進化を続けるアイドルカルチャーは、日本を飛び出し海外でも広がりつつあります。
タイの日本式アイドルグループ・いきなりテルミー(IKINARI TELL ME)のメンバーの一人であるミナ(Minah)さんはなんと韓国人。K-POP熱の高いタイで、なぜ日本発の活動形態であるライブアイドルとしてデビューしたのでしょうか。
日本のメディア初のインタビューに答えてくれました。
取材・文・撮影:カレー当番 編集:アシュトン
目次
「アイドルになるなんて、思っていなかった」
そもそも、ライブアイドルとはスタートから大きなマーケットを意識し、手の届かない存在としてのブランドを確立するK-POPアーティストなど従来のアイドルと異なり、「握手会」「チェキ会」などの特典会でアーティストとファンが近い距離で交流できることが特徴的な日本発の活動形態です。
ステージに立つ、いきなりテルミー/写真は筆者提供
これにより、ファンがアイドルをより身近な存在と感じ、よりリアルに成長と応援の密接な関係を体感できる推し活文化を広めてきました。
そんな日本のライブアイドル文化は、ここ数年でタイ、韓国、中国、台湾、香港とアジアを中心に熱を帯び、その波を受けてアイドル最大の音楽フェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」(通称・TIF)は日本だけには留まらず海外版として「TIF ASIA TOUR」を開催するなど、活発に文化交流をしながら発展し続けています。
中でも親日国でもあるタイはいち早くライブアイドル文化が根付き、カルチャーとして層が厚い国の一つです。
いきなりテルミー、通称「いきテル」は日本の大手ライブアイドル事務所・SCOT(旧・FreeK-Laboratry)のタイ姉妹グループとして2023年に誕生しました。
SCOTはchuLa、ネコプラpixx.など、同業者であるアイドルからも憧憬されるいわゆる"沸き曲"を持ちフロアを熱くさせることのできるライブアイドルを多数有していることで知られています。
ミナさん
グループ結成からわずか半年で日本武道館に立った異例のタイアイドルでもある、いきなりテルミー。
今回インタビューするミナさんは2024年6月に加入した新メンバーであると同時に、タイライブアイドル界では唯一の韓国人(2025年3月現在)でもあります。
2025年2月に5日間の名古屋・東京ツアー7公演へ出演するにあたり来日しました。
ミナ まさか私がアイドルになって日本に来ることになるなんて。
ミナさんは、そう語ります。
ミナ 日本に来るのも初めて、本当に夢みたいな初体験の日々です。この日本ツアーは私にとって幸せな思い出です。
2NE1への憧れと日本式アイドルとの出会い
ミナさんは幼い頃からタイでの生活を送っていました。
ミナ 年に一度は家族と韓国へ帰省しますし、パスポートはもちろん、国籍も韓国。でも幼い頃から家族の事情でタイに住んでいるので、私のアイデンティティにはどちらかというとタイ文化が根付いています。
MV撮影のオフショット
最初に憧れたアイドルは、ガールクラッシュの草分け的存在でした。
ミナ ちびっ子の頃、周りの子たちは『少女時代が好き!』と憧れる子が多かったですが、私は2NE1が好きでした。
2NE1(トゥエニィワン)はYGエンターテイメントよりBIGBANGの妹グループとして2009年にデビュー、数々の楽曲でチャート1位を獲得したレジェンドであり、電撃的な再結成が記憶に新しいガールズグループです。
K-POP界に「ガールクラッシュ」という言葉が存在する前から、自立した強気の女の子像を体現していた、後のBLACKPINKにも繋がる“女の子が憧れる女の子”の草分け的存在です。
ミナ 2NE1は他のガールズグループと違うな、ということは幼くてもわかりました。音楽もビジュアルもファッションも個性的なスタイルが際立っていてクール。他とは違う特別感に惹かれたのかもしれません。
ただし、タイで成長したミナさんはもともとアイドル志望ではありませんでした。アイドルは遠い世界のもの、と思っていた彼女の意識を変えた出会いがあったのです。
当時はアイドルになるつもりはなかったというミナさん
ミナ 大学の友だち、マユキ(Mayuki ※いきなりテルミー初期メンバー)がアイドルになったと聞いて、ステージを観てみたいなと思ったんです。
でもその前にどんな歌を歌ってるんだろう、って軽い気持ちで検索してみたんです。それがいきなりテルミーで、私の日本式アイドルとの出会いでした。
日本の楽曲は今まで聴いてきた音楽と明らかに違っていたし、可愛いし、中毒性があって頭から離れなくなりました(笑)。
そうしてマユキさんのステージを観に行って「かっこいいな」と感銘を受け、それまでは全く知らない世界でしたが、日本式アイドルに関心を持つようになったのです。
いきなりテルミーの魅力は、ポップでキャッチーな楽曲とオーディエンスを巻き込むステージパフォーマンスのパワフルさ。アイドル=可愛さだけではない魅力に、ミナさんもすぐ気づいたようです。
ステージで踊るいきなりテルミー
ミナ アイドルには関心が無かったんです。そもそも韓国でもアイドルになりたいと思ったこともない(笑)。
でも、いきなりテルミーのステージを観てみると、ダンスのスタイルも衣装も、今まで知っていたK-POPアイドルのスタイルと完全に違うし、衣装も華やかできれいで私の好みのスタイルだなと。
タイでもK-POPは人気で、韓国文化の影響を受ける国の上位として、韓国文化情報サービス機関の調査で言及されています(外部リンク)。
ミナ K-POPはタイで人気のカルチャーですが、日本のアイドル文化とは全く違うものだと感じます。
J-POPは音楽が独特で中毒性があるのもそうですが、衣装がグループのキャラクターを重視しアイドル個々を際立たせています。韓国のアイドル衣装はどちらかというと現実的な流行を汲み取ったファッション性が強くグループのまとまりがある感じ。
日本式の自己がある個性的な衣装が気に入りました。
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