連載 | #3 カイユウクリエイターズファイル

Bahi JD インタビュー オーストリア人アニメーターが辿り着いた日本とアニメ

──同時代のアーティストはどうですか? 日本のアーティスト・Houxo QueさんやTOKIYA SAKBAさんとの関わりもありますね。

Bahi JD はい! 彼らとは、友達という関係のレベルになる前は、インターネット上からずっとインスピレーションを受け続けていました。彼らと知り合って、アートやアニメーションについて一緒に話したい! と思っていたんです。

Houxo Queさんはペインターとして名が知られているけれど、実はアニメーションに対する知識や興味もすごく大きい。彼らとは、アニメという世界から出て、イラスト/現代アート/インタラクティブ・メディアなどの多方面の分野について話し合っています──もう彼らとは、すべてについて話す仲だよ(笑)。

左:Houxo Que 右:TOKIYA SAKBA の作品

たしか最初に、Houxo Queさんとはアニメーターの板野一郎について話した気がします。「板野サーカス」と讃えられる彼独自のスタイルは、アニメ界では有名ですが、本当にすごいんです。何個ものロケットが飛行機やロボットから発射され、それが飛び交うそのアクションスタイルがとても面白いね! と二人で話し合いました。音楽やアニメーション、映画の情報を友人とシェアしたり、交換するのが大好きなんです。

──アニメーターとして初参加した作品は何になるのですか?

Bahi JD 確か、高校を卒業するときくらいかな。アニメーション作品ではなかったけれど、『SKULLGIRLS』というビデオゲームの仕事をしました。動画や原画だと、細金卓矢さんが監督した「日本橋高架下R計画」が最初の仕事だったと思います。じん(自然の敵P)さんのボーカロイド楽曲のMVです。

日本橋高架下R計画 MV

Nihonbashi Koukashita R Keikaku from Takuya Hosogane on Vimeo.

──2012年の作品ですね。これ僕、マジで感動しました。この作品がアニメ初仕事だったとは。

Bahi JD いやあ、もう細金監督は本当にすごい方ですから(笑)。彼から仕事の依頼が舞い込んできたときは、「本当に?」と思うくらい驚きが大きかったですからね。なんせ、それまで僕はプロとしての仕事の実績なんて全く積んでいませんでしたから。

ちょうど同じころに、今は作画監督として活躍しているCindy H. Yamauchi(山内英子)さんにも、プロとして仕事がしたいという意志を伝えていましたね。彼女には、2年ほど前から連絡をとり、年ごとに自分の作品を送り、がんばって上達を見せました。僕はどうしてもアニメーション業界と繋がりたかったから、あらゆる手段でコミュニケーションをとって、コネクションづくりに励みました。

ようやくある日、彼女から仕事にできるレベルに到達していると言われて──その準備もできているよとコメントをもらい、今も一緒に仕事させてもらっています。

COWBOY BEPOP 天国の扉

最初のテレビアニメの仕事は『COWBOY BEPOP 天国の扉』の監督も務めた渡辺信一郎さんのプロジェクト『坂道のアポロン』ですね。

そのプロジェクトに携わる前に、細金監督との仕事経験からアニメ制作のプロセスについて教わっていたので、それを活かしながら仕事ができたからよかった。本当に、細金監督、そしてプロジェクトに関わったチームからは多くのことを教わったよ。

──細金監督は師匠のような存在?

Bahi JD まさしく師匠ですね。細金さんだけではなく、毎回プロジェクトに参加すると、監督たちは僕に何かを学ばせようとする。ただ単に、この仕事をしろと命令をするのではなく、僕に何かを教えようとしてくれます。経歴の長い師匠のような存在の方々と仕事ができるのは最高ですね。

──それらの制作も遠隔で行っていたんですよね。

Bahi JD SkypeとかGoogleドキュメントなどのアプリを駆使して、全部インターネットで完結できました。

ただ、僕が今いるキャリアステージや年齢を考えたときに、スタジオに直接行って、チームみんなと会話をしながら進めたほうが習得スピードも速いと思います。自宅にいると、全部自分でやり、独学し、自分への励ましや頑張りもすべて一人でやるから……

できることなら、直接的に人々と関わったほうがいいと思う。スタジオにいると、ほかの素晴らしいアニメーターと休憩のときに気軽に会話を出来る環境にいるから、ディスカッションに発展することもあり、刺激的です。
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Bahi

アニメーター/イラストレーター

1991年生まれ。オーストリア在住のアニメーター。じん(自然の敵P)のMV「日本橋高架下R計画」やテレビアニメ『坂道のアポロン』に参加。その躍動感あふれる作画と出自もあいまって話題を集める。その後も『スペース☆ダンディ』『ピンポン THE ANIMATION』や『血界戦線』に参加し、その才覚とアニメーションへの情熱を遺憾なく発揮。期待を一身に集めている。

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3件のコメント

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CKS

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editoreal

AOMORI SHOGO

まだ日本いるからありえるかも?<MOGRA

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顔隠してるけどこの人こないだMOGRAにいなかったっけ?