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藤本タツキ『ルックバック』は修正されるべきだったのか 弱体化する批評の価値

藤本タツキ『ルックバック』は修正されるべきだったのか 弱体化する批評の価値
藤本タツキ『ルックバック』は修正されるべきだったのか 弱体化する批評の価値

『ルックバック』単行本/画像はAmazonより

『ルックバック』の犯人は「凡庸な狂気」だったのか
もう1つ、もともとの『ルックバック』が本当に偏見や差別の助長につながるのか検討する上で、考えるべきはほんの数ページのみ描かれた犯人の描写である。斎藤氏は「幻聴」「被害妄想」などの描写から、犯人が「ひどく凡庸な狂気のイメージ」「意思疎通が不可能な狂人」を推測させ、「強いて言えば統合失調症が一番近い」ものであり、読者のステレオタイプを強化しうると懸念を示されている。斎藤氏に限らず、この点を憂慮した上での批判は他にも散見された。

しかし、『ルックバック』で描かれた犯人の描写は、「ひどく凡庸な狂気のイメージ」と考えるには程遠い。凡庸どころか、現実に存在した狂気そのものを描いているように思う。それは何より、この作品が現実をモデルとした私小説的な属性を鑑みる上で、明らかだ。

例えば、「元々オレのをパクったんだっただろ!?」という修正前の通り魔のセリフ...

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