ヰ世界情緒、その神秘性
続いてバトンを引き継いだのはヰ世界情緒さん。恐ろしさすら感じるほどに神秘的なその後姿がステージ上に現れると、背を向けたまま歌い始めたのは「パンドラコール」だ。ファンタジックな楽曲世界を顕現させる魅惑の歌声は、消え入りそうなほどの繊細さと世界を揺るがすダイナミックさを絶妙に共存させる。 鬼気迫るパフォーマンスを見せたかと思えば、続くMCではいつも通りのふわふわした雰囲気を見せてくれるヰ世界情緒さん。沸き立つ声援を受けながら水分補給すると、「いつもよりお水が美味しいな~」と嬉しそうに頬を緩ませる。
続いては音楽的同位体・星界(SEKAI)と共に、「ヰ世界の宝石譚」を歌唱。色彩のコントラストが印象的だった先ほどのコンビとは異なり、共に純白の衣装を身に纏う二人はまるで姉妹のよう。楽曲の複雑な世界観を描き出す上で、これ以上相応しい組み合わせもないことをその共鳴で証明する。 ミラーボール煌めくフロアに、宝石のように美しいハーモニーを響き渡らせると、続いて披露されたのは新曲「そして白に還る」。嬉しいサプライズに狂喜乱舞のフロアをさらに燃え上がらせるように、圧倒的な歌唱力で展開のめまぐるしい楽曲を歌い上げる。
らしさ全開のニューアンセムで不意打ちを決めると、「かたちなきもの」で自らのパートを締めくくる。優しいストリングスの旋律に乗せて響くたおやかな歌声がフロアを包みこむと、ステージ上には白い花弁が舞う。その中央で歌うヰ世界情緒さんは、もはやこの世のものとは思えない美しさだ。
小さな体から発せられているとは思えないスケールの大きなパフォーマンスを繰り広げ、手を振って満員のオーディエンスとの交流も楽しむ。最後は「また会おうね」と微笑んでステージを去った。“届けるようただ声を いつか どこか遠くに 消えていってしまっても
大丈夫だよ 知ってるよ 続いてくいつまでも 月が僕らを見放しても
ねえ きいていてわたしね すきよ”
花譜という底無しのマッドネスへ
満を持して登場するのはKAMITSUBAKI STUDIOにとってのはじまりのアーティスト・花譜さんだ。元気いっぱいにステージに躍り出ると「まだまだ盛り上がれますかー!」とオーディエンスを煽って、挨拶代わりの絶唱ロックナンバー「ニヒル」を投下。遠慮知らずの全開パフォーマンスでフロアのボルテージをぶち上げると、弾けるような笑顔で「最高の思い出を一緒につくりましょう、よろしくお願いします!」と告げて、「海に化ける」へ。 徐々にテンションを上げていく複雑な展開の楽曲を、驚異的な表現力で歌い上げると、花譜さんのかざす手の動きに合わせて、映像演出で水流が巻き起こる。そして息つく間もなくシリーズ続編「人を気取る」へと繋げ、湧き上がる衝動をぶつけるかの如き熱唱でフロアを吞み込んでいく。
続いては音楽的同位体・可不(KAFU)を呼び込んで、一緒に「青春の温度」を披露。“狂っていこう狂っていこうぜ”と最強デュエットで歌われてしまっては、もう何度限界を越えたかわからないオーディエンスたちも底無しのマッドネスへ引きずり込まれる。 大狂乱のフロアに投げ込まれた次なる曲は、ライブ初披露となる「邂逅」。“世界平和なんて嘘だ”というショッキングなフレーズからはじまるのは、淡々とした語りからサビへ向けて、徐々にボルテージを上げていくカンザキイオリさんらしさ全開の一曲。
血の滴る心臓を目の前に突き出すような、剥き出しの命からの絶叫を余すことなく詰め込む楽曲を、文字通り命を削るかのようにエネルギーを込めて歌い上げる。その壮絶さにはもう誰もが瞬きすら忘れて見入ることしかできない。“何でもかんでも言い訳して 触れ合うことを恐れてる
僕もきっとそうだ 君もきっとそうだ 心が動くのが怖いのだ
だけど言いたいのだ 叫びたいのだ
言葉でしか僕らは出会えないのだから
傷を残して 愛を残して 君を探しにいかなくちゃ”
一生忘れることのできない光景を刻み付けて、大きく手を広げて万雷の拍手を味わい尽くすと、「花譜でした、またね」と再会を誓って自らのパートに幕を下ろした。
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