無駄な街・渋谷で出会った音楽と映像──Sakiko Osawa×ショウダユキヒロ対談

無駄な街・渋谷で出会った音楽と映像──Sakiko Osawa×ショウダユキヒロ対談
無駄な街・渋谷で出会った音楽と映像──Sakiko Osawa×ショウダユキヒロ対談

左がショウダユキヒロさん・右がSakiko Osawaさん

衰退する渋谷カルチャーを描く短編映像作品「Gimme Action ft. Saga Bloom」が5月に公開されて話題を呼んだ。音楽を手がけたのは、Sakiko Osawaさん。

様々な人種が夜な夜な集うウォームアップ・バーとして知られる渋谷道玄坂のしぶや花魁が設立した音楽ブランド・OIRAN MUSICに所属、2月にオランダ・アムステルダムよりデビュー、6月には2nd EP『Gimme Action ft. Saga Bloom』を世界配信した気鋭トラックメイカーだ。

そして、映像を手がけたのは、サカナクションやandropのMVなどを手がけ、30名ものクリエイターが参加したlivetune adding 中島 愛「Transfer」MVに名前を連ね、『映像作家100人 2014』にも選出されているショウダユキヒロさん。

Sakiko Osawa - Gimme Action ft. Saga Bloom (OIRAN MUSIC 2014)

 
2つの才能が出会ったしぶや花魁にて、お店のプロデューサーでもありOIRAN MUSICの設立者でもあるヴィーナス・カワムラユキさんと、今回の映像のプロデューサーとして株式会社ブルート・守屋貴行さんを交えた座談会を決行。
 
渋谷を遊び場にしてきた面々が渋谷の変化をどう感じ、なぜ今アクションを起こすに至ったのか──その真意に迫った。

さらに、この対談のために、Sakiko OsawaさんがKAI-YOUをイメージして制作してくれたというDJ MIXも公開 8月16日(土)に花魁で開催される、Sakiko Osawaさんによるパーティー「Tokyo Eternal Triangle」も見逃すな!
 

しぶや花魁がつなげた才能

左がショウダユキヒロさん、右がSakiko Osawaさん

──Sakikoさんが音楽に触れ始めたのはいつのことなんですか?
 
Sakiko 3歳くらいからバイオリンやピアノは習っていました。中学では反抗期だったから、どうしてもバンドがやりたくて他の楽器を全部やめてエレキベースをずっと弾いていたんです。
 
上京して日本大学芸術学部に入って、音響学を学んでいました。その後、20歳ぐらいからいわゆるDTMにはまったんです。元々電子音楽に興味があったのは、私が中高の時に、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとかリンキン・パークみたいな、今となっては聞かない“ミクスチャーロック”が目立っていたことの影響もあります。
 
その頃から、ソフトも手ごろな値段で手に入れられるものが沢山あったので、たまに曲をつくってMyspaceに投稿したりしていました。
 
──花魁との出会いはいつだったんですか?
 
Sakiko 学生時代、モーリー・ロバートソンさんというジャーナリストの方がUstreamの番組を配信されているのを見て、私が持ってるコントローラーをめちゃめちゃ使いこなしてる! って感動したことがあって。
 
調べたら、ハーバード大学でシンセサイザーを学ばれて、日本でもCDをリリースされている方で、弟子にしてくださいと直談判しました。
 
「シンセを教えてあげる代わりに配信を手伝って」ということになって、しばらくインターンとして働いていた時に、番組のゲストが花魁のヴィーナスさんだった回があったんです。その後、映像会社に就職したんですが、曲づくりも続けていました。友人主催の花魁でのパーティーでライブをする機会もあって、曲ができるたびにSoundCloudに投稿して、ヴィーナスさんにも聞いてもらうようになりました。
 
──OIRAN MUSICでデビューすることになった直接的なきっかけはあったんですか?
 
Sakiko 2013年の夏にアップした「Southern Cross」という曲を気に入っていただいて、あっという間にリリースしましょうという流れでした。今年の2月に1st、6月に2ndを、どちらもオランダからリリースしました。
 
カワムラ OIRAN MUSICは、Sakiko Osawaをデビューさせるために立ち上げたみたいなものです。それほどに「Southern Cross」には衝撃を受けたんです。  
──その2nd EPのリードトラック「Gimme Action ft. Saga Bloom」が、ショウダユキヒロさんが監督をつとめた映像作品とコラボされたわけですが、ショウダさんはどういう風に関わっていったんですか?
 
ショウダ ヴィーナスにお願いされて、じゃあやろうかって。ヴィーナスとは5年くらいの付き合いだから、出会いは正確には覚えてない。渋谷で遊んでて花魁にも行くようになってたし、友達の友達はみんな友達っていうヤツらばっかやったから。
 
ただ、最初に一緒に何かをやったって意味では、「Cut&Paste(カット&ペースト)2010」っていう、ライブでデザインをつくる大会のモーショングラフィック部門で出場した時。映像つくって遊ぶのが好きだから出ることにしたんだけど、映像に音楽を使いたくて、ヴィーナスに「grotesque」っていう曲を使っていいか聞いたら「もちろんよ、アンタがんばってきなさいよ」って言ってくれて。それでまず日本で優勝して、NYでやった世界大会に出場。
   
カワムラ 話題になった「blind」の時も、クラウドファウンディングでお金を集めるためのビデオを花魁で撮影してくれて、それもかっこ良かった。それで、「Gimme Action」で映像をつくってくれないかって相談したんだよね。
   
ショウダ 俺にとって、映像もぜんぶ遊びの延長だから、面白くないとやらないし、面白い人間と一緒にやるのは面白い。ヴィーナスは面白いし気合入ってるから、こっちも気合い入れて遊んでみようってことでできたのが「Gimme Action」でした。
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Sakiko

テクノ系DJ&クリエイター

数多くのクラブやバー、映画館、シアターなどが集結する渋谷・道玄坂でカルチャーの交差点として機能し続けているウォームアップバー&レストラン「しぶや花魁」を根城に創作活動を展開。
 
2013年2月、音楽ブランド「OIRAN MUSIC」のプロデュースで、アムステルダム ” 7 Stars Music ” より「Tokyo Disco Beat EP」でデビュー。6月には「Gimme Action ft. Saga Bloom EP」を世界配信リリース、リードトラックには「衰退する渋谷カルチャー」に対するメッセージとアクションを込めたコンセプト映像作品を制作。

ショウダユキヒロ

ディレクター、KEEP IT REAL代表

大阪市出身、東京在住。京都工芸繊維大学 造形工学科卒業後、某ポストプロダクションに入社、様々な技術職を経て、2009年よりディレクターに転向、独立。サカナクションやandropなどのアーティストのMVを中心に、ショートフィルム、ドキュメンタリー等ジャンルに縛られず活動中。
 
震災以降の日本社会を描いた「blind」の発表や、池上高志や猪子寿之、きゃりーぱみゅぱみゅといった日本のカルチャーを牽引するキーパーソンが集まった「Social 0.0 LAB」プロジェクトで映像作品の監督をつとめ、映像作家年鑑『映像作家100人』では2011年から4年連続で選出されている。

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