SNKをサウジアラビア企業が買収へ ポップカルチャーに投資する皇太子の財団

SNKをサウジアラビア企業が買収へ ポップカルチャーに投資する皇太子の財団
SNKをサウジアラビア企業が買収へ ポップカルチャーに投資する皇太子の財団

画像はミスク財団の公式サイトから

POPなポイントを3行で

  • 『KOF』『メタルスラッグ』のSNKをサウジ企業が買収へ
  • ゲームへの投資が目立つムハンマド・ビン・サルマンの所有企業
  • ゲーム業界から世界的な影響を持つことも視野に?
サウジアラビアの企業Electronic Gaming Development Company(以下EGDC)が、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(KOF)などで知られるゲーム会社・SNKの株式を取得したことを発表。

EGDCを所有するミスク財団が、公式サイトで33.3%となる株式取得の経緯について発表。今後51%の株式を持つ最大株主になる予定だと説明している(外部リンク)。

なお、複数の韓国メディアが報じているところによれば、SNKは11月26日に、EGDCと筆頭株主の変更を含む株式譲渡契約を締結。2021年1月までに、EGDCが51%の株式を取得して買収する予定だという。(外部リンク)。

韓国メディアからの報道が相次いだのは、SNKが現在、韓国の証券市場・コスダックで上場していることと、現時点での大株主が香港と中国の企業で構成されていることを考えると自然である。

アニメやゲームに積極投資するムハンマド・ビン・サルマン皇太子

EGDCは、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が設立したミスク財団が所有する企業。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はサウジの社会改革を推進する人物で、その一環として、近年、アニメやゲームへの積極的な投資、あるいはクリエイターの人材育成をサポートしていることで知られている。

サウジアラビアでは宗教上の理由から映画館が禁止されていたが、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の改革として、2018年、35年ぶりに国内に劇場がつくられた。

「AnimeJapan 2018」にて、ミスク財団のマンガプロダクションズ

Netflixなど海外企業の出展が目立った「AnimeJapan 2018」にも、ミスク財団が所有する企業・マンガプロダクションズが出展しており、『KOF』関連の展示を行っていた。 『KOF』は中国や韓国などアジア圏における人気が特に高く、EVOなどの格闘ゲーム大会では上位をアジア圏の選手が占めることも珍しくない。

SNKの買収にEGDCが動き出したのは、今後の経済成長が各国で見込まれるアジア圏での『KOF』の高人気も影響しているだろう。
KOF XIV STEAM EDITION –Trailer 2

UAEのシェイク・マンスール王子の再現も視野に?

SNKには、「KOF」以外にも人気タイトルが存在する。

買収によって『サムライスピリッツ』『メタルスラッグ』などの掌握を見込めるとすれば、(少なくとも今のサウジアラビアと比べて)ゲーム業界で今以上に影響力を持つことを視野に入れているとも予想できる。

他ジャンルの話にはなるが、アラブ首長国連邦(UAE)のシェイク・マンスール王子が、2008年にイングランドのサッカークラブ(マンチェスター・シティ)を買収。現在までにチームを世界的なビッグクラブに成長させるとともに、今や各国のサッカー関係者に影響を与えている。

この事例からもわかる通り、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の買収が功を奏すれば、年々盛り上がりを見せるゲーム産業、そしてe-Sports業界にとっての新たな起爆剤になる可能性も十分にある。

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