#11 けーご「13才のリアル」
KEN THE 390 これはテレビ番組に出た時も紹介したんですけど、13才の自分がいじめられてる時の話を自分でしてて、さっき言った評価の点でいうと、ラップは上手くないんだけど、良い曲ですね。晋平太 僕らが「B BOY PARK」というイベントでサイファーやってる時に見に来てたんですよ。聞いたら、その何週間か前にはじめてYouTubeで見てラップおもしろいと思って見に来たらしいんですけど。
だから「やれよ、やれよ」って言ったら、最初超照れてたんですけど、サイファーに参加してくれて、そしたら次会ったタイミングで、もうこの曲ができてたんです。
ねりまちゃん 励まされる中学生いるだろうな。 KEN THE 390 今の中学生の子がいじめられてますって言われても、俺らはどういじめられてるのかわからないじゃないですか。上履き隠されてんのかな、プリント破られてんのかなって。
でもけーご君の曲聴くと、「LINEグループから外されてる」「モンハンの通信対戦をみんなが一緒にやってくれない」って言ってて、あーそういうことがいま起きてるんだってわかる。
「ヒップホップはブラック(黒人)のCNNだ」って言われることがあって、ブラックコミュニティのことは、普通の人はニュースを見ててもわからないけど、ラップだったら曲にして世に出せるから、ラップで俺たちはブラックのことを知ることができるんだって。
外国では、こんな感じでラップがあるから俺らはリアルを知ることができるみたいな話がよくされてて、これは日本でも同じことなんだろうなって。今の中学校で何が起きてるのか、けーご君がラップしたからわかった。
かよちゃん ラップが報道の手段みたいな感じになってるんですね。
KEN THE 390 ヒップホップは基本、「俺の話」なんで、俺らが知らない世界を教えてくれるんですよ。超モテる男がどんなモテ方をしてるのか、セレブがどんな生活をしてるのか。他のジャンルにはない、いろんな奴らの「俺の話」を聴けるので楽しいですよ。
ねりまちゃん それこそ腐女子ラップとかいいんじゃない?
KEN THE 390 そう、腐女子がラップで1曲書いてくれれば、俺らはやっと腐女子界のことがわかると思う。
かよちゃん 腐女子の世界をラップするんだったら、できる気がしてきました。
#14 呂布カルマ「俺の勝手」
KEN THE 390 呂布カルマの「俺の勝手」は、俺らでいうドープな曲、重たい曲なんですけど、呂布カルマはジャニーズ的にもすごくて。ななみん ジャニーズ的に!?
KEN THE 390 この間、SMAPが解散したじゃないですか。解散報道がでた翌日くらいに「ODD RARE HALL」って曲が発表されたんですけど、その中で「SMAPがなくなるかもしれなくても、大丈夫。俺のラップ、代わりになる」みたいなフレーズが呂布カルマのバースに入ってるんですよ。超タイムリーにハマってて。 ※『I LOVE MC BATTLE』には収録されておりません
晋平太 ただ、SMAPの穴は絶対に埋められない(笑)。要するに呂布カルマの言いたいことは、「世界に1人だけの俺」。
KEN THE 390 そう、「俺やばい」ってことを出会った時から何十年も言い続けてて、「俺やばい」の言い方のレパートリーが半端なくて、めっちゃおもしろいんですよ。
いろんな言い方で、「俺やばい、お前ダサい」を詩的な表現でかっこよく言うんですよ。この曲は、呂布カルマの美学が詰まってますね。
晋平太 僕はMCバトル系のコンピレーションを今までに3枚つくってるんですけど、それは僕の主観と仲間の曲を集めていたので、やたらドス黒かったんです。
今回はスタッフと一緒に選んで決めてたら、びっくりするくらいカラフルになってて驚いたんですけど、いわゆるゴリゴリなヒップホップは呂布カルマとか2WINくらいなんですよ。だから呂布カルマみたいなヒップホップもあるんだってことを感じてもらえたらうれしいですね。
かよちゃん ヒップホップは、「俺たちできるぜ! やるぜ!」みたいな感じの曲が多いなって印象があります。
KEN THE 390 「俺、すげーだろ!」で1曲終わっていくみたいなのがかなりの部分ですね。
晋平太 「行こうぜ! 勝てるぜ! やろうぜ!」っていう。
ねりまちゃん 「自分強い」のボキャブラリーをどんどん増やしていかなきゃいけない感じですよね。
KEN THE 390 そうそうそう。「俺はすげーぜ!」って言っても面白くないから、いかに「どうすごいのか」をラップする、みたいな感じですね。
単に書くだけじゃなくて、韻も踏むから、俺は書いてて楽しいかな。書いてると、強くなってる気分になるし、あと言っちゃったことを実行するために強くなれるというのもある。
簡単に言うと、「売れる!」ってラップしてるのに、売れないとマズイから頑張るみたいな。
晋平太 ラッパーは、一生自己紹介し続ける存在なんで、ほんと不思議な職業ですよね。
#12 KEN THE 390 feat, SKY-HI,KLOOZ,環ROY,TARO SOUL「Lego!! Remix」
ななみん これ、爽やかですごくかっこいい! 夏っぽいのがいいですね。KEN THE 390 みんなでバーベキューしてるだけなんですけどね。もともと1人でつくったんですけど、いつもよく遊ぶ仲間を一気に呼びました。
晋平太 楽しげな、なんて爽やかな奴らだろうって。完全に楽しそうだし、全員モテそうだし(笑)。こういう曲をコンピに入れたら、風通しもよくなるだろうし、大好きな曲なんで、「Lego!!2」をつくろうよって意味合いで選びました。
ねりまちゃん フィーチャリングって、遊ぶメンバーを集めたら楽しいって感じなんですか?
KEN THE 390 「Lego!!」はピースフルなんですけど、フィーチャリングは同じ土俵で同じテーマでみんなで技くらべしてる感じが好きなんですよ。
聴く方も「誰々のバースが好きだ」「誰々のアプローチがいい」みたいな目線で聴いてたりするので、一種のバトルというか、1曲の中にいろんなエンターテインメントが混ざっているのがおもしろいと思いますね。
座談会を終えてみて
KEN THE 390 今までヒップホップ聴かなかったんですよね。こうやって少しずつでも聴くようになったことがすごいことですよ。かよちゃん TwitterのタイムラインにPVが流れてきたりするようになって、自然に聴く機会が増えてきましたね。
ななみん あと若いラッパーさんの自撮りとかもよく見るので、それで新しいラッパーさんを知ったりとか。
──今日の座談会を終えてみていかがですか?
晋平太 めっちゃ楽しかったです! やっぱり僕は「I LOVE MC BATTLE」なので、こういう「I LOVE MC BATTLE」な人たちに聴いてほしい。
このコンピレーションが多方面に楽しんでもらうきっかけになったらうれしいです。女子の部屋に飾ってほしいですね。マグカップになっても無理のないデザインですから(笑)。
KEN THE 390 腐女子の闇がわかりましたね。
ねりまちゃん 闇!!!?
かよちゃん やっぱり、そういう目線で見られてるのって嫌ですよね・・・。
KEN THE 390 俺が誰とカップリングしてるとか思われてることを知ってしまったら、意識して自分の行動に現れてしまいそうで踏み入れるとマズイぞ! って(笑)。
世の中には知らないほうがいいこともあるなって。薄々、チコ(CHICO CARLITO)と崇勲の話とか聞いたことあるんですけど、そうか、実際にこういうシーンがあるんだって実感しましたね。別に嫌ではないですけどね。直接言われたら嫌かもしれないけど、これもヒップホップの楽しみ方の1つだと思います(笑)。
かよちゃん 普段はこんな面と向かって言うことはなくて、影でコソコソ妄想してるだけですので・・・。
KEN THE 390 バトルを見ても、誰の曲を聴いたらいいのかわからない人もいるし、まずは自分が好きなタイプのラッパーを見つけると、よりおもしろくなるんじゃないかと。「この人ってこういう人なんだ」って、ラッパーのパーソナリティーを深く知ると、過去の戦いを見るようになったり、もっとヒップホップがおもしろくなりますね。
バトルも音楽も繋がってますから。 ──『I LOVE MC BATTLE』は9月28日(水)発売ですが、10月26日(水)にはKEN THE 390さんのベストアルバムが出るということで。
KEN THE 390 34曲入った2枚組の10周年ベストが出るんですよ。DVDは、僕の3年分くらいのワンマンライブのベスト盤みたいになってて、KREVAさんとか、いろんな人とコラボレーションしてるライブがめっちゃ入ってます。
リード曲が僕とSKY-HI、T-Pablowの結構ハードでかっこいい曲になってるんで、楽しみにしてもらえたら。
晋平太 腐女子的にも、そこにT-Pablow割って入るの!? みたいな楽しみ方が。
KEN THE 390 このカップリングはどうなんだろうと思いつつ、楽しんでください。
ねりまちゃん (笑)(笑)(笑)。実は好きになったラッパーさんの曲がダサくてショックだったんですけど、今日のお二人の話を聴いていて、いろんなラッパーさんの「俺の話」が聴きたくなりました! 晋平太さんの「主人公」がめっちゃいい感じにハマりました。
かよちゃん 見た目が怖くても、意外と優しそうだということもわかりました。
ななみん SMAP解散という心の穴を呂布カルマさんに埋めてもらおうと思いました!
女子一同 今日はありがとうございましたー!
座談会でおすすめされたその他の曲はこちら!
#3 あっこゴリラ「TOKYO BANANA」
#9 鎮座DOPENESS「T.U.B.E.」
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晋平太
ラッパー
MC。1983年東京都生まれ、埼玉県狭山市育ち。フリースタイルでのMCバトルを得意とし、2005年『B-BOY PARK MC BATTLE』での優勝で注目を浴びる。MCバトルのアンセムとも言えるシングル「CHECK YOUR MIC」など、数々の名曲を残してきた。9月28日(水)には、自身が監修・選曲したコンピレーションアルバム『I LOVE MC BATTLE』がリリースされる。
Twitter:https://twitter.com/shinpeita
KEN
ラッパー
フリースタイルバトルで実績を重ねた後、2006年3月25日にインディーズレーベルDa.Me.Recorodsからアルバム「プロローグ」をリリース。2012年12月には主宰レーベル「DREAM BOY」を設立。主催ライブイベント「超・ライブへの道」をスタートさせ、東名阪ツアーなど含め定期的に開催。現在はテレビ朝日にて放送中で話題のMCバトル番組"フリースタイルダンジョン"にも、審査員としてもレギュラー出演。10月26日(水)には、デビュ−10周年を記念したALL TIME BESTアルバム「KEN THE 390 ALL TIME BEST ~THE 10th ANNIVERSARY~」をリリースする。
Twitter:https://twitter.com/KENTHE390
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