美術家として活動領域を広げる中島晴矢
中島晴矢は、アートシーンにおけるオルタナティブな領域を活動の足場とし、時代を牽引するさまざまなアート・コレクティブと活動を共にし続けている。さらに近年は、カルチャーメディア「CINRA.NET」が主催するイベント「NEWTOWN」にて企画展のキュレーションを担当するなど、美術家としての活動領域を広げている。 また、彼は展覧会のみならず、ヒップホップユニット・Stag BeatのMCのほか、社会と芸術の問題に関するコメンテーターとしてAbemaTVへの出演や、執筆活動として「アート・ランブル」(Ohta Collective)、「Street ReView」(M.E.A.R.L)を連載するといった現代美術家の枠に収まらない経験を積み重ね続けている。
その活動は、美術専門誌『美術手帖』などにおいて、Chim↑Pomを率いる卯城竜太やカオス*ラウンジ代表の黒瀬陽平から高い評価を受ける。
2019年末には、東京都現代美術館学芸員の藪前知子によるキュレーション展「東京計画2019」への参加が控えるなど、日本の現代美術の地殻変動を象徴する作家の一人として注目を集めている。
代表作「バーリ・トゥード in ニュータウン」を一挙上映
12日から開催中の個展「バーリ・トゥード in ニュータウン」は、中島晴矢の現時点での代表作といえる、同名の映像作品シリーズを一堂に上映。全3部からなる本シリーズは、2014年の第1作の発表から最終作が完成した2018年まで、これまでに1展示1作品の発表しかされておらず、そのすべてが一挙に上映されたことはなく、気鋭作家の全貌を掴むまたとない機会と言えるだろう。 その代表作と称される、映像作品「バーリ・トゥード in ニュータウン」についてはは、展覧会ウェブサイトにて、中島自身の執筆によるステートメントが公開されており、次のように説明されている。
そのほかステートメントでは、カルトビデオ、プロレスというサブカルチャーにはじまり、ラップ、批評、都市論、文学といったさまざまな領域からの引用がおこなわれており、中島が、活動において極めてコンセプトを重視していることがうかがえる。《バーリ・トゥード〜》は、端的に言えばニュータウンの街中で延々と路上プロレスを繰り広げる映像作品である。もともと、大日本プロレスのレスラーたちが商店街で何でもありのデスマッチを敢行する『ケンドー・ナガサキの バーリ・トゥード in 商店街』※1 という、私が中学生の時に衝撃を受けたカルトビデオを下敷きにして、ニュータウンという強固な日常を虚実の入り混じったプロレスの介入よって読み替え、非日常化しようと足掻く試みだった。
※1. 企画:テリー伊藤, ビデオ安売王
また会期中には、哲学者である千葉雅也を招いた、中島晴矢とのトークイベントも開催される。
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イベント情報
中島晴矢 個展「バーリ・トゥード in ニュータウン」
- 会場
- TAV GALLERY (東京都杉並区阿佐谷北1-31-2) [03-3330-6881]
- 時間
- 13:00 – 20:00
- 休廊
- 水曜、木曜
- トークイベント
- 4月19日 (金) 13:30 – 15:00 / 千葉雅也 × 中島晴矢
- 一般2,000円、学生1,000円
関連リンク
西田編集長
編集者 / フリーランス編集長
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