連載 | #3 古今東西ボードゲーム探検!

紀元前より人類に愛されるゲーム「マンカラ」──シンプルゆえの奥深さ

紀元前より人類に愛されるゲーム「マンカラ」──シンプルゆえの奥深さ
紀元前より人類に愛されるゲーム「マンカラ」──シンプルゆえの奥深さ
先日行われたニコニコ超会議3で取材した「超ゲームマーケット」ブース。

イベント当日には訪れた人が誰でも気軽に参加できるよう、ルールの簡単な定番ゲームをアレンジした『超GREED』『超大富豪』が用意され、来場者に楽しまれていました。

今回紹介するこちらのゲームもシンプルな親しみやすい内容で、多くの人たちに時を超えて永く親しまれているゲームです。

世紀と地域を超えて親しまれる伝統的ゲーム「マンカラ」

今回取り上げる「マンカラ」は、東南アジアアフリカ中近東で古くから遊ばれている伝統的なゲーム。

その発祥は、旧約聖書における天地創造の時期と重なる紀元前4000年前とも言われ、紀元前15世紀のエジプトでも遊ばれていた痕跡があるなど、数千年にわたる歴史を持って今でも遊ばれ続けています。

今回お店でお借りしたものは、おはじきのような石マス目となるくぼみの付いたゲーム盤のセットですが、この盤面も起源をたどれば、はじまりは小石と地面に描いた円で遊んでいたとも言われています。

今回使用したマンカラのゲームセット。今回使用する木製ゲーム盤とおはじきのような石のほか、多様な遊び方に対応出来るよう、サイコロや丸い石も同梱

多くの人や地域の間で遊ばれていることから、「カラハ」「バオ」「オワリ」「コンカク」などそれぞれの地での呼び名も複数あり、1セットのカードで様々なゲームが楽しめるトランプと同様に、その遊び方は100とも300とも言われるほど多種多様です。

シンプル&ストイックなそのゲーム内容は?

様々な遊び方があるマンカラですが、今回はゲーム盤に同梱の解説書に載っている最も基本的なルールで遊ぶことにしました。

今回のゲームで勝つための目標は、ゲーム盤の上で自分の陣地となる横一列に6つ並んだ丸いくぼみのポケットから、対戦相手の陣地よりも先に全ての石を無くす事です。

ゲーム中の流れとしては以下のとおり。

・まずゲーム前の用意として、12個ある丸いポケットにそれぞれ4つずつ石を入れる

各ポケット毎に4つ石が置かれ、ゲームの準備ができた状態

・相手と交互にやってくる自分のターンでは、まず自分の陣地6つから1つのポケットを選び、そこにある石を全て取る

盤面は縦に並んだお互いの陣と、その両端に大きなゴールポケットという構成

・取った石を両端の大きなゴールポケットや相手の陣地も含めた隣のポケットへ、反時計回りに各ポケットに1つずつ、取った全ての石を分配していく
・分配する最後の石がゴールポケットに入った場合には再び自分のターンとなり、自陣のポケット1つの石を全て取るところから、ゴールポケット以外で石の分配が終わるまで何度でも繰り返すことが出来る
・どちらかの陣地から全ての石が無くなるまで、自陣の一つのポケットから石を取り、他へ移す一連の流れを互いに繰り返す

このようにゴールポケットに最後の石を置いたら、もう1回、別のポケットから石を置くことができます

ゴールポケットを超えて石を置くこともできますが、その場合は相手の番になります

このようにゲーム中の作業自体は、強いて挙げればゴールポケットの扱いで気を付ける程度で、特に複雑な要素の無い単純なもの。

実際石を手にして遊んでみると、すぐに流れをつかむことが出来ます。 石の移動 しかし、その単純さこそがこのゲームのキモ。

運の要素が一切含まれないため、チェスや将棋と同じようにどれだけ相手よりも深く先読みを出来るかが、そのまま勝ちにつながるシビアな世界がシンプルな見た目の向こうに広がっているのです。

実際にあそんでみた!

交互ターン制ではあるものの、ゴールポケットを利用して連続で石を動かしていこうとするため、ゲーム序盤から石の移動は割と多めです。

移動の際に考えなければいけないのは、どのポケットにどれだけの石を残していくかということ。

相手より先に上がるためには、ゴールポケットにぴったり数が合うように石を寄せておいたり、相手の陣地へ自陣から石をできるだけ送り込むといったことを真っ先に考えがち。

しかし、その結果自分の陣地に石が少なくなると、今度はゴールポケットになかなか石の数を合わせられず、連続で相手に有利なターンを許してしまうようなことにもなってしまいます。

プレイ中の石の移動の一例

上の写真は実際にプレイ中のワンシーン。

緑枠で囲った、石が1つあるポケットへ、別のポケットから青矢印のように石を動かすことで緑枠内は石が2つになり、次の自分のターンでゴールポケットを狙うことができます。

ただし相手陣の赤枠のポケットにはかなりの数の石があるので、これを自陣に送られてしまうと、この予定通りには行かなくなってしまうことも。

先に自陣の石を無くすことが目標のゲームですが、あえて多くの石を残しておくことで、対戦相手にプレッシャーをかけるという戦略もありそうです。

遊ぶほどに感じる長い歴史の理由

今回は初見でのプレイだったのですが、その中でも少し遊んでいるうちにもどうすれば自分の思い通りに盤上の石が並ぶかを考えるようになり、このゲームの奥深さの一端を垣間見た気がしました。

ちゃんとしたゲーム盤が無くとも、自分でに枠を描き、小石代わりに引き出しに入っているゼムクリップを使うなど、工夫次第ですぐ用意が出来るのがこのマンカラ。

遠い古の歴史に思いを馳せながら遊んでみるのも良いかもしれませんね。


取材協力:JELLY JELLY CAFE Shibuya
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