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POPなポイントを3行で

  • VTuberにおける「魂」とは?
  • 「魂」という概念に限界が来ているのではないか
  • 企業/個人勢におけるVTuberはまったく違うもの

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ゲーム部プロジェクトの騒動によせて 「魂」という言葉の限界

ゲーム部プロジェクト

※この記事はnoteのエントリ「魂という言葉について、ゲーム部の騒動によせて」をKAI-YOU.net用に再編集したものです

バーチャルYouTuber(VTuber)を語る際に使われる言葉としてファンの間で流通する「」というものがあります。

今回は、その「魂」という言葉について説明しつつ、そろそろ耐用限界がきており新しい言葉に更新される必要があるよね、という記事です。

「魂」という言葉が使われはじめたきっかけについてはここでは触れません。今から書くことは発案者の意図と直接結びつくものではないからです。

しかしながら、この言葉はファンの間で広く使われていることから共通の認識が受け入れられているものと思います。雑に言うならいわゆる中の人、あるいは声優を指す単語ですね。

人気ユニット「ゲーム部プロジェクト」に何があったか

さて 4月8日、VTuberグループのゲーム部プロジェクトを運営する株式会社Unlimitedが公式サイトにこのような報告を掲載しました。 ここで述べられている一連の情報発信というのは以下のようなもの。 要約するなら劣悪な労働環境におかれた声優がそれを暴露し、事務所は対応に追われたといったところでしょうか。

しかしここで「声優」という単語を使うと、この事件がVTuber業界においてどのように受け止められられているのかという点を理解するために必要な要素が抜け落ちてしまいます。たとえば独立系アニメ制作会社と直接契約していた声優が不満を暴露したものと何が違うのかというものです。

VTuberにおいて「魂」という言葉が指すもの

ここで前述の「魂」という言葉が重要な役割を果たすわけです。

すなわち魂という言葉/認識は声優という言葉よりもその魂の器/キャラクターとの結びつきを強め、その他の要素を後景に押しやっているということです。

「魂」という言葉が指すのは、キャラクターという器の中で声優の枠に留まらない活動を行う誰かです

モーションキャプチャーされる演技や実況動画のゲームプレイ、VTuber としてのTwitter アカウントでのファンや他のVTuberとの交流など、魂に相当する中の人が担当すると通常想定される役割は多岐にわたります。中には動画編集を「魂」に相当する誰かが担当している例もあります。 しかしこの「魂」という言葉の指す中の人というのは誰のことなのでしょうか。多くの場合、問題がない限りは公表されていません。魂という言葉には神秘性がありますし、その幻想にあえて乗っかるのが一般的な楽しみ方です。 運営とVTuberの魂に相当する中の人が対立した例は以前から存在しました。

たとえばアズマリムさんが運営会社を告発した際に株式会社 CyberVが出した声明は以下のようなものでした。

アズマリム本人と話し合いを行い、これまで通りアズマリムとして活動を継続することで互いに合意をいたしました。他組織への移動や転生は一切行われません。

アズマリム本人、転生という言葉の選び方からも運営会社がこの魂という幻想を守るよう配慮した様子が読み取れます。

VTuberは、誰がつくっているのか?

しかし、今回騒動となったゲーム部の場合は状況が異なりました。発端が声優スタッフの個人Twitterアカウントだったこともあり、VTuberとしての活動は声優の実績としてポートフォリオに載せることができないという指摘が出ています。

さて、では今回の問題は VTuberの声優が公表されると解決するのでしょうか。ここに先に述べた魂という言葉がキャラクターとの結びつきを強め、その他の要素を後景に押しやるという点が絡んできます。

運営とVTuberの魂との対立、という図式を立てる時の運営とは誰を指すのでしょうか。VTuberの運営会社の実態を知っている方はどれだけいるでしょう。

運営会社や表現形態によっては様々な人間が動画制作に携わっているでしょう。動画編集、マスタリング、モーションキャプチャー技術の提供、場合によってはSNSの運用にも関わっていたり実況動画のゲームプレイを担当することもあるでしょう。それら全ては魂という言葉の持つ神秘性のベールの向こう側、我々の目の届かないところに隠されています。

今回のゲーム部プロジェクトの騒動についても、労働環境という問題は声優だけでなく他のクリエイター/エンジニアにとって等しく降り掛かってきます。しかし、運営という言葉は神秘性を宿す魂と対立するものとして立ち現れ、そして非難される対象としてのみ認識されます。実際には多くのクリエイター/エンジニアが制作に携わっているにも関わらず。

それらがエンドクレジットのように公表されることが望ましいのか、それは分かりません。しかし、VTuberの魂だけが魂としてフロントに立つのならば、今後も何か問題になった際には同じ形の対立をとって我々の前にあらわれるでしょう

「魂」に代わる新しい言葉を

これは魂以外にも裏方エンジニアをリスペクトして欲しい、という意味に留まりません。

責任の所在を魂という言葉で曖昧にすることは、いわゆる企業勢と個人勢という本来同じように語るべきではないものを一括りにして語ることに繋がります。

声や身振りの演技・収録や動画編集など動画制作に関わる全てを一人でおこなう個人勢と多数のクリエイター・エンジニアと資本を投下し制作される企業勢。これが3Dモデル・Live2Dでつくられたキャラクターが登場するという外形だけで同じ土俵で語られるというある種の雑多さが VTuber業界の魅力ではありました。

しかしこのようなトラブルが現実に起きた上では、その雑多さ・曖昧さは限界がきているようにも思えますし、企業規模や形態についてもまたそこでは無視されます。

これもまた企業・個人のどちらかを称揚するものではありません。我々は魂という大きな言葉以外に何か彼ら・動画制作における彼らの役割について、あるいは彼ら以外の働きについて語る細かい言葉を、見つめる目を持たねばなりません。

これからのVTuberは何を目指すか?

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この記事へのコメント(1)

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匿名のユーザー

匿名のユーザー

ドラえもんなんか声優の高齢化というどうしようもない問題に対峙しての変更だったのに
拒否反応示した人が大勢居たんだぞ。裏方の規模が圧倒的に違うにも関わらず。

運営の悪手でサイレント変更なんて受け入れられる筈がない。
何をどう言い繕っても無駄。

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