22歳映像作家Nateインタビュー CGは「俺こんなスゴいこと考えてる」の可視化

クリエイティブチーム「nim」設立の裏側

──そこで言う「感性」となると、人によって異なる部分だと思います。今回クリエイティブチーム「nim」を設立され、チーム内でもそういった感覚を共有していく必要性を感じていますか。
nim showreel
Nate それこそ、僕がそれぞれの分野で「イケてる」と思ったクリエイターが「nim」には集まっています。メンバー同士で話し合って、それぞれの感性を活かして、より良いものを追い求めていきたいですね。

ただ、映像作品の全体構成やアニメーションについては僕の専門分野でもあるので、修正を入れるなど僕の感覚と合わせていく部分は多くなるとは思います。

──そういった修正はまさにディレクションの分野ですね。最近では制作上、そちらを担当されることもありますよね。

Nate 自分がディレクションを担当しているものは、ディレクション兼メインの制作という場合が多いんです。例えば、最近のCRカップのオープニングとかはディレクションもやってるし、全体の進行管理もやってるし、メインの制作も僕がやってる、という形ですね。
第7回CRカップ オープニング映像 feat. 叶
Nate ディレクションでは、基本的には作品の大まかな方向性を決めて、それぞれ担当する制作物が上がったとき、アドバイスというか「こういうふうにしたらどうですか」みたいな提案をしつつ、良い方向に持っていくかじ取りをしています。

どうしても手が足りなくて仕方なく実制作を他の方にお任せして、ディレクションだけをやるパターンもあるっちゃあるんです。ただ、僕としては正直、手を動かすのが好きなので自分もつくりたいんですよ。

──なるほど。てっきりチームを立てられたのには、ディレクションをメインにしていきたい意向があるのかと思っていました。

Nate 多分、チームとしてやるときもディレクションだけやるパターンは少ないんじゃないかな。僕が昔よく担当したライブ演出などの案件は、映像制作会社さんなどに制作協力として参加させていただく形でした。

そういった場合、メインの制作を僕が担当しているんだけど、クリエイティブの裁量権があまりないことも多かったんです。最近は、ディレクション兼メインの制作をやらせてもらうことが多いので、それの延長線上としてチームを設立した感じですかね。

──それでは、改めてチームを結成した経緯をお聞かせください。

クリエイティブチーム「nim」ロゴ

Nate もともと僕は1人で作品をつくることが多かったんですよね。

特に学生時代は、1人っきりでつくることがほぼ8割、9割ぐらい。もちろん、音楽は別のクリエイターがいるんですけど、僕がそこに映像を後付けするパターンが多かったんです。他の人が入るとしてもイラストをお願いするくらいで、ビジュアル面を誰かと協力して制作することはほとんどありませんでした。

でも大学に入って少し経ってから、なんだろう……心変わりというか、ちょっと違うスタンスを取ってみようと思うようになったんです。

──心変わり?

Nate ここ数年、意識的にいろいろなクリエイターとコラボレーションして作品をつくってるんです。グラフィックデザイナーとかサウンドデザイナー、コピーライターとか3Dモデラーとか、いろいろな人を巻き込んで。やってみたらめちゃくちゃ楽しいんですよ

何か一つの成果物のためにみんなで頑張るのも楽しいし、それをまとめ上げるのも舵を取るのも楽しい。もちろん、1人でつくる良さもあるとは思うんですけど、僕はチームプレイも合っているんだなと感じました。

しかし、毎回別のメンバーだと連携が難しい部分がある。そこで、ある程度まとまって安定的に動こうと、メンバーを集めてチームにしたというのが一つあります。 Nate あと、これはクライアント側からの視点として、映像の関わる案件はちょっと大きなプロジェクトが多いんですよね。

映像単体だけじゃなくてそれに関するデザインとかも全部できるようになってた方が、お仕事をいただくクライアントから考えると頼みやすい。

グラフィックデザインや音周りをできる人を集めるとか、幅広くまとめてできるクリエイティブチームがあった方が、いろいろ動きやすいんじゃないかなと思って、一つの窓口として立てたという感じですね。

CR・おじじとの出会いで訪れた心境の変化

──Twitterで2021年2月に、「世の中の天才は全員敵だと思って生きてきたのだけど、最近になって『その人たちを全員味方にしちゃえばいいのでは?』という発想に切り替わってきてる」というつぶやきをされていたのが印象的です。まさにそういった発想が、チーム設立の裏にはあるかなと思いました。 Nate それはマジでありますね。

──つまり以前は、世の中の天才は全員敵だと思っていた……?

Nate そうですね(笑)。

クリエイターあるあるなのかわからないんですけど、僕も嫉妬心はやっぱりどうしても湧いてきちゃうんですよね。向上心だけはずっとあるので、そこから「全員ライバル、全員敵だ」みたいな姿勢になっていたのかもしれません。

いろいろな人とコラボレーションするようになった心境の変化というのは、自分でもちょっと具体的にはうまく掴めていないのですが、多分おじじさんの存在が関連してるかなと思っています。

リーダーシップの塊みたいな人で「スゲー奴全員巻き込んで最強にしようぜ!」みたいな精神の人なんですよね。

それに影響されたというか、「そっか。全員仲間にして、全員で最強になればいいんじゃん。全員味方だったら、敵として見る必要もないじゃん」みたいなのは、僕に今までなかった発想でした。そこからいろいろな人を巻き込んでいこうと考えるようになったのかもしれないですね。

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Nateさんインタビューの後編はKAI-YOU Premiumで公開中 ※記事初出時、一部表記に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

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Nate

ディレクター / CGデザイナー / モーションデザイナー

クリエイティブチーム「nim」代表。
2D、3DCGによるモーショングラフィックスを軸に、ジャンルやスタイルを問わないアプローチが可能。
動きから生まれる気持ち良さ、視覚からの快感を大切に、映像でしか表現できないものをデザインする。
最近は映像にストーリー性を持たせることで、人の心にハマるコンテンツを模索している。

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