各フォーマットごとに計15枚が禁止され、時折り発表される『Magic: The Gathering』の禁止改訂の中で、過去最大の禁止枚数となりました。
その一覧は以下のようになっています。
また、一部ルールに変更がもたらされ、新カードセット「カルドハイム」の発売より話題となっていたルールの穴をついた(ほぼ)瞬殺のコンボも封じられることとなりました。『MTG』禁止制限告知(2021年2月15日)
【ヒストリック】
《創造の座、オムナス》 禁止(一時停止から)
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 禁止
【パイオニア】
《欄干のスパイ》 禁止
《時を解す者、テフェリー》 禁止
《地底街の密告人》 禁止
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 禁止
《荒野の再生》 禁止
【モダン】
《死者の原野》 禁止
《神秘の聖域》 禁止
《猿人の指導霊》 禁止
《ティボルトの計略》 禁止
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 禁止
【レガシー】
《アーカムの天測儀》 禁止
《戦慄衆の秘儀術師》 禁止
《王冠泥棒、オーコ》 禁止
【ヴィンテージ】
《夢の巣のルールス》 禁止解除
※【】内はカードの構築フォーマットを指す
禁止カードが続出の『MTG』
『Magic: The Gathering』は1993年にアメリカで発売された世界初のトレーディングカードゲーム。数学者のリチャード・ガーフィールドさんによって生み出され、世界中で4000万人を超えるプレイヤーとファンを持つといわれています。
国産のカードゲームに比べてルーリングやゲームバランスの調整についての評価も高く、かつては「禁止カードが少ないカードゲーム」という認識も少なからずあったのですが、それも昔の話となっています。
さらに、2018年のカードセット「ラヴニカのギルド」よりプレイデザインの理念「F.I.R.E」を導入(外部リンク)。
この理念によってよりエキサイティングなゲーム体験をもたらすデザインが推し進めされた結果、近年のカードセットは『Magic: The Gathering』の長い歴史からみても非常に強力なカードが多く、既存の感覚とは違ったゲームとなっていきました。
2019年11月18日に6枚のカードに対する禁止改訂後には「責任は我々にあります」としてプレイヤーに謝罪を行うまでに至りました。
しかしながら、現在でも一部のパワーカードによって健全化されたとは言いづらい状況が続いており、今回のように多岐にわたるフォーマットで禁止カードが発表されています。
禁止カード、何が問題か
禁止カードは、抜きん出た強さによってゲームバランスを崩し、多様性を失わせる原因として判断されたカードであることがほとんどです。要は強く、支配的で、それだけ人気があります。【お知らせ】 2021年2月15日発表の、禁止・制限カードの改定とルールの一部変更の告知をお伝えいたします。ヒストリック、パイオニア、モダン、レガシー、ヴィンテージと、「続唱」のルールに変更があります。変更の内容と理由について記事にてご説明いたします。 https://t.co/M0B3Av8jUt #mtgjp
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) February 15, 2021
『MTG』をはじめとするTCGは中古市場が大きく、新品のパックだけでなく各カードショップがシングル単位でカードの販売・仕入れを行なっており、禁止カードに該当されるようなカードが概して人気が高く、需要と供給のバランスによって高額で取引されています。
例えば、今回3フォーマット(すでに禁止されている「スタンダード」を含むと4フォーマット)に及んで禁止となった《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は禁止前には1枚約8000円。ピーク時には約10000円ほどで取引されていました。 非常に強いカードですので、当然複数枚をデッキに入れることが当たり前となっており、それだけで数万円の資産であり、あるいは出費となります。
しかし、禁止カードに指定されるとゲームプレイでの需要が失われ、一気に値崩れを起こします。「一度もプレイすることなく禁止になった」「前日に4枚購入したのに、次の日には禁止になっていた」というケースも珍しいことではありません。
禁止改訂はゲームにおける欠陥(バグ)を認め、健全な状態に戻すのに必要な措置ではありますが、TCGというゲームや取引の性質上、資産が失われることによる補填はありません。
各カードショップによっては禁止改訂の間近に買ってしまった禁止カードの返品対応などを行うケースもありますが、それは極めて異例だといえるでしょう。
今回が最後の大粛清なのか、それとも
今回は25年以上の長い歴史でみても最高枚数の禁止発表となりましたが、今回の改訂が最後の大粛清なのか、また近々大きな禁止改訂があるのかはわかりません。長い歴史を持つだけでに、凄まじい種類のカードが存在し、その組み合わせをすべて考えてデザインすることは困難です。「面白さ」という観点からも同じような弱いカードばかりつくっていても飽きられてしまうでしょう。
しかしながら、実際にカードが金銭的な価値を持ち、プレイヤーや市場に影響を与えることから、さらに慎重なデザインや判断が望まれているのは間違いのないことです。
またこれは余談ですが『Magic: The Gathering』の開発報告・記事はゲームデザインを考えるにおいて、非常に有用かつ面白いので、ぜひ読んでみてください。
ゲーム・文化・産業としての『Magic: The Gathering』を考える
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:4312)
大前提最近禁止多すぎってのがあるとして
同名カード込で何枚禁止〜っていうのはずるいと感じる