「主催者に多大な負担強いる」開催直近の即売会「文学フリマ」が見た行政の対応

「主催者に多大な負担強いる」開催直近の即売会「文学フリマ」が見た行政の対応
「主催者に多大な負担強いる」開催直近の即売会「文学フリマ」が見た行政の対応

5月16日(日)に開催を予定している「第三十二回文学フリマ東京」

POPなポイントを3行で

  • 新型コロナ感染拡大で緊急事態宣言が発令
  • 同人誌即売会にも延期をはじめとした影響
  • 宣言明けに開催「文学フリマ」の見通しとは?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い4月25日から適用された緊急事態宣言。「コミックマーケット」をはじめとした同人誌即売会も、他のイベント同様に影響を受けています。

すでに延期が決まっていた「コミックマーケット99」に加え、赤ブーブー通信社主催の「SUPER COMIC CITY GYU!!2021」は開催を翌日に控えていたにもかかわらず延期を決めました。 一部報道で延長の見通しであるものの、緊急事態宣言は現状5月11日までを予定。即売会を運営する団体は現状と今後をどのようにみているのか? ──宣言明けの5月16日(日)に開催を予定している文学作品展示即売会「文学フリマ」の担当者に、見通しを取材しました。

事務局の担当者は「緊急事態宣言がゴールデンウィークに出ることは覚悟していた」とする一方で、「過去2回の宣言と比べて制限が厳しくなると示されたタイミングが遅すぎたと思う」と政府や都の対応に疑問を呈しています。

主催者に多大な負担「タイミングが遅すぎた」

「文学フリマ」は、下は10代から上は90代まで、プロ・アマもジャンルも問わず、小説・評論・研究書・詩歌・ノンフィクションなど、あらゆるジャンルの文学作品が集まる展示即売会。

九州から北海道まで全国8箇所で年合計9回開催されており、会場には個人・出版社問わず、同人誌や商業誌が並びます。宣言明けの5月16日には「第三十二回文学フリマ東京」が東京流通センターで開催予定です。

「(新型コロナウイルスについては)去年の2月ごろからずっと情報収集を続けている。文学フリマは全国各地で開催しているので、各地の事務局とも地元の情報を共有している」

そう語る事務局担当者は、東京都として3度目となる緊急事態宣言は「覚悟していた」と語る一方で、「過去2回の宣言と比べて制限が厳しくなると示されたタイミングが遅すぎたと思う。4月23日の夜に公式発表、翌日の24日に東京ビッグサイトが(翌日開催を含む)イベントを中止させたことは、主催者に多大な負担を強いる対応だった」と振り返りました。

仮に緊急事態宣言が11日以降も延長され、次回開催日である16日も含まれた場合は、「(今回の緊急事態宣言では)会場側に対して無観客以外で展示場を貸さないように要請が行われているので、その場合は『第三十二回文学フリマ東京』も会場が使用できず中止となるだろう」

なお、こうしたケースの場合は「会場使用料は返金となる見込み」と言います。

「中止でもすべてが無駄にはならない体制を構築」

一方で、イベント開催に発生する費用は会場使用料だけではありません。文学フリマ事務局担当者も、開催前とはいえ「感染症対策備品なども含めて、すでに数十万円の経費が発生している」と語ります。

入場証や出店案内の制作費や郵送代、通常の運営備品に加えて、感染症対策備品などの経費がすでに数十万円発生している。それでも中止リスクに備えて経費を抑えてきたことと、まだ当日の配置図リーフレットなどを発注していないので、直前に中止となったイベントに比べれば損金は少ない」

加えて「文学フリマ」は、感染症対策備品などは全国の文学フリマで共通使用することを前提に準備しており、中止となってもすべてが無駄にはならない体制を構築。ただし、仮に現時点で主催者都合で中止した場合、会場使用料の100%を文学フリマ側が負担することに。 「緊急事態宣言が5月11日までとされている現時点で事務局として中止を判断した場合、『主催者都合によるキャンセル』のため、会場使用料100%の200万円を契約解除料として支払うことになる。2020年5月の中止時はこのケースに該当し、実際に会場側に対して200万円を支払っている

最後に今後の見通しについて、「5月16日開催の『第三十二回文学フリマ東京』に関しては開催することを前提に、緊急事態宣言が解除になるか延長になるかの政府発表を待って、最終的な判断をすることになる。5月の東京以降も各地で開催予定があるので、全国の文学フリマ地域事務局と連携して感染症対策を行い、イベントを継続していきたい」と明かしました。

様々な表現が集まる即売会

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