ネットを具現化するバンド§✝§も出演! 「NOTHING FEST」独占ライブレポ

ネットを具現化するバンド§✝§も出演! 「NOTHING FEST」独占ライブレポ
ネットを具現化するバンド§✝§も出演! 「NOTHING FEST」独占ライブレポ

ネットカルチャーを体現するバンド・§✝§

世界の各地で、泡のようにアップデートを繰り返す無数の音楽シーンは、インターネットの登場により、国境を越えて広く届けられるようになった。

ここ日本においても同じく、J-POPの多様な音楽性が象徴するように、あらゆる地域や時代の音楽を取り込みながら、複雑かつ多様化していると言える。

そんな日本の音楽シーンに置いても、とりわけ異彩を放つ先鋭的な音響アーティストを集めたイベント「NOTHING FEST」が、4月18日、東京・練馬にある廃工場を改築した多目的空間・桜台 poolにて開催された。

ノイズ音楽レーベル・[…]dotsmarkの代表・平野Yさんらが中心となって開催された本イベントには、ノイズミュージックシーンをはじめ、メインストリームとは一線を画す、ガラパゴス的に進化を続ける音楽や音響表現を展開するアーティスト達が集まった。

今回は「NOTHING FEST」のライブレポートと共に、イベントのトップバッターを務めた、インターネットをコンセプトの源流とするバンド・§✝§(SAS、サス)のライブ映像を公開。また、平野Yさんのコメントも特別掲載する。

§✝§ & TSV - Hassen @ NOTHING FEST

§✝§を構成しているのは、バンド・de!nial(ダニエル)としても活動するswaptvさん、デザイナーとしても活動している50civlさん、同じくde!nialで活動しているさん、urauny名義で画家としても活動している侵理さん。

そして、ボーカルを務めるのは、DJとして多くのイベントに出演しているセーラーかんな子さんだ。

また、§✝§のライブで重要なストロボなど照明のオペレーションはPUNSUCA / TSVさんが手がけている。

インターネットをステージ上に具現化する

中心人物であるswaptvさんは、§✝§の活動はインターネット、とりわけブログ形式のSNSサイト・Tumblrの影響を大きく受けたと語る。

画像投稿を主としたTumblrは、Twitterなどと比べて、言語よりも視覚的な情報伝達に比重が置かれているため、言葉の壁が少なく、より世界をまたいでの感覚の共有がしやすいという。

実際に「NOTHING FEST」で披露された、§✝§のライブパフォーマンスは、言語表現への依存度は低く、インターネット音楽の先鋭ジャンルの一つであるウィッチハウスをベースに、照明や映像、コスチュームなど視覚的な表現アプローチが展開された。

インターネットが育む芸術

§✝§のメンバーである50civlさんは、4月に開催された展示「世界制作のプロトタイプ」の出展者でもある。

本展示には、DOMMUNEを手がける宇川直宏さんや、アーティスト集団・カオス*ラウンジでも活動している梅沢和木さんらが出展し、インターネットと密接に関わり合いながら、芸術活動をしているアーティストが集まった。

インターネットを源流とする§✝§のライブパフォーマンスも同様に、そんなインターネット世代がつくり出した、新たな作品表現のひとつと言えるのではないだろうか。

5月23日(土)に東京・代官山UNITにて開催される「The Release Party」では、§✝§がVJとして参加予定。

同イベントはPARKGOLFさんやSeihoさんら、インターネットを中心に人気を博しているアーティストをはじめ、「NOTHING FEST」にも登場したLLLLも出演予定。

また、5月6日(水)まで、東京・高円寺にあるAMPcafeにて、TSVさんの別名義PUNSUCAとしての展示やde!nialのライブが行われる「MODULATION GYMM展 3DAYS」も開催予定だ。

「NOTHING FEST」に集まった、気鋭のアーティスト達

straytone

straytoneさん / 写真提供・Yoさん

オープニングアクトを務めた§✝§の後に登場したのは、モジュラーシンセサイザーとテープレコーダーを使い音響表現をする、straytoneさん。会場には、アナログ機器ならではの、どこか有機的な温かさをもった音が心地よく響いていた。

康勝栄

康勝栄さん / 写真提供・Yoさん

続いては、4月24日に、ライブスペース「ヒソミネ」と、ソーシャルTV局「2.5D」によるストリーム配信番組『#band』にも出演を果たした、康勝栄さんが登場した。

自作装置とアナログミキサーを用いて、激しいノイズ音を会場に放った。オーディエンスからは、高鳴るノイズ音に興奮気味なムードが感じられた。

LLLL

LLLL

続いて、登場したのはエレクトロ・ポップ・アーティストの、LLLL(フォーエル)。

tofubeatsさんらを輩出したネットレーベル「Maltine Records」からのリリース経験もあり、また商業音楽なども多く手がけるトラックメイカーだ。

先ほどまでの、激しいノイズ音とは全く雰囲気の異なる、神秘的なダウンテンポな音楽を披露した。オーディエンスのムードもがらりと変わり、ゆったりと体を揺らし音楽に身を任せていた。
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