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連載 | #14 KAI-YOU COMIC REVIEW

『タコピーの原罪』レビュー 大人は子供を見ていないが子供は大人を見ている

『タコピーの原罪』レビュー 大人は子供を見ていないが子供は大人を見ている

『タコピーの原罪』上巻/画像はAmazonより

POPなポイントを3行で

  • 話題の漫画『タコピーの原罪』表紙公開
  • 作者はタイザン5、集英社『ジャンプ+』連載
  • 子供の視点を中心に描かれた世界とは
集英社の漫画アプリ『ジャンプ+』にて連載が開始されるや否や話題を集め、毎週最新話が公開されるとTwitterのトレンド入りを果たしている『タコピーの原罪』。

宇宙にハッピーを広めるべく旅をするハッピー星人のタコピーと笑わない女の子・しずかちゃんの2人を中心に小学生の世界を描く作品だ。

しずかちゃんが涙を流しながら笑顔で指切りをしようとしている上巻と銘打たれた表紙イラストが公開された。

いじめと自殺、少女の悲しい決断から始まる『タコピーの原罪』

『タコピーの原罪』は、気鋭の漫画家・タイザン5さんの連載作品。『ジャンプ+』にて毎週金曜日に最新話が更新されている。

本作で描かれているのは、冒頭で述べた通り、しずかちゃんを中心とした小学生の世界だ

小学生たちは、大人の影響を色濃く受けながらもある種断絶した独自の世界を築いており、そこでは未成熟なせいで歯止めが効かず、大人よりもストレートに、エスカレートした力が働いている。

主人公のしずかちゃんは、クラスメイトの雲母坂まりなを中心に苛烈ないじめを受けており、第1話の終盤では、タコピーが提供したハッピー道具「仲直りリボン」を使用してしずかちゃんが自ら命を絶つ姿が描かれる。

その後、別の道具によりしずかちゃんが命を絶とうとするほど追い詰められる前の時間に戻ったタコピーが、しずかちゃんを笑顔にしようと奮闘していくことで、物語は進んでいく。

大人は子供を見ていないが、子供は大人をよく見ている

本作で特徴的なのが、子供と彼らが生きる世界の描き方だ。

タイザン5さんは子供の頭を大きく描いており、その中でもさらに目を強調しているため、登場するキャラクターたちは基本的に、表情が豊かで笑うと愛らしい顔をしている。

だからこそ、苦しみ、絶望する顔も豊かに表現されており、その表情は後述の理由もあって非常に胸に来ることになる

そんな表情豊かな子供達と対照的に、顔すらほとんど描かれていないのが大人たちだ。

現在メインで描かれているしずかちゃん、まりなちゃん、東くんの3人は、それぞれ「両親が離婚寸前で頻繁に声を荒げて喧嘩している」「熱心な教育ママによって過剰なプレッシャーを与えられている」など家庭環境から来るストレスにさらされている。

中でも、しずかちゃんとまりなちゃんの親は、子供と向き合ってこなかった結果なのか、子供が顔を直視できなくなるほどのストレスを与えているからか、子供たちの視点で描かれる本作では、ほとんど顔が映っていない。

一方、大人たちの中で、数少ない顔が正面から描かれているキャラクターが、東くんの母親だ。しかし、東くんの母親はかなり熱心な教育ママであり、東くんと向き合ってはいるものの、その束縛とプレッシャーが東くんに対して強いストレスを与えている。

さらに、ことあるごとに東くんを勉強のできる兄・潤也と比較し、東くんの回想シーンでは母親が潤也を見て東くんの方に目を向けていなかったり、母親自身の顔が見切れていたりと、東くんと向き合っていない様子が見て取れる。

大人たちは子供の世界を見ていないが、子供たちは大人の世界を見て理解している。大人たちの与えるリアリティを伴った圧力によって苦しむ子供達の顔は、見ていて非常に苦しくなる。

そんな彼らの世界に現れた無垢な存在・タコピーが与える影響は、彼らをどう変えていくのか。タコピーが抱える「原罪」とは何なのか。

3月4日(金)発売予定の上巻が発売されるまでに物語がどうなっていてもいいように、覚悟を決めておきたい。

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