花譜擁するV.W.P、音楽的同位体と火花散らす「KAMITSUBAKI FES」DAY1レポート

「Virtual Isotope Phenomenon」

落ち着く間を与えられることなく突入したのは、花譜さんのライブでもおなじみ、DJタイムのスペシャルバージョン「KAMITSUBAKI DISCOTHEQUE」だ。

ミラボールがギラギラ輝くフロアに「わたしレプリカ」や「アイスクリーム」といった音楽的同位体の楽曲から、「白昼夢」や「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」、「ピルグリム」などスーパーライブチューンたちもミックス。制御不能となったフロアの熱気がさらなる勢いで爆熱していく。

もはや焦土と化しかけた寸前、ステージ上に現れたロゴによってオーディエンスたちの目は一気に覚まされる。 「Virtual Isotope Phenomenon」

事態を飲み込めず混乱するフロアをよそに、ステージ上に現れたのはV.W.Pのメンバーそれぞれの音楽的同位体──可不、裏命（RIME）、羽累、星界、狐子──の5人。V.I.Pなる新たなユニット名を冠して、一発目は「フォニイ」をパフォーマンスした。 本家5人のお株を奪いかねない極上のユニゾンを繰り広げられては、ようやく事態を理解し始めたオーディエンスたちも全力全開のコールで迎え撃たざるを得ない。DJタイムに劣らずカオティックな熱狂が豊洲PITに燃え広がっていく。

次なる曲はV.I.Pのオリジナル楽曲「Penumbra」だ。ジャジーなビートに5人の歌声が合わさり、心地よい違和感が胸に突き刺さる。至極のグッドミュージックとして仕上がった。V.W.Pの魔女たちに負けじと個性をぶつけ合う5人によって、新たな宇宙が創造されるかの如き衝撃が、満員のフロアを突き抜けて世界の果てまで響く。

“本当じゃなくて なくていいのにさ”

ニヒリスティックにも聞こえうるフレーズで、熱く腕を振り上げるオーディエンスのハートを悪戯に刺激する。何が本当で何が嘘だとしても、彼女たちの歌声でかつてないほどに沸き立つ熱狂は、ごまかすことのできない真実だ。

KAMITSUBAKIの魔女たち、祝祭に降臨

ここまでくればもう何が来ても驚くまいと、ハートに耐性を備え始めたファンたち。

しかし「Hey guys！ 理芽でーす！」という挨拶から始まったビデオメッセージで、再び心臓のストックを失うことになった。 留学中のため、KAMITSUBAKI STUDIOのメンバーが勢揃いするフェスに参加できなかった理芽さんが、「今日は私が行けないということで、次の曲ではあたしの代わりにあの子がピンチヒッターとして参加します！」と宣言。いよいよDAY1もクライマックスへ。 理芽さんを除いたV.W.Pのメンバーがステージに揃うと、センターに現れたのは理芽さんの音楽的同位体・裏命。まさかのサプライズフォーメーションで披露したのは「玩具」だ。

タイトル通り愉快なビートで遊ぶように歌声を弾ませる5人は、今日だけの特別なセッションを繰り広げて、自らの可能性をこれでもかと証明する。そして今度は幸祜さんをセンターに据えた「秘密」へ。 超高速ギターの音色に導かれるまま、限界突破のパフォーマンスを繰り広げる彼女たちを輝くオーラが包み始める。「シンギュラリティのひ」と題された意味を示すかのように、音楽的同位体とのユニゾンを楽しみ尽くせば、クラップも煽ってフロアの熱狂をさらに焚きつけた。

今度はヰ世界情緒さんがセンターに舞い降り「変身」へと展開。今日ここでしか在りえない特別なコラボレーションが生み出すスパークが、光弾となってフロアに降り注ぐと、繊細に折り重なる歌声たちが歓喜の嵐を巻き起こした。 文字通り、オーディエンスを震撼させた凄まじいパフォーマンスの直後にもかかわらず、MCとなるといつもの穏やかな調子に戻るのも彼女たちの魅力だ。見所しかなかったここまでを振り返り、花譜さんが「みんなの歌、最高だぜ！」と諸手を上げて激賞すると、暖かい拍手喝采がステージを包む。

登場アーティストによって、千差万別どころではない多彩な世界観を見事に表現した超強力バンドメンバーを紹介し、それぞれ改めて今日という日の感謝を告げたところで、ついにラストスパートへ。