自分の信用を数値化するサービス「LINE Score」から見える未来とは

【公式】LINE Scoreで日常をちょっと豊かに

POPなポイントを3行で

  • LINEが新サービス「LINE Score」発表
  • 信用を数値化するスコアリング
  • 先進国で導入が進む技術が示す未来
LINE株式会社が6月27日、カンファレンス「LINE CONFERENCE 2019」を開催。

24時間365日、ユーザーの生活すべてをサポートするライフインフラを目指すことを宣言し、今後のビジョンとなる「Life on LINE」の概要を発表。

近々、NTTドコモやテレビ東京などと提携した様々なサービスの提供が開始されることが明らかになりました。 それら様々なサービスの中でも特に注目を集めているのが、ユーザーの信用を数値化するサービス「LINE Score」。

AIを活用した独自のスコアリングモデルを採用し、LINE上での行動傾向や利用開始前に行われる15の質問への回答などをもとにスコアを算出。ユーザーごとのスコアによって最適なキャンペーンや特典などを提供するサービスで、スコアの値は100点から1000点まで。

例えばカーシェアリングをする際に割引クーポンの優待を受けられたり、人気の旅館を優先的に予約することができるなど、多彩な特典があります。また、最適なローンの条件提示を受けることもできるとのこと。

なお、このスコア算出は必ずユーザーからの同意をもとに実施されることになっているそうです。

現時点でのキャンペーン及びサービスの提供企業一覧

Yahoo!も類似サービスを導入予定

すでにサービスが開始されている「LINE Score」。さっそく使ってみた人も多く、その反応も様々です。 ちなみに筆者のスコアは「471」でしたが、数字はこのまま確定ではなく、LINEの使用状況によって変動するようです。

また一方、キャッシュレス決済が急速に普及している中国や、クレジットカードの使用状況などをもとに信用度をスコアリングする「クレジットスコア」(有名なのはフェア・アイザック社が算出する「FICOスコア」)が浸透しているアメリカなど、個人の信用を数値化する試みはすでに各国でスタートしています。

日本も例外ではなく、みずほ銀行とソフトバンクが提携した「J.Score」や、今月初めにヤフー株式会社が発表した「Yahoo!スコア」など、「LINE Score」の類似サービスは続々と登場中。

日本はいわば黎明期で、中国やアメリカは成長期と言えるでしょうか。

世界的に景気が悪化している現在、「何を基準に個人の信用を計るのか?」という問いに対する回答として、これらのサービスが起こり始めている現状があります。

スコアリング先進国を例に見る

ここからはスコアリングの先人たちの取り組みを簡単に見てみましょう。

中国のIT企業アリババが運営する「芝麻信用」(じーましんよう)や、前述したアメリカの「クレジットスコア」など、すでに普及段階にある“スコアリング先進国”では、信用の数値化に関する議論が進んでいます。

アメリカのクレジットスコアは、住宅ローンや融資を受ける時の審査基準などに使用されており、スコア算出の仕組みがある程度開示されています。

また、年齢や性別といった基本的な属性から、勤務先、勤続年数、年収など生活の広い範囲を総合的に判断するため、勤続年数や年収が高い人のほうが優遇される傾向にあります。

一方中国(アリババ)の芝麻信用は、クレジットスコアと似た仕様に加えて、企業と政府が合同で人々の行動を観測しビックデータとして集積、それをAIによって解析しています。

そうして個人の信用を可視化し、住宅ローンや融資の審査基準以外にも、犯罪や不正の抑止につなげようと取り組んでいます。

両者の最大の違いは透明性と利便性です。

アメリカのクレジットスコアはスコアを算出する際の基準などが開示され透明性が高いですが、中国はその点で劣っています。

しかしアメリカのクレジットスコアは現状あくまで金融周りでしか活用されておらず、対する中国(アリババ)はそこにプラスして犯罪抑止などにも活用しつつあり、ある意味で国家的なプロジェクトとして進行中です。

両国ともメリットとデメリットの両方を受け入れつつ、自国の風土にあった仕組みを整えています。

スコアリングを描いた作品

しかし、自分の信用が数字で表される感覚というと、まだまだ慣れません。

急成長するテクノロジーが起こす歪みをテーマに作られた作品はこれまで古今東西に存在しますが、個人の信用を数値化するという点に絞ると、アニメ『PSYCHO-PASS』がピタリと当てはまるでしょうか。

ネタバレになるため詳細は省きますが、スコアリングが普及した未来の1つの形を描いた名作です。10月からシーズン3の放送が開始されるため、興味のある方はぜひ。 さて話を戻して、日本はこれからどのようにスコアリングと付き合っていくのでしょうか。

AIに関する議論でも同様ですが、テクノロジーを交えた未来の話をする上で陥りがちなのが「ディストピアor楽園」という二項対立です。しかし実際、この両極端の間にあるグレーなところに話は落ち着くでしょう(というか落ち着いてほしい)。

「LINE Score」を始め、今後日本でも多かれ少なかれスコアリングが普及すると予想されますが、そのとき未来がどのようなものになるのか。それは結局、1人ひとりの選択がその流れをつくっていくのでしょう。使われないサービスが普及することはありませんから。

「未来がその手に」というのは大げさですが、今回に関してはそう外れていない言葉かもしれません。

いろんな未来

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