JUN INAGAWA×ファイルーズあい対談 異端の魔法少女アニメが引き寄せた叛逆者たち

JUN INAGAWA×ファイルーズあい対談 異端の魔法少女アニメが引き寄せた叛逆者たち
JUN INAGAWA×ファイルーズあい対談 異端の魔法少女アニメが引き寄せた叛逆者たち

ファイルーズあいさん(左)とJUN INAGAWAさん(右)

4月7日(金)25時55分からMBS・TBS・BS-TBS“アニメイズム”枠で放送されるオリジナルTVアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』。オタク文化が弾圧された日本を舞台に、革命者・オタクヒーローと、アナーキー、ブルー、ピンクという3人の魔法少女が戦う物語だ。

『魔法陣グルグル』『フリクリ プログレ』の博史池畠監督と、『プリマドール』『ブラック★★ロックシューター DAWN FALL』のバイブリーアニメーションスタジオが描く一風変わった魔法少女ものだが、この作品の根幹は22歳の若き才能によってつくられている。

アニメや漫画を軸にストリートカルチャーから影響を受けた作品を描き、国内外で活躍するクリエイター・JUN INAGAWAさんだ。『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』は、彼が中高生時代に構想していたストーリーが原案という、特異なバックボーンを持った作品だ。
『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』イントロダクションムービー
作品のテーマは「好きなものを好きなだけ好きといえる世界」。オタク文化が排除され、好きを公言できない世界で魔法少女たちは自由のために戦い抜く。

そんな想いを託された魔法少女の1人・アナーキーを演じるのは、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』(空条徐倫役)や『チェンソーマン』(パワー役)などで知られる声優・ファイルーズあいさん。

今回は己の「好き」に対して正直に生きるキャラクターと作品について、2人の対談が実現。すると、2人と作品にも共通する反骨精神が浮かび上がってきた。

取材・構成:太田祥暉(TARKUS) 編集:恩田雄多 写真:寺内暁

目次

ファイルーズあいとアナーキーとの運命的な出会い

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』

──JUN INAGAWAさんとファイルーズあいさんは、すでに何度かお会いになっているんですか?

JUN INAGAWA アフレコ現場で1〜2回くらいですかね?

ファイルーズあい すれ違ったくらいですよね。よろしくお願いします。

JUN INAGAWA こうやってガッツリお話をするのは初めてですね。こちらこそよろしくお願いします。 ──そもそもファイルーズさんは、JUN INAGAWAさんに対してどういった印象をお持ちでしたか?

ファイルーズあい “先生”の作品を拝見したときに……

JUN INAGAWA いやいや“先生”だなんて!

ファイルーズあい 先生ですよ! 作品を拝見したときに、この人は絶対にサブカルチャーやポップカルチャーが好きだと確信していたんです。私も絵を描くことが大好きなので、「好き」を身体に刻まれて、それが作品から滲み出ているのは素晴らしいなと……。 JUN INAGAWA ありがとうございます(笑)。実際にアナーキーちゃんのタトゥーを刻んでいるので、文字通り身体に「好き」を“刻んでいる”んですよね。

ファイルーズあい アナーキーの生みの親が一番ふさわしいタトゥーですから。全身で「好き」を表現していてかっこいいと思います。

──対してJUN INAGAWAさんは、ファイルーズあいさんにどのような印象を?

JUN INAGAWA それこそ2019年の『ダンベル何キロ持てる?』(紗倉ひびき役)……この作品がデビュー作ですよね? ファイルーズあい そうです。

JUN INAGAWA そのあとの『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』(空条徐倫役)も観ていたので、ファイルーズさんの活躍はもちろん知っていました。

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』のオーディションも印象的で、そこで披露してくれたお芝居がまさにアナーキーだったんです!

アニメのストーリーは僕が中学から高校時代に考えたものが元になっているんですが、当時頭の中で想像していたアナーキーちゃんの声そのものだった。これには博史池畠監督とも完全一致で、「もうファイルーズさんしかいない!」と話していました。

ファイルーズあい それだけ昔から大事にされてきたキャラクターの声にぴったりと言っていただけて、本当に嬉しいです! 最近わかったことなんですが、実は以前にアナーキーと出会っているんですよ

ファイルーズあいさんが演じる魔法少女・アナーキー

──オーディションの話が来る前ですよね?

ファイルーズあい そういった話も全然ないタイミングです。原宿に行ったときなんですけど、東急プラザ表参道原宿の外観に、赤い髪の毛でツインテールの女の子がドーンと描いてあって。

当時「可愛いな、いい作品だな」と感じていたんですが、初めてアナーキーを見たときには気がつかなくて、ぼんやりと「似ているな」くらいに思っていたんです。でもさっきお話をうかがったら、やっぱりアナーキーで!

原宿で見た作品は、アニメのキャラクターデザインとはまた違っていたので確信が持てなかったんだと思います(苦笑)。

JUN INAGAWA 2021年の個展ですね。驚きました。安っぽい言い方になってしまいますが、本当に運命的です。話を聞いて、ファイルーズあいさんにアナーキーを演じてもらえて、命を吹き込んでもらえて、本当によかったと思いました

様式美に従わない魔法少女もの『マジカルデストロイヤーズ』

──『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』はオタク文化が制圧されている日本が舞台のオリジナル作品です。作品に対する第一印象を教えてください。

ファイルーズあい オタク文化が制圧されている特徴的な世界観に対して、魔法少女というオーソドックスなアニメらしい要素が出てきますよね。その美しい矛盾と、ディストピアな世界観が刺さりました

キャラクターデザインも、フリルがたくさん付いていたり、細かな模様が書き込まれていたりするわけではなく、すごくシンプル。でも、それぞれにらしさがぎゅっと詰め込まれていて可愛いですよね。

JUN INAGAWA シンプルなのは、僕が模様を描くのが苦手だからかもしれません(笑)。もともとアナーキーは、僕が持っている反骨精神の表れなんです。

僕自身が、自由を制限されたり、「こうすべき」と言われたりすると、あえてその逆をやりたくなる性格なので。キャラクターデザインにも今の潮流に反発するような部分が出ているのかもしれません

加えて、ずっと好きだったパンクやロックの影響も受けています。なんなら僕の中では、キャラクターごとにテーマソングがあるくらい。だからというわけではないですが、『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』は劇伴もこだわっています。 ファイルーズあい 反骨精神は作品全体にも現れていますよね。そもそも魔法少女ものといえば、ヒロインがピンチになったら突然マスコットが来て、不思議な力を与えてくれて、変身して……という様式美があると思います。

『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』ではそういったお馴染みの展開や世界観の説明はほとんど設けず、スタートからちょっと違う展開を見せていく。そこがJUN INAGAWAさんらしいポイントですよね。

JUN INAGAWA たぶんアフレコで「なんじゃこりゃ!」って思ったキャストの方もいらっしゃったと思います。なぜそういう構成になったかといえば、僕自身、最初に説明をバーッとされるのが苦手だからなんです。

一通り説明されてしまうとその後の展開もわかった気になって、見る気がなくなってしまう。逆に説明なしで「どういうこと!?」と食いついて、徐々に理解していく方が楽しめると思うんです。改めて振り返ると元々のアイデアを考え始めたのが15歳くらいで、アニメ化を目指してシナリオを作っていったのが19歳の頃……よく考えたなとも思いますね(笑)。

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