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毒舌歌い手 鋼兵さん超会議インタビュー「ニコニコらしさって何だっけ?」

鋼兵さん「ニコニコ超会議2016」にて

ニコニコ動画をはじめとしたニコニコ文化を地上に再現するというコンセプトで、ユーザーや企業が入り乱れて様々なステージ・ブースによって構成された「ニコニコ超会議2016」。

今年も大きな盛り上がりを見せた一方、ネット来場者数は昨年よりも250万人を下回る激減という結果となったことも、注目を集めています。

そこで、人気歌い手として知られる一方、音声合成によるテキスト読み上げソフト、いわゆる「ゆっくり」を使って、ボカロ文化衰退の解説や「人気歌い手になる方法」といった赤裸々な動画で議論を巻き起こしている鋼兵さんにインタビューをしました。
鋼兵さん「ニコニコ町会議 in 長野県 須坂市 横町『須坂カッタカタ祭り』」

鋼兵さん「ニコニコ町会議 in 長野県 須坂市 横町『須坂カッタカタ祭り』」

今回も「超演奏してみた」のボカロバンドステージへの出演や「ニコつく」でブース出展として参加され、2012年の初回開催からこれまで皆勤賞だという鋼兵さんに、「ニコニコ超会議2016」を振り返ってもらいました。

※「ニコニコ超会議2016」初日の4月30日に収録したインタビューとなります

展示会じゃなくてちゃんと遊園地になっている

──鋼兵さんは、これまでの「ニコニコ超会議」には全て参加されているのですか?

鋼兵 全部(参加)してる

──全部! では今回で5回目ですね。

鋼兵 そうっすね。

──ここだけは行ってみたいというブースはありましたか?

鋼兵 いつも行ってるのはZUNビールですね(笑)。

──定番ですね(笑)。

鋼兵 今年混んでましたねー。今までで一番混んでたかも。
ZUNビール(C)niconico

ZUNビール(C)niconico

──その鋼兵さんから見て、今回の「ニコニコ超会議2016」はどうでしたか? 着実に規模は大きくなっていると思いますが。

鋼兵 規模というか、スタッフがちゃんとスタッフをやれるようになってきてるよね。正直な話、最初は自他共に認めるくらいひどかったんで!(笑)

──そうですね。人手が足りずエンジニアが焼きそば屋台に駆り出されて不満が募ったというエントリも話題になりましたね。

鋼兵 朝8時から並んでたお客さんが会場に入れたのが昼の1時とかで。ゲートが2つしかなくて、スタッフも2人しか配置されてなかったんだよね。その体制で10万人をさばこうとしてたっていう、「えー!」っていう状況で。あれはひどかったっすね。

──それと比べると、経験が蓄積されて運営のレベルは上がってきてる、ということですね。
超フードコート(C)niconico

超フードコート(C)niconico

鋼兵 フードコートが売り切れにならなかったのも良かったですね。前なんて、「オウムライス」とか数時間でなくなってましたからね。
前回の「ニコニコ超会議2015」で2年ぶりに復活した、『風の谷のナウシカ』王蟲(オウム)の形をしたオムライス

前回の「ニコニコ超会議2015」で2年ぶりに復活した、『風の谷のナウシカ』王蟲(オウム)の形をしたオムライス

──人出・物資ふくめて今まで以上に充実してきていますね。

鋼兵 最初の頃は、「ニコニコ超会議」って2時間までは楽しめたけど、3時間経つと飽きて帰っちゃったんですよ(笑)。今回は、余すことなく1日がっつり観られる内容が詰まってる。もちろん運営も、過去の反省を踏まえているんだろうし。

──飽きが来ないブースづくりや導線設計になっていると。

鋼兵 色んなブースがありすぎてユーザーを分散させてるっていう側面もあるけど、「これを観に来たけど、ついでにこれも観よう」って思えるようにわかりやすく配置されている。

今までだったら遠巻きに「あー人集まってんな。でも興味ないから近づかなくていいや」ってなってたのを「あれ何やってんだろ?」って近づいて観に行きたくなるようなつくり方のブースが多い。鉄骨渡りとか、鉄骨渡りとか(笑)。ドローンもそう、観に行きたくなりますよね。
「超アニメエリア」内『逆境無頼カイジ』の超鉄骨渡り(C)niconico

「超アニメエリア」内『逆境無頼カイジ』の超鉄骨渡り(C)niconico

こういうイベントってちゃんと刹那的な遊園地になんなきゃいけないんですよね。今までは単に展示会みたいだったけど、今回は遊園地になってる
超ドローン(C)niconico

超ドローン(C)niconico

運営とユーザーの「何が面白いのか」っていう認識がズレてる

──では、資本も入り運営レベルもあがって、「ニコニコ超会議」は着実に進化している、ということでしょうか?

鋼兵 いや、それだけじゃないです。ちょっと悲しいのは、超会議の最初のコンセプトって「ニコニコをリアルの場に出す」ってことだったじゃないですか。

今回の超会議はまとまっていて、良いブースもたくさんあるし、スペースも余すところなく使えている。でも、「これニコニコじゃないよな」っていう側面もある。

──具体的には?

鋼兵 生命保険会社がブース出してるなんて、何がニコニコだって話じゃないですか。あはははは(笑)。

──ニコニコユーザーとの親和性が高い、とは言えないかもしれないですね。

鋼兵 例えば、JALが協賛してるじゃないですか? それはそれでいいと思うしJALの考えもあるとは思うんだけど、今日(超会議当日)のために動画を2本公開して「はいニコニコに参戦したから仲間だよ」でいいのかって思う。
超・ネ申ヒコーキ operated by JAL

超・ネ申ヒコーキ operated by JAL

※JAL(JAPAN AIRLINES)は、「ニコニコ超会議2016」では超特別協賛・特別協賛につぐ協賛企業として名前を連ねている

──それは「あざとい」ということでしょうか? 「物足りない」ということでしょうか?

鋼兵 それが本当にみんなが観たいものなのか? ってことです。リアルタイムにニコニコから出てきたものってあるじゃないですか。例えば『syamu game』とか。いきなりだから無理ではあるんですけど、そういうものを観たいと思うんですよ。

──ステージイベントなどはどうですか?

鋼兵 ステージに出演している人も、どっちかって言うと、新進気鋭を使うんじゃなくて、ベテランの地位にいる歌い手を使ってるのが目立つ。そうじゃなくて、もっと今の勢いある人を使った方がいいんじゃないかと思いますね。

──驚きがない?

鋼兵 そうですね、「抜擢」っていうのが少ないのかな、と。メディアに大きく取り上げられる想定から、安定を求めちゃってるのかもしれない。だからキャスティングでも、冒険するんじゃなくて、一回使ったことある人を使う。

それこそ、超会議の前身の「ニコニコ大会議」の頃って「え、この人も出てるの!? 見たい!」って人が沢山いたんですけど、今は「まあこの人は出るよね」って人が大半。ニコニコの面白い人じゃなくて、全部プロに任せちゃってる。だって、中村獅童とかニコニコじゃないですよね。
中村獅童さん出演の超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」(C)niconico

中村獅童さん出演の超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」(C)niconico

──でも、今年も昨年に引き続き、GLAYのHISASHIさんとか、ニコニコでも人気の人も出演していますよね。

鋼兵 まあね。だから、アンケートとったら面白いのに。運営が「これをやるよ」じゃなくてユーザーが「これが観たい」というものを募るべきだと。絶対めちゃくちゃにはなるんですけど(笑)。

多分、今、運営とニコニコユーザーにとっての「何が面白いのか」っていう認識がズレてるから。だから、分かりやすいメジャーなとこにいっちゃうと。俺はもっと、ニコニコのアングラなものも出してほしいなーとも思っちゃう。

「もっとカオスでいい」

──今後「ニコニコ超会議」に期待したい部分はありますか?

鋼兵 「ニコニコ超会議」なのに「ニコニコ動画」だけに重きを置いていて、「ニコニコ生放送」と「ニコニコ静画」が外されてる感じがするんですよ。一応、「ニコニコ(niconico)」というポータルサイトとして、3つの看板でやってるわけじゃないですか。

でも、例えば「描いてみた」のおもしろい絵師もフィーチャーされてない。そこをフィーチャーするのも難しい部分はあるとは思うんですけど。生主の使い方も難しいんだろうけど、前より印象として大人しくなっちゃってる。

せっかく色んなことやれるようになったんだったら、参加してるユーザーのニーズを絞るでもなく、有名どころに頼るんでもなくて、やっぱり繰り返しになるけどもっと「ニコニコで求められてるもの」があるんじゃないかなとは思います。

頑張ってるなって思う部分もあるんですけどね。スローロリス使ったりとか。でも「そこじゃないだろ!」っていう(笑)。
スローロリス パワースポット(C)niconico

スローロリス パワースポット(C)niconico

──もっと違う形での、ニコニコ的な発展の仕方があるんじゃないか、ということですね。

鋼兵 昔だったら、ビリー・ヘリントンがそこら辺歩いてるというか。そういうギリギリの危なそうな感じのことが起こってたじゃないですか。見てるこっちが「大丈夫なのかな?」って思っちゃうようなことが(笑)。今は安全第一になっちゃってると感じる。もっとカオスでもいいんじゃないかと思いますよ。
2013年開催の「ニコニコ超会議2」で、突如登場し会場を沸かせたアメリカの元ポルノ男優・ビリー・ヘリントンさん

2013年開催の「ニコニコ超会議2」で、突如登場し会場を沸かせたアメリカの元ポルノ男優・ビリー・ヘリントンさん

一番人気の「ゲーム実況」を外したのは失敗

──指摘されている部分は違いますが、去年、以前ボカロコンテンツの現象を例に挙げた伊予柑さんの「ボカロが聞こえない超会議は、"日本の万博"になれるのか?」というエントリが一部で話題になっていましたね。

鋼兵 今のニコニコ自体がそういう状態だから、それが超会議にも表れてるんだと思う。

あと、超会議からゲームを弾いちゃったから。それはすごいデカいと思いますね。今一番流行ってるものを別枠にしちゃったけど、それはダメだと思う。

※2015年から、ゲーム実況をはじめとしたゲームに特化したイベント「闘会議」も始まっている。事実、「ニコニコ超会議2016」でネット来場者数が激減した理由として、「これまでニコニコ超会議で実施していたゲーム関連の生放送企画が闘会議に分散したため」だとしている ──鋼兵さんとしても、一番注目されているのは「ゲーム実況」なんですか?

鋼兵 いや、俺が注目してると言うより、数字的に明らかじゃないですか。「ゲーム実況」が一番盛り上がってる。だから、そこを超会議から切り離したらキツいと思うんですよね。

──では、個人的に注目されているジャンルはありますか?

鋼兵 「ゆっくり実況」とか「結月ゆかり」とかの「合成音声ですね。意外と、その辺はニコニコでも全然上位に上がってこない。

版権的にめんどくさいとかっていう事情はあるのかもしんないですけど、結月ゆかりと弦巻マキがしゃべってるニコニコの番宣とかもないんですよ。

あんだけ流行ってて、あれだけ数字を取れてるものを外すのかもったいない。

──「ゆっくり」も、長く続いているジャンルという意味でニコニコの顔ですもんね。

鋼兵 そうですよ。タグ検索でどれがクリックされたか調べられるサイトがあるんですけど、今ダントツで一番人気が「ゆっくり実況」なんですよ。ちなみにその次は『真夏の夜の淫夢です(笑)。

──相変わらず淫夢も強いんですね(笑)。

鋼兵 あはははは(笑)。でも、そういう一番クリックされているものを使わないのはどうなんだろう。

「ゆっくり」については少し前に騒動が起きたから、今は難しいのかもしれないですけど、問題になる前からも超会議では使ってなかったですからね。

もし本当に版権的な問題なんだとしたら、無駄なものに金を使わないでそっちに使ったらいいのにって思いますよ。あるいは「グレーでも使っちゃえ!」って、かつての「やっちゃえやっちゃえ」なドワンゴだったら言えたかもしれないけど、大企業と一緒になっちゃったからできないのかも。

そういう意味でも、KADOKAWAと組んだってのも大きいんじゃないかと思います。 ──ニコニコ超会議においてもその影響があるということですか?

鋼兵 ありますあります。金(資本)が違いますもん(笑)。やっぱり、昔のドワンゴとは違う。まあ企業として大きくなったら、これで正解なのかもしれないっすけど。

──いちユーザーとしてはそこが「寂しい」と感じる、ということですね。ずっとニコニコを見てきた古参ならではのお話だと思います。お忙しい中ありがとうございました。

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