半世紀の漫画を一望 筑摩書房が『現代マンガ選集』8ヶ月連続刊行

半世紀の漫画を一望 筑摩書房が『現代マンガ選集』8ヶ月連続刊行
半世紀の漫画を一望 筑摩書房が『現代マンガ選集』8ヶ月連続刊行

現代マンガ選集『表現の冒険』表紙/画像はAmazonから

POPなポイントを3行で

  • 筑摩書房が『現代マンガ選集』を8ヶ月連続刊行
  • 多角的な切り口で60年代からの漫画の歴史を総ざらい
  • 責任編集はフランス文学者の中条省平さん
毎週何誌もの週刊誌が刊行され、人気作『鬼滅の刃』が最終回を迎えればこぞってニュースにもなるほど私たちの生活に浸透している漫画。

当たり前のようにそこに存在し当たり前のように消費されていくからこそ、その全貌を把握するのはとても難しくなっている。

そんな中、筑摩書房から80周年記念出版として『現代マンガ選集』が刊行される。

本書は知られざる秀作を集め「現代マンガ」の流れを一望するアンソロジー。

8つのテーマに分かれて12月まで毎月1冊ずつ刊行される予定で、5月には漫画に技法的な革新をもたらした作家・作品を集めた「表現の冒険」が刊行されている。

責任編集は朝日新聞デジタルに漫画批評の連載を持つフランス文学者の中条省平さん。

刊行にあたって、中条さんは「本選集は、1960年代以降半世紀にわたる日本の「現代マンガ」の流れを新たに「発見」する試みです。マンガ表現の独自性を探り、「本物」を選りすぐって、時代を映すマンガの魂に迫ります。8つのテーマに基づいて、決定的な傑作、知られざる秀作を集め、日本の社会と文化の深層をここに浮かびあがらせたいと思います」とコメントを寄せている。

変動の時代、漫画の世界はどう動く?

漫画業界は変動の時代を迎えている。

Web漫画の興隆はコンテンツの多様化と広告による集客を加速させ、スマホを開けば何らかの漫画の広告を見ない日はないだろう。

コンテンツが多様性を増す中、読者だけでなく制作者にも、これまでの編集部への持ち込みだけでなくSNSでの発信など選択肢も広がっている。

ジャンプ各誌の作家や編集者が漫画を教える「ジャンプの漫画学校」が話題を呼んだのも記憶に新しい。 双方に選択肢が広まっており、なおかつ世界にもコンテンツが発信され続けている今だからこそ、様々な切り口で60年代から通史的に漫画を捉えなおす試みは素晴らしいものだとも思われる。

KAI-YOUでも、制作者や批評家、様々な観点から現代の漫画を捉えるコンテンツを配信しているので合わせて読んでみて欲しい。

『現代マンガ選集』刊行月・タイトル一覧
5月 『表現の冒険』マンガに技法的な革新をもたらした 作家・作品を集めます。
6月 『破壊せよ、と笑いは言った』ギャグマンガを中心にして、しかし、ジャンルにこだわらない〈笑い〉の諸相を追求!
7月 『日常の淵』日常、家族、身辺雑記。〈世界を新たな「低い目線」から捉える作家・作品を集めます。
8月 『異形の未来』SFに包括される問題系をできるだけ広く捉え、ラディカルに世界解釈の枠組みを解体する。
9月 『俠気(おとこぎ)と肉体の時代』格闘技、スポーツ、アクションなどを題材とし、〈肉体の時代〉の展開を映しだす。
10月 『悪の愉しみ』悪、犯罪、暴力、そしてエロティシズム。影の領域に挑んだ作家・作品をまとめる。
11月 『恐怖と奇想』ホラー、ファンタジー、奇妙な味、ブラックユーモアを色濃く帯びた作品を重視する。
12月 『少女たちの覚醒』少女マンガの革新を起点にして、女性マンガの展開を扱う。

(c)Inoue Norito Design Office, 2020.

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