ナユタン星人&「初音ミク」ライブプロデューサーが語るVRライブの“侵略計画”

VRを体感することへの敷居を下げる

【初音ミク】PROJECT G 01【Hatsune Miku】
──ここからは、「初音ミク GALAXY LIVE 2020」ならではの魅力をプロデューサーの関本さんにうかがっていきます。まず、「初音ミク GALAXY LIVE 2020」はいつ頃からどういった目的で企画されたのでしょうか?

関本亮二(以下、関本) 2019年の春頃にパルス代表の銭さんとお会いする機会があり、「INSPIX LIVE」の仕組みやビジョンをお聞きしました。

スマートフォン対応の「INSPIX LIVE」が、VRを体感することへの敷居を下げ、自宅から参加できる高品質なバーチャルライブという新しい市場の成功事例になると考え、パルスさんと一緒に初音ミクのバーチャルライブ企画を進めてきました。

──バーチャルライブのプラットフォームはいくつかありますが、今回「INSPIX LIVE」を採用した理由はどこにあるのでしょう。

関本 これまでVR・ARコンテンツに興味はあっても、ゴーグルなど専用機材を揃えるなど、体感するまでの手順の面倒さによってなかなか手を出しづらいという声を多く聞いていました。私もその一人でしたので、「INSPIX LIVE」はスマートフォンに対応しているという手軽さに興味を惹かれたのが最初でした。

さらにVRモードの他に裸眼で体感できる平面モードも備えていること、リージョン(地域)を制限しながらグローバルに展開できること、大規模な接続数に耐えることができるエンジンがあることなど、「INSPIX LIVE」のチームは全てを高い次元で満たしていました。

また、制作スタッフと企画を詰めていく中で「ぶっ飛んだものを創る」「何よりもファンが喜ぶものを」という熱意が強く感じていたので、ご一緒させていただくことを決めました。とても良い出会いだったと思います。 ──テーマソングの制作をナユタン星人さんに依頼した経緯は?

関本 当社には音楽のディレクション業務などを行なっている「音楽ユニット」というチームがあり、そこのチームがナユタン星人さんを起用したいと提案したのが始まりでした。

当社が主催している初音ミク「マジカルミライ」などのライブイベントでは、以前からナユタン星人さんの楽曲を演奏させていただいてます。振付・演出映像などが各セクションでブレることなく制作できていますが、それは彼の音楽の世界観が聞き手にしっかり伝わるからです

今回の「GALAXY」というキーワードに対して、ナユタン星人さんがぶつけてくる世界観がどうなるか非常に楽しみにしていましたが、言葉・演奏に狙った遊びが入っている中、きっちりポップミュージックとして成立させ、ライブの入り口として素晴らしい作品を提供していただきました。

ファンの皆様にも是非ライブ当日まで「水色侵略」を聴きまくって、ライブに参加してほしいですね。

──公式Twitterには「初音ミク GALAXY LIVE 2020」の前日譚を描いたイラストが毎週投稿されていました。荒廃した世界で初音ミクとゴーレム、ラビィとの出会いが描写されていますが、改めてライブのストーリーについて教えていただけますか?

関本 あの前日譚は、我々がいる現実の世界とは違う並行世界のお話です。

荒廃した世界・INSPIX WORLDの唯一の住人となった初音ミクが、この世界に再び彩りを取り戻すために歌うというストーリーですが、まだ全てをお見せ出来ていないので、今後も続く「GALAXY LIVE」の一つのコンテンツとして楽しんでもらえたら嬉しいです。

想像の世界「GALAXY=銀河」を体感

──今回のバーチャルライブ制作の中で苦労した点はどこでしょうか?

関本 とにかくスマートフォンの描画性能の制約が厳しかったです

それによって企画された演出を実現できなかったものがいくつもあり、中には心が折れかかったスタッフもいましたね。開発チームが一丸となって諦めずにやり続けたことによってノウハウの蓄積に繋がり、演出の幅も日々広がっていきましたし、次回以降に持ち越しになった演出もあるので、今後が楽しみです。

──実際にライブ体験した「あと」で「値決め」を行う「ポストプライシング」という料金システムはなかなか珍しいものだと思います。無料にした理由や「ポストプライシング」というドネーションの仕組みを導入した理由は?

関本 初音ミクの文化はクリエイターの二次創作やファンの繋がりによって成り立っているので、ライブの値付けも運営側が決める形ではなく、独自の設定方法を模索している時期もありました。

そんな中、パルスさんからポストプライシングで挑戦させて欲しいと提案を受け「これだ!」と思いました。会場キャパの上限がないバーチャルライブにおいてはこのスタイルがマッチすると思います

──最後にバーチャルライブ自体に興味のある方や初音ミクファンに向けた今回のライブの注目すべき点、見どころを教えて下さい。

関本 注目すべき点は、タイトルにある通り「GALAXY=銀河」に尽きると思います。

「バーチャルライブ=全く異次元な仮想空間でのライブ」というのが主流になっている印象だったので、同じ手法は取りたくないというのがありました。

全く想像がつかない世界よりも、想像はできるけど行ったことがない・行けない世界の方が余計ワクワクするよな、と漠然と思っています。

銀河はスケールが大きく、未知数であるがゆえ、演出にも色々応用できると考え、最初の段階から「GALAXY」をコンセプトに演出を詰めていきました。

制作に関わったスタッフの頭にある銀河でのイメージを凝縮したステージになっているので、できればハコスコなどスマートフォン用のVR機器を用意して没入して欲しいです。

また、「初音ミク GALAXY LIVE」は今回で終わりではなく、今回のライブではお見せできなかった仮想空間でのコンテンツも展開していきたいと思っています。そちらもぜひ楽しみにしていてください。

新しいムーブメントを生む銀河のスペクタクルショー

【PV】初音ミク GALAXY LIVE 2020
初音ミクを電子の歌姫・バーチャルな存在と考えるなら、バーチャルライブは彼女にこそ相応しいステージだ。

はじめは異質がられていたものが、徐々に世界へ受け入れられていく過程とそこに生まれる興奮。それは13年前、初音ミクが誕生しニコニコ動画で築き上げられた当時のボカロ文化と今のバーチャルカルチャーも変わらない

日々、どこかのVRプラットフォームに投稿されたアバターやバーチャルワールドが注目を集め、創意工夫と切磋琢磨、バーチャルキャラクターの二次創作が繰り返されている。

13年前、煌めく彗星のようにあらわれた初音ミクはボカロ文化という当時は想像もできなかったような大きなムーブメントを育んだ。

今、彼女はバーチャルカルチャーという新星の引力につれられ周回軌道を辿ってシーンの最前線にあらわれる。古来、実際の彗星が何かの予兆と考えられてきたように、今回のライブもきっと何かの先触れなのかもしれない。

スマホから参加可能で入場無料ということもあり、多くの人にとって敷居の低い今回の「初音ミク GALAXY LIVE 2020」。

ナユタン星人さんをはじめ、多くのクリエイターが生み出すボカロ文化とバーチャルカルチャーが交差する銀河のスペクタクルショーがどのようなものになるのか。新しいムーブメントの侵略開始をぜひ観測してほしい。

初音ミクを取り巻く文化圏

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イベント情報

初音ミク GALAXY LIVE 2020

開催期間
DAY 1:2020年9月26日(土)19:00(OPEN 18:30)
DAY 2:2020年9月27日(日)19:00(OPEN 18:30)
会場情報
「INSPIX LIVE」アプリ内
– App Store: https://apps.apple.com/jp/app/inspix-live/id1471497988
– Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.pulse227.inspix&hl=ja
※日本国内からのみアクセス可となります
入場チケット発行スタート(無料)
9月5日(土)12:00~
※入場にはチケットが必要です
※チケットはアプリをインストール後、無料会員登録後に入手することができます

関連キーフレーズ

ナユタン星人

作曲家/ボカロP

ナユタン星人という名前で曲をつくっています。イラストや動画制作もやります。
代表曲は「エイリアンエイリアン」、「太陽系デスコ」、「ダンスロボットダンス」など。
提供曲はEve「惑星ループ」、ナナヲアカリ「ダダダダ天使」、
ミライアカリ「ミライトミライ」、ピンク・レディー「メテオ(映画妖怪ウォッチ主題歌)」など。

関本

「初音ミク GALAXY LIVE 2020 」プロデューサー

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 LIVEチーム マネージャー
初音ミク「マジカルミライ」、MIKUEXPO、あんさんぶるスターズ!DREAM LIVE、Kizuna Ai 1st Live “hello,world”など​、これまで​多数のバーチャルライブのステージをプロデュース・演出​を担当​。

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