく、メンバーから「なずちゃんで!」と逆指名されたのだという。
「ぶいすぽっ!」で花芽すみれさんと共にデビューした最年長であり、キュート担当の名に恥じない性格とトーク力で配信の盛り上げ役、時としてまとめ役としても振る舞い、後輩をケアする場面もチラホラ。そんな彼女だからこそ、他メンバーも重要な動画の制作進行を任せたのだろう。
「Bless」とは「恵み」、もっと言えば「祈り」「願い」を意味する。黎明期にデビューした2人の姉妹は根気よく活動を続け、2019年には2人の仲間とともにプロのプレイヤーらと鎬を削った。
2020年以降はコロナ禍という想像してもみなかった状況の中で次々と新人がデビュー、数奇な出会いを果たした「ぶいすぽっ!」メンバーらは、時の運を掴んで大きく羽ばたくことになった。
「ぶいすぽっ!」が掴んだ人気とは、彼女たちの努力によるものだけではなく、幸運によって生まれたものでもあることを忘れてはいけない。大小様々なトラブルはありながらも、メンバー全員がフレンドリーな関係性を保ち続けていることも踏まえれば、このプロジェクトが続いていることそのものが「恵み」であり、今後続いてほしいという「祈り」にすらなるだろう。
彼女たちはまだまだドラマを生み出していけるはず。多くのファンはそんな「願い」を心に秘めている。
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