楽しいから始まる学び
──「楽しいから始まる学び」というコンセプトですが、これは具体的にどのようなものなのでしょうか?伊沢 例えばアイドルグループを『ミュージックステーション』(Mステ)で見て「ちょっと知ってみたくなったな」と思ったら、Wikipediaで調べたりする。それで再度曲を聞いたりすると、メンバーのこととかを知っているから、普通に聞くよりも楽しくなる。
楽しいともっと知りたくなるから、今度はライブDVDを買って、さらにディープな情報を知る。そうしてどんどん回っていくのが「知る」と「楽しい」のループで、これが知を深めるということにつながると思っていて。 伊沢 一方で、何も知らないところに「楽しい」とはならないですよね。必ずこのループって「知る」側から入らなきゃいけなくて、「楽しい」側から入ることはできない。
ただ、「知る」のってダルいんですよね。何かを観たり聴いたり読んだりしないといけない“動作”だから。
だから、クイズノックは「知る」と「楽しい」をセットにして、ユーザーがそのループに入りやすくするコンセプトなんです。
福良 そもそも色んな知識を持っている方が、何かを楽しめる確率が高いと思うんですよね。
伊沢 そうだね。だから、その楽しさを生む知識のきっかけとなる1歩目を届けるのが我々の仕事と定義してます。
──教育の現場でクイズノックのコンテンツを利用してもいいと公言されていますが、教育的な質よりもエンタメ性を重視しているのでしょうか?
伊沢 教育の現場での利用は、最初に教員の方から利用したいという問い合わせがあったので利用してもらって大丈夫だと公言しました。
それでも最初、具体的な使い方を提示するのにすごい苦労したんですよね。使えるの?!って思って(笑)。
クイズノックの動画ではエンターテイメントであることを優先しているので、一本の動画で、義務教育的な知識を多く学んでおらおうとは意識していないんです。
そのままテキストとして使うのではなく、なんか楽しげな奴らが面白そうなことをしていて、それを見て「ここではこう言ってるけれど」と授業の導入に使ってもらえればいいかなと考えてます。
福良 クイズノックの動画で義務教育から外れた話を一個もしないものなんてほぼないので、学校の授業を10分使ってクイズノックの動画を流したとしても、授業と全く同じ学習効果が得られるとは思っていません。
伊沢 世代が近いせいで遊戯王の話ばっかりしてるし(笑)。
クイズノックは優等生をつくるチャンネルではないですからね。出演してるのは成績的には優等生だった人が多いかもしれないけれど、それぞれ行儀よくストレートな人生を歩んできたわけではないです。
そういった中で、教育現場に必ずしもハマるわけではないですがどこかで何かに使えるコンテンツを出していっています。
何より大事なのは「クイズノック」というブランド
──メディアやYouTubeを運営する上で、ネタの基準や反省のポイントは、PVや再生回数が指標になるのでしょうか?伊沢 その企画が面白いか、そして実際の再生回数は一つの絶対的な答えではあるけど、優先されるのは「クイズノック」というブランドです。
動画やメディアのコンテンツ内容が「クイズノックとは何者であるか」というブランドよりも優先されることはなくて、ブランドを邪魔しない形で面白くしていく。
福良 仮に一億再生される動画を1本つくっても、次から誰も見てくれなくなるような嫌われる動画だったら意味がないですしね。
伊沢 福良さんは「伸びないだろうけどこれはクイズノックとしてやる価値あったんじゃない?」という判断もするし。メディアとして我々はどういうスタンスなのかを見せることを大事にしてます。
細かいけど、報告系の動画とかね。
福良 何かメッセージを伝えたいとき、よく「ご報告」っていうタイトルだけの動画を見かけると思うんですけど、クイズノックはタイトルにどんな内容か書くようにしてて。
タイトルで内容がわかるから再生せずに満足する人もいるんだけどそれで良い。その中でも興味ある人だけが見るほうが、お互い気持ちいいと思います。
伊沢 それが結果的に、クイズノックという集団への印象付けとしてはいい方向に働いていっていると思います。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:3801)
はじめまして。楽しく読みました。
少し気になった点があります。
"テレビ朝日の『全国高等学校クイズ選手権』(通称・高校生クイズ)"とありますが、日本テレビではないでしょうか?