『東大王』や『頭脳王』など、クイズ番組がお茶の間を賑わせる現在。スマートフォンアプリ「みんなの早押しクイズ」も流行し、「クイズ」がより身近になってきた。
しかし、これだけ「クイズ」そのものに親しんではいるものの、私たちは「クイズ業界」のことは意外なほど知らない。
YouTubeやWebメディアを通じて「クイズ」の楽しさを発信しているQuizKnock(以下、クイズノック)の伊沢拓司さんとふくらP(福良)さんにお話を聴いてみた。
プレイヤーとして日本テレビの『全国高等学校クイズ選手権』(通称・高校生クイズ)2連覇を成し遂げ、『東大王』への出演などクイズ王の名をほしいままにする伊沢さん。
クイズノックのYouTube進出を提案し、自身も出演しつつユニークな企画や編集を手掛けるふくらPさん。
クイズがつくられる仕組みやクイズプレイヤーたちの素顔など、気になる「クイズ」の裏側とは? 撮影:I.ITO
伊沢 僕は中学の時でした。もともと運動が好きで、クイズのことは別に好きじゃなかった。小学生のころからフットサルをやってて、中学校でも続けようと思っていたんです。
新入生歓迎会の日に時間潰そうと思ってクイズ研究部のブースで実際にクイズをやってみたら、意外と勝てちゃったんですよ(笑)。
間違ってもいいやと思って押しているから、ぽんぽん早押しできて。勝ったから気分良くなっちゃって、仮入部しました。
本命のフットサルは、受験明けでなかなか動けないし運動神経がいいわけでもなかったから全くついていけなくて、すぐ行かなくなっちゃったんです。
それで残ったのがクイズ研究部(笑)。当時の開成クイズ研究部は部員が一桁の超弱小で、それにクイズって運要素も大きいから先輩に勝てちゃったりするんですよね。
入部の時と同じで、それで気分良くなって、じゃあまあ続けてみるかって。それをず~っと繰り返して今に至ります(笑)。
福良 僕がちゃんとクイズを学ぶようになったのは大学生になってからです。
小学生の頃から『クイズ!ヘキサゴン』や『クイズタイムショック』を見て、「クイズいいなぁ」ってずっと思ってて。中学生の時には、難しい問題に答える「高校生クイズ」がすごい好きで、そこにいきたいなって思うようになりました。
中高にはクイ研がなかったのでちゃんとクイズの勉強をしてたわけではないけど、実は高校生クイズには出場してて。高3のときに香川県で優勝して全国に行ってるんです。
伊沢 そう、実はそこで会ってるんだよね。福良さんが初めて早押しボタンを押したとき、問題読んでたのは僕らしいんですよ(笑)。
福良 当時、彼は僕が出場した前年に優勝していて、僕からしたら「あの伊沢くんだ…!」という(笑)。その時伊沢は早押しボタンを持参してて、地方の僕らはそんなボタンなんか初めて触りましたよ。ホテルで、伊沢が問題を呼んでくれて、みんなでワイワイクイズをしました。
伊沢 僕はクイズを始めてもう5年くらい経っていたから、「もっとクイズ広まれ~!」という思いでそういうことをしてましたね。
過去のインタビューでは、ここに至るまでに様々な紆余曲折があったことをお話されていますが、今クイズノックとしてどういった点に力を入れているのでしょうか?
伊沢 やっぱり、一番はエンタメとしての質を高めていくことですね。クイズノックはもう純粋な「クイズ」からは飛び出てしまっているので、他のエンタメコンテンツがライバルにはなってきます。
あとは、2019年に会社化して今2年目なので、組織を整えることを第一に考えています。「自分たちの強みが何なのか」というのも含めて、エンタメの質を高めるため手探りで一つ一つやっていっています。
例えば動画一つ制作するのでも、YouTuberとしては珍しいくらい組織としてしっかり反省会を開くなど、試行錯誤しています。
──反省会ではどんなことを話し合うんでしょうか?
伊沢 本当にいろいろですね。福良さんは会議多くて大変だよね。
福良 「今回の企画はこういうところは良かったけど、こういうところは良くなかった」とか、「最終問題はもっとこうした方が面白かったかもね」っていう、良いところ悪いところを分析したり、演者として「今のところはもうちょっと早くツッコミできた」といった振り返りとかもありますね。【東大王リスペクト企画】東大主〜超簡単な問題だけのNo.1決定戦〜
──私は個人的に、東大王に出演している伊沢さんや河村さんが東大王の形式に沿って超簡単な問題に答えて解説する「東大主」が大好きなんですが、この企画に代表されるように特に初期は“啓蒙的な側面が強いお笑い”という印象がありました。現在は、よりみんなが楽しめるポップなノリになっているように感じますが、それは意識された転換だったのでしょうか?
福良 そんなつもりがあったわけではないですね。
伊沢 初期と現在とで違いがあるとしたら、たぶん、僕らの腕が上がったんだと思います(笑)。最初はやっぱり恥じらいもあって、ボソボソ話しちゃったりとか。
だからYouTubeを始めて1年ぐらいは、僕も楽しみつつ勉強として一日2・3時間はYouTubeを見てました。
福良 むしろ少ないな(笑)! 僕はもともととにかくYouTubeが好きで、1日の結構な割合をYouTubeの分析にあてていましたね。
伊沢 クイズノックでYouTubeを始めようと提案したのも福良さんだしね。
僕は手広くというより、おるたなChannelさんや東海オンエアさんをめちゃくちゃ見てましたね。
結局、登録者数と質は結びつかないと感じました。夕闇に誘いし漆黒の天使達とか、どこよりもつくり込んだクオリティでしたし。
ただ、そんな中でもHIKAKIN(ヒカキン)さんの偉大さにも触れました。「自分自身が笑うことが人を笑顔にするんだな」と気付いてから、純粋に俺たちは笑ってなきゃいけないと学びましたね。
それを実践していった結果明るくなったし、単純にバラエティ的な腕が上がったんだと思います。
福良 始めた頃は方向性が定まらないし、何をやったら成功して何をやったら失敗するかわからないのでとりあえずいろんなことをやってて。こっちの方が楽しまれているなっていう傾向をちょっとずつ修正して、どうしたら見られるかを基準に企画を判断するようになっている。
伊沢 クイズノックには、2018年に「楽しいから始まる学び」っていうコンセプトができたので、それからは迷うことなくその基準で判断するようになりました。
しかし、これだけ「クイズ」そのものに親しんではいるものの、私たちは「クイズ業界」のことは意外なほど知らない。
YouTubeやWebメディアを通じて「クイズ」の楽しさを発信しているQuizKnock(以下、クイズノック)の伊沢拓司さんとふくらP(福良)さんにお話を聴いてみた。
プレイヤーとして日本テレビの『全国高等学校クイズ選手権』(通称・高校生クイズ)2連覇を成し遂げ、『東大王』への出演などクイズ王の名をほしいままにする伊沢さん。
クイズノックのYouTube進出を提案し、自身も出演しつつユニークな企画や編集を手掛けるふくらPさん。
クイズがつくられる仕組みやクイズプレイヤーたちの素顔など、気になる「クイズ」の裏側とは? 撮影:I.ITO
クイズ王・伊沢は別にクイズが好きじゃなかった!?
──お2人がクイズに出会われたきっかけは、どういったものだったのでしょうか。伊沢 僕は中学の時でした。もともと運動が好きで、クイズのことは別に好きじゃなかった。小学生のころからフットサルをやってて、中学校でも続けようと思っていたんです。
新入生歓迎会の日に時間潰そうと思ってクイズ研究部のブースで実際にクイズをやってみたら、意外と勝てちゃったんですよ(笑)。
間違ってもいいやと思って押しているから、ぽんぽん早押しできて。勝ったから気分良くなっちゃって、仮入部しました。
本命のフットサルは、受験明けでなかなか動けないし運動神経がいいわけでもなかったから全くついていけなくて、すぐ行かなくなっちゃったんです。
それで残ったのがクイズ研究部(笑)。当時の開成クイズ研究部は部員が一桁の超弱小で、それにクイズって運要素も大きいから先輩に勝てちゃったりするんですよね。
入部の時と同じで、それで気分良くなって、じゃあまあ続けてみるかって。それをず~っと繰り返して今に至ります(笑)。
福良 僕がちゃんとクイズを学ぶようになったのは大学生になってからです。
小学生の頃から『クイズ!ヘキサゴン』や『クイズタイムショック』を見て、「クイズいいなぁ」ってずっと思ってて。中学生の時には、難しい問題に答える「高校生クイズ」がすごい好きで、そこにいきたいなって思うようになりました。
中高にはクイ研がなかったのでちゃんとクイズの勉強をしてたわけではないけど、実は高校生クイズには出場してて。高3のときに香川県で優勝して全国に行ってるんです。
伊沢 そう、実はそこで会ってるんだよね。福良さんが初めて早押しボタンを押したとき、問題読んでたのは僕らしいんですよ(笑)。
福良 当時、彼は僕が出場した前年に優勝していて、僕からしたら「あの伊沢くんだ…!」という(笑)。その時伊沢は早押しボタンを持参してて、地方の僕らはそんなボタンなんか初めて触りましたよ。ホテルで、伊沢が問題を呼んでくれて、みんなでワイワイクイズをしました。
伊沢 僕はクイズを始めてもう5年くらい経っていたから、「もっとクイズ広まれ~!」という思いでそういうことをしてましたね。
クイズノックとはなんなのか
──クイズノックといえば、2016年に東大クイズ研究会のメンバーを中心にクイズを通して学びを提供するWebメディアとして立ち上げられています。2017年にはYouTubeへ参入されて、クイズだけでなく様々な形で知識を活用する動画を配信され、現在はチャンネル登録者数は140万人を超えています。過去のインタビューでは、ここに至るまでに様々な紆余曲折があったことをお話されていますが、今クイズノックとしてどういった点に力を入れているのでしょうか?
伊沢 やっぱり、一番はエンタメとしての質を高めていくことですね。クイズノックはもう純粋な「クイズ」からは飛び出てしまっているので、他のエンタメコンテンツがライバルにはなってきます。
あとは、2019年に会社化して今2年目なので、組織を整えることを第一に考えています。「自分たちの強みが何なのか」というのも含めて、エンタメの質を高めるため手探りで一つ一つやっていっています。
例えば動画一つ制作するのでも、YouTuberとしては珍しいくらい組織としてしっかり反省会を開くなど、試行錯誤しています。
──反省会ではどんなことを話し合うんでしょうか?
伊沢 本当にいろいろですね。福良さんは会議多くて大変だよね。
福良 「今回の企画はこういうところは良かったけど、こういうところは良くなかった」とか、「最終問題はもっとこうした方が面白かったかもね」っていう、良いところ悪いところを分析したり、演者として「今のところはもうちょっと早くツッコミできた」といった振り返りとかもありますね。
福良 そんなつもりがあったわけではないですね。
伊沢 初期と現在とで違いがあるとしたら、たぶん、僕らの腕が上がったんだと思います(笑)。最初はやっぱり恥じらいもあって、ボソボソ話しちゃったりとか。
だからYouTubeを始めて1年ぐらいは、僕も楽しみつつ勉強として一日2・3時間はYouTubeを見てました。
福良 むしろ少ないな(笑)! 僕はもともととにかくYouTubeが好きで、1日の結構な割合をYouTubeの分析にあてていましたね。
伊沢 クイズノックでYouTubeを始めようと提案したのも福良さんだしね。
僕は手広くというより、おるたなChannelさんや東海オンエアさんをめちゃくちゃ見てましたね。
結局、登録者数と質は結びつかないと感じました。夕闇に誘いし漆黒の天使達とか、どこよりもつくり込んだクオリティでしたし。
ただ、そんな中でもHIKAKIN(ヒカキン)さんの偉大さにも触れました。「自分自身が笑うことが人を笑顔にするんだな」と気付いてから、純粋に俺たちは笑ってなきゃいけないと学びましたね。
それを実践していった結果明るくなったし、単純にバラエティ的な腕が上がったんだと思います。
福良 始めた頃は方向性が定まらないし、何をやったら成功して何をやったら失敗するかわからないのでとりあえずいろんなことをやってて。こっちの方が楽しまれているなっていう傾向をちょっとずつ修正して、どうしたら見られるかを基準に企画を判断するようになっている。
伊沢 クイズノックには、2018年に「楽しいから始まる学び」っていうコンセプトができたので、それからは迷うことなくその基準で判断するようになりました。
この記事どう思う?
1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:3801)
はじめまして。楽しく読みました。
少し気になった点があります。
"テレビ朝日の『全国高等学校クイズ選手権』(通称・高校生クイズ)"とありますが、日本テレビではないでしょうか?