連載 | #5 東京コミコン2017

『血界戦線』内藤泰弘が登壇 キム・ジョンギを「喧嘩で例えるとステゴロが一番強い作家」と絶賛

『血界戦線』内藤泰弘が登壇 キム・ジョンギを「喧嘩で例えるとステゴロが一番強い作家」と絶賛
『血界戦線』内藤泰弘が登壇 キム・ジョンギを「喧嘩で例えるとステゴロが一番強い作家」と絶賛

写真左から、有村昆さん、キム・ジョンギさん、内藤泰弘さん

12月2日(土)、「東京コミコン2017」ステージに、YouTubeで公開された驚異のライブドローイングで人気に火がつき、世界で活躍する韓国のアーティストであるキム・ジョンギさん、そして『血界戦線』や『トライガン』で知られる漫画家・内藤泰弘さんが登壇。

映画専門チャンネル「ムービープラス」主催、映画コメンテーターの有村昆さん司会のもと、普段メディアに顔出しをしていない内藤泰弘さんが、キム・ジョンギさんを紹介するというステージが行われた。

ステージ冒頭、キム・ジョンギさん「昔から、すごい大好きで、影響を受けた作家さんが沢山いる日本でこうしてステージに立てて嬉しい」。普段、顔出しをすることのない内藤さんは「たくさんの人がきてくれて嬉しいです」とコメント。

そして「キムさんは僕も圧倒されているアーティストなので、名前だけでも覚えて帰ってほしいし、本当にみなさんに紹介したいです」という内藤さんのコメントで開幕した。

キム・ジョンギとは?

キム・ジョンギさんは、ライブドローイングを中心に世界各国で活動しているアーティスト。そのライブドローイングを収めた動画の合計はYouTubeで240万再生を突破するほどの人気。
JunGi Kim Exhibition : Kaikai Kiki Kyoto-Pop Up Gallery
日本でも多くの漫画家から賞賛されているイラストレーター・漫画家として現在知られている。ネット上では「世界一うまいイラストレーター」とも称されている。

今年だけでも、寺田克也さんとの画集出版、大友克洋トリビュート展でのライブドローイングなど、日本でも活動の場を広げている。

一方の内藤泰弘さんは、SFアクションの名手として知られる日本の人気漫画家。『トライガン』をはじめ、連載中の『血界戦線 Back 2 Back』は現在TVアニメ第2期も放送中だ。

スクリーンに、読者にはお馴染みの自画像が表示されると「ソックリです」と内藤さん

また、オリジナルフィギュアブランド「トイトライブ」を展開。自分の好きなものを海洋堂とつくり続けるブランドで、リリースのペースは落ちているが、来年で運営から10年ほどが経つ。

内藤泰弘とキム・ジョンギの出会い

内藤さんとキムさんの出会いは、2015年に、世界的な美術家・村上隆さんのギャラリー・Hidari Zingaroで行われた寺田克也さんとキム・ジョンギさんとのライブドローイング後の宴席だったという。 もともと、YouTubeで「壁に(下書きなしで)魔法のように絵を描くキムさんの姿を見て驚いた」という内藤さん。

「今日のライブドローイングも見ていたけど、ペンテル一本を手に、目の前で、あの映像と同じようによくわからないことが起こっていく。本当に魔法使いみたいでした」と改めて驚きを隠さない。

初日のライブドローイングの様子

一方、キムさんは内藤さんを「好きな漫画家さんです。でも、会う前のイメージは、細くてキレやすい方だと思っていた(笑)」ので、実際のギャップには面食らった様子。

「絵描きにとって、素手の喧嘩で一番強い人」

下書きなしで、様々な人物やメカ、動物などを生み出して巨大な作品を描くキム・ジョンギさん。

その驚異的な画力について、「キムさんの上手さの質は、絵描きにとって、素手の喧嘩で一番強い人に近い」と内藤さんは評した。

会場でライブドローイングを間近に見た女の子が「え、なにこれ?」と衝撃を受けていたエピソードを紹介。「ナイフも銃も使わないで、ステゴロで誰でも倒せる驚異的な画力」だと表現した。

記憶するのではなく、構造を理解すること

実際、会場でキム・ジョンギさんのライブドローイング映像を上映する流れに。

ライブドローイングについてキムさんは「60パーセントくらい頭の中でできてて、あとは適当に合わせていく」と語った。

何も見ずにどうして精巧なメカや動物を描けるのか司会の有村さんから尋ねられ、「(記憶するのではなく)どういう風に出来ているかをまず理解する。それを心がけています」と説明した。

「これは、分解したことのある人の領域。構造からわかってる人の描き方」と内藤さんをも唸らせた。

短い映像を見終わった後、観客席からも自然と拍手が起こった。

描き続けることを止めない

現在、世界中でライブドローイングのオファーが絶えないというキムさんは、数メートル規模の作品でも4時間ほどで描き上げる。

これまで挑戦してきた中で一番長くかかった作品について、「マレーシアのペナンで、高さ2m・長さ10mの作品を、1日4時間、1週間かけて描いた」と振り返り、会場を驚かせた。

会場では、サインにも応じていた

キムさんの特異な特徴の一つは、話している時でも、ずっと絵を描き続けている点だろう。

トークショー前の打ち合わせ中にもやはり絵を描き続けていたそうで、内藤さんが覗いたところ、これから登壇するステージを俯瞰で眺めた絵だったという。

「とにかく描く。描くことを止めない。めんどくさいとかつらいとかないんでしょうね。タバコを吸う感じで描く。それは寺田さんも同じ」(内藤さん)

『血界戦線』をキム・ジョンギが絶賛

『血界戦線 Back 2 Back』4巻/Amazonより

そして、12月4日(月)には、いよいよ、『血界戦線』待望の最新刊が発売される。

『血界戦線』について、内藤さんは「技の名前を叫んでぶん殴る漫画、基本それです」とステージで紹介。「B級映画みたいな漫画を描きたくて、そういうことをずっとやっています」。

キムさんは内藤さんを「私のもってないものを持っている人。キャラクター性が強く、ビジュアルを見れば、すぐ性格もわかる(ほどキャラが立っている)。『血界戦線』はアクションもダイナミックで構図もかっこよくて、男性にはぐっとくる」と絶賛した。

世界が漫画でつながって、どんどん混ざってへんなモノになればいい

最後に、これからの活動について聞かれた2人。

「今年はさっさと終わらせて、来年は新しい漫画を描きたい。とにかくダイナミックなアクションシーンが多い、そういう大人向けの漫画を描きたい」(キム・ジョンギさん)

「テレビで放送しているアニメが、無事最後まで走ることが直近の目標。あとは、健康に気をつけて描き続けます」(内藤泰弘さん)

日韓の巨匠が共演した貴重なステージ。この模様は、12月から1月にかけて「ムービープラス」でも放送される。

最後に、内藤泰弘さんの言葉を紹介して終わりたい。

「いろんな国の人が漫画でつながって、どんどん混ざってへんなモノになるのが大好き。僕もそういう漫画家でありたいと思っています。だから、キムさんはじめ、海外のアーティストが日本に来ていただいているここ(コミコン)がそういう場であり続け、ここからいろんなものが生まれ、どんどん積み重なっていけば楽しいことになると思っています」(内藤泰弘さん)

「東京コミコン2017」

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イベント情報

「キム・ジョンギ x 内藤泰弘」スペシャルトークショー放送情報

「速報:東京コミコン2017」
12月18日23:00〜
再放送:12月22日13:25〜


「東京コミコン2017」レポート
1月15日23:15〜
再放送:1月30日16:30〜

ムービーチャンネルにて

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