サッカー日本代表は2試合を終えて勝ち点「4」。ワールドカップ開幕まで、一体誰がこんな結果を予想したでしょうか。
外から見ても日本で日に日にワールドカップ熱が高まっているのを感じます。
では対戦国のセネガルは、この現状をどう思っているのか? そして、現地での日本への評価は?
セネガル在住の日本人で、日本セネガル戦のテーマソング「Omotenashi & Teranga」を制作したセネガル山田が、試合当日の現地でのパブリックビューイングの様子をレポートします。
ポーランド戦も迫る中、前回のセネガル戦に思いを馳せてみてください。
先日、セネガルの有名テレビ局のワールドカップ特番で私の日本対セネガル戦のテーマソングMVが流れました。
私は曲中で「日本人と中国人は違う国の人」と説明していますが、MVを見た番組出演者は「この中国人は…」と話し始めたのです。
先ほど日本と対戦すると話してたのになぜ? と理解に苦しみました。セネガルサッカーW杯特番でMVが流れたのですが、衝撃の出来事が…
セネガルでは中国の存在が大きく「日本は中国の一部」だと思っている人が少なくありません。
50・60代の方に聞くと数十年前は家電と言えば日本製品で溢れていましたが、今は価格競争力のある「美的集団(Midea)」「海信(Hisense)」「ハイアール(Haier)」といった中国製品が市場に多く出回っています。
知識層や富裕層の人たちも「日本人と中国人の違いが分からない」「アジア人の総称として“シノワ(中国人)”を使っている人が多い」「ヨーロピアンと言うのと同じだ」と言うのです。
見知らぬ人に向かって「〇〇人」と呼ぶのはおかしいし、そもそも見分けがつかないなら「〇〇人」と呼ぶべきではないと思います。
ヨーロピアンのことを「フランス人」と呼ぶ人は誰もいないので、その例えもナンセンスだと思っています。
そのため、街中で「シノワ」と呼ばれても私は無視します。もしくはそばに行って、それがいかに変な行為か大勢の前で説明するようにしています。
と、苦労話みたいになってしまうのでこの辺りにして(笑)。とにかく、セネガルではそれくらい日本のことが眼中にありません。
しかし、親善試合の韓国戦でセネガル代表の動きが芳しくなかったこと、加えて日本がコロンビアに勝利したこともあり、日本への注目度が一気に高まった状況で試合当日を迎えました。
日本代表のユニフォームを着て……。ワールドカップ日本代表対セネガル代表「セネガル現地レポート」
日本の友人達からは「大丈夫?」と聞かれました。パブリックビューイング会場は、日本大使館から「細心の注意を払うよう」にと連絡が来ていたところです。
私も少しの不安はありましたが、セネガルに4年近くいて感じている治安の良さ、先日の対ポーランド戦も静かに行儀よく観ていたセネガルサポーターの様子から問題ないと判断しました。
会場に着くと、たくさんの人が。セネガルカラーの帽子やラッパなど、色々な応援グッズが売っていたり、ちょっとした組体操などを披露するミニサーカスのような人までいたりと、まさにお祭り騒ぎといった感じです。
会場に着くやいなや、次から次へと写真撮影をせがまれます。
こんな格好をしている私と、笑顔でどんどん写真撮影とは。歓迎されているムードすら感じます。セネガル人は心が広い…。
その合間には数歩歩くと肩をたたかれ、「セネガルが2対0で勝つからな!」「2対0、いや3対0でセネガルが勝つぞ!」と色んな人から言われます。 すっかり対戦ムードが高まってきました。
もちろん、中にはガンガン太鼓叩いている人もいますが、少数派。
そんなサポーターも、マネ選手が1点目を決めると一転、ものすごい盛り上がり! 得点後の数分間にわたり、みんなで歌って踊って大喜びでした。 試合は進み、日本の乾選手が一点を返すと、会場はシーンと静まり返ります。
ここまでで暴走するような人は全然おらず、サポーターの民度の高さを感じてました。そんなこんなで前半が終了。あーいい試合だ!
後半がスタートしても静かなサポーター達。会場にはテレビ局のものだというドローンが飛んでました。 そして後半70分を過ぎ、セネガル2点目が! 1点目よりもさらに激しい盛り上がりです。
サポーターはすっかり勝利を確信した様子。
しかしそのわずか7分後。日本も本田選手が決めました! 2対2の同点。得点後すぐだったので、この時のセネガルサポーターの落ち込み具合はすさまじかったです。
セネガル相手に2点を奪い引き分け。改めて言います。こんな展開、一体だれが予想したでしょうか?
日本代表の善戦のおかげで会場からは拍手もあり、本当に最高の盛り上がりでした。
試合後、会場にいる人にインタビューをしたところ、「絶対に勝てると思っていたから残念だけど、日本は想像以上に強いチームだった」「日本はとにかく速かった」「セネガルと日本が一緒にグループリーグを突破すると思う」「乾ヤバい!」といった声も。 現在、グループHは日本とセネガルが勝ち点「4」で並んでいます。
日本がグループリーグ突破を決めるには、ポーランドに引き分け以上、もしくはセネガルがコロンビアに勝てば、日本がポーランドに負けても決勝トーナメント進出となります。
ということで、昨日の敵は今日の友。日本の応援はもちろん、セネガルの勝利も願ってみてはいかがでしょうか。
外から見ても日本で日に日にワールドカップ熱が高まっているのを感じます。
では対戦国のセネガルは、この現状をどう思っているのか? そして、現地での日本への評価は?
セネガル在住の日本人で、日本セネガル戦のテーマソング「Omotenashi & Teranga」を制作したセネガル山田が、試合当日の現地でのパブリックビューイングの様子をレポートします。
ポーランド戦も迫る中、前回のセネガル戦に思いを馳せてみてください。
日本はアウトオブ眼中?
前提知識として、「セネガル人は日本の事をどれくらい知っているのか?」という点を説明します。先日、セネガルの有名テレビ局のワールドカップ特番で私の日本対セネガル戦のテーマソングMVが流れました。
私は曲中で「日本人と中国人は違う国の人」と説明していますが、MVを見た番組出演者は「この中国人は…」と話し始めたのです。
先ほど日本と対戦すると話してたのになぜ? と理解に苦しみました。
50・60代の方に聞くと数十年前は家電と言えば日本製品で溢れていましたが、今は価格競争力のある「美的集団(Midea)」「海信(Hisense)」「ハイアール(Haier)」といった中国製品が市場に多く出回っています。
知識層や富裕層の人たちも「日本人と中国人の違いが分からない」「アジア人の総称として“シノワ(中国人)”を使っている人が多い」「ヨーロピアンと言うのと同じだ」と言うのです。
見知らぬ人に向かって「〇〇人」と呼ぶのはおかしいし、そもそも見分けがつかないなら「〇〇人」と呼ぶべきではないと思います。
ヨーロピアンのことを「フランス人」と呼ぶ人は誰もいないので、その例えもナンセンスだと思っています。
そのため、街中で「シノワ」と呼ばれても私は無視します。もしくはそばに行って、それがいかに変な行為か大勢の前で説明するようにしています。
と、苦労話みたいになってしまうのでこの辺りにして(笑)。とにかく、セネガルではそれくらい日本のことが眼中にありません。
しかし、親善試合の韓国戦でセネガル代表の動きが芳しくなかったこと、加えて日本がコロンビアに勝利したこともあり、日本への注目度が一気に高まった状況で試合当日を迎えました。
セネガル人のスコア予想は「2-0」
試合当日は、セネガル国営放送(日本で言うNHK)主催のパブリックビューイング会場に向かいます。日本代表のユニフォームを着て……。
私も少しの不安はありましたが、セネガルに4年近くいて感じている治安の良さ、先日の対ポーランド戦も静かに行儀よく観ていたセネガルサポーターの様子から問題ないと判断しました。
「どっちを応援するの?」とよく聞かれますが、私はもちろん大好きな日本を応援します。セネガル戦みんなで観戦中!セネガルの人達、みんな静かに座って行儀が良いです。 pic.twitter.com/Da36jI9Phi
— セネガル山田feat.晋平太,MrNùr「Omotenashi&Teranga」YouTube公開中 (@africa_shokai) 2018年6月19日
会場に着くと、たくさんの人が。セネガルカラーの帽子やラッパなど、色々な応援グッズが売っていたり、ちょっとした組体操などを披露するミニサーカスのような人までいたりと、まさにお祭り騒ぎといった感じです。
会場に着くやいなや、次から次へと写真撮影をせがまれます。
こんな格好をしている私と、笑顔でどんどん写真撮影とは。歓迎されているムードすら感じます。セネガル人は心が広い…。
その合間には数歩歩くと肩をたたかれ、「セネガルが2対0で勝つからな!」「2対0、いや3対0でセネガルが勝つぞ!」と色んな人から言われます。 すっかり対戦ムードが高まってきました。
試合開始、意外にも静かに見ているサポーター
ついにキックオフ。あれ、なんかもっとガンガン応援しないのかなってくらい、静かに見ていました。 ポーランド戦の時も体操座りしながら見ていたので、セネガルのサポーターは、ただ騒ぎたいというよりは本当にサッカーを観たいんだということが伝わってきます。もちろん、中にはガンガン太鼓叩いている人もいますが、少数派。
そんなサポーターも、マネ選手が1点目を決めると一転、ものすごい盛り上がり! 得点後の数分間にわたり、みんなで歌って踊って大喜びでした。 試合は進み、日本の乾選手が一点を返すと、会場はシーンと静まり返ります。
ここまでで暴走するような人は全然おらず、サポーターの民度の高さを感じてました。そんなこんなで前半が終了。あーいい試合だ!
後半がスタートしても静かなサポーター達。会場にはテレビ局のものだというドローンが飛んでました。 そして後半70分を過ぎ、セネガル2点目が! 1点目よりもさらに激しい盛り上がりです。
サポーターはすっかり勝利を確信した様子。
しかしそのわずか7分後。日本も本田選手が決めました! 2対2の同点。得点後すぐだったので、この時のセネガルサポーターの落ち込み具合はすさまじかったです。
試合終了のホイッスル
そんなこんなで2対2の引き分けで試合終了。セネガル相手に2点を奪い引き分け。改めて言います。こんな展開、一体だれが予想したでしょうか?
日本代表の善戦のおかげで会場からは拍手もあり、本当に最高の盛り上がりでした。
試合後、会場にいる人にインタビューをしたところ、「絶対に勝てると思っていたから残念だけど、日本は想像以上に強いチームだった」「日本はとにかく速かった」「セネガルと日本が一緒にグループリーグを突破すると思う」「乾ヤバい!」といった声も。 現在、グループHは日本とセネガルが勝ち点「4」で並んでいます。
日本がグループリーグ突破を決めるには、ポーランドに引き分け以上、もしくはセネガルがコロンビアに勝てば、日本がポーランドに負けても決勝トーナメント進出となります。
ということで、昨日の敵は今日の友。日本の応援はもちろん、セネガルの勝利も願ってみてはいかがでしょうか。
おもしろすぎる2018ワールドカップ
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セネガル山田
セネガルの日本人宿オーナー
セネガル在住のヒップホップMC。「アフリカは危険」「イスラムは危険」ラップで世界からこうした偏見をなくしたいと思ってます。千葉県出身の30歳。セネガルの日本人宿「シェ山田」オーナー。日本初のセネガルのガイドブック『アフリカ旅行ガイドブック セネガル』著者。八千代高校、法政大学卒。W杯日本セネガル戦テーマソング動画を制作。
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