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松竹映画100周年記念作品『キネマの神様』がついに完成し、2021年6月28日、丸の内ピカデリーにて完成報告舞台挨拶と試写会が行われた。山田洋次監督をはじめ、主演の菅田将暉さん、そして永野芽郁さん、野田洋次郎さん、北川景子さん、寺島しのぶさん、前田旺志郎さん、宮本信子さんら豪華製作陣・キャストが登壇した。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、席数は大幅に削減されていたが、映画好きの老若男女が「待っていました」と言わんばかりに劇場に駆けつけた。
100年の歩みが、ここに
2020年に100周年を迎えた松竹映画を記念して製作された映画『キネマの神様』。
小説家・原田マハさんの同名作品を原作に、日本映画界を代表する山田洋次さんがメガホンを取った。 主人公・ゴウの若かりし姿と現在の姿を演じる若手実力派俳優・菅田将暉さんと名優・沢田研二さんがW主演を務める。他にも豪華なスタッフ・キャストが勢揃いしている。
華々しい作品だが、その道なりは決して平坦ではなかった。
2020年3月から本作品の撮影は開始されたが、3月末、現在のゴウを演じるはずだった志村けんさんが、周知の通り、新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎のために死去。
さらに、政府により緊急事態宣言が発令され、撮影の中断が迫られた。
「一時はどうしようと思って、呆然としていたんだけど」と山田監督は当時を振り返る。
そんな『キネマの神様』のピンチヒッターに立ち上がったのが沢田研二さんだった。 その後も山田監督は、この映画が封切りを迎えられたことへの感謝を何度も、噛み締めるように壇上で口にしていた。
「色んなモノが遺っていて…」
当時、志村けんさんの本読み(脚本の読み合わせ)を見学してから自身の撮影に入ったという菅田将暉さん。若かりしゴウを演じる上で、お芝居も志村けんさんの演じるゴウを想定していたという。
そして訪れた事態の急変に、「現代パートはどうなるのかな」と当時の不安をあらわにした。
そんな状況下でも、山田監督は新たに脚本を追加し、撮影再開に向けて動いていた。 菅田将暉さんは、沢田研二さんのゴウを見て「どこかで、僕は勝手に志村さんを感じた」と語り、「だから確実に色んなモノが遺っていて、他にない映画になっている」と、映画の出来栄えを改めて評した。
「前の座席を蹴っ飛ばしたって一向に構わない」山田洋次の映画館論
舞台挨拶の最後に、山田監督は、在りし日の映画館の姿を語った。「(『男はつらいよ』の)寅さんを上映している頃は、お正月は超満員の状態で。座席どころか通路にもビッシリと人がいて。通路にもベタベタと座っていたし、ワーワーと客も賑やかに大声で叫んだり笑い合ったりしながら観てくれたことを、今、僕は思い出しています。
映画っていうのは、本当はそんな風にして、大勢が賑やかに声を上げながら見るもんじゃないかと」山田洋次監督
新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、現代では難しい鑑賞スタイルだが、封切りの日が無事に来るように祈っているという山田監督の、映画を楽しんでほしいという純粋な思いにあふれる言葉だ。「静粛に観てくださいなんて最近はテロップが出てくるんだけど、お金を払って観にきたんだから、うんと楽しんでいただきたい。前の座席ぐらい蹴っ飛ばしたって一向に構わないと、そういう風に思います。
そういう映画館であってほしいし、そういう映画をつくりたい、そんな風に思っております。どうかこの映画が、みなさんにとって(そんな風に)楽しいものでありますように」山田洋次監督
キャストも時に笑い声を挙げながら、全員が監督の方を見つめ、熱心にその言葉に耳を傾けていた。
舞台挨拶では、撮影中に起きた、“山田組”ならではの奇跡のようなエピソードも語られた。
北川景子さんが涙した奇跡のエピソードも
©️2021「キネマの神様」製作委員会日本を代表するクリエイターたち
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