Napalm Death Is Dead with Leecher
Napalm Death Is Dead with Leecher
激しい音をかき鳴らすノイズグラインドバンド・Napalm Death Is Deadと、ノイズアーティスト・Leecherさんのコラボは無秩序のようで繊細に、それぞれの音が混ざり合っていた。体全体から発せられるシャウトに、会場は一気に盛り上がりを見せた。
黒電話666
黒電話666さん
卓上に置かれた改造された黒電話を巧みに使い、激しくも美しいノイズ音をつくり上げていく。ミステリアスな姿と、奇怪な黒電話によるパフォーマンスで、詰め掛けた観客を魅了した。
otori
otori
MASS PHALLOCENTRISM ATTACK
MASS PHALLOCENTRISM ATTACKさん(from ENDON)
激しいノイズ音と、口に含んだマイクが伝える呼吸音。
会場の緊張感が充満する中、オーディエンスの中へ分け入ってきた時には、ライブというよりはひとつの舞台演目を見ているかのような感覚を覚えた。
PAINJERK ELECTRO-ACOUSTIC SLUDGE DITHER TRANSFORMATION SMEAR RAVE DECOMPOSITION
PAINJERK ELECTRO-ACOUSTIC SLUDGE DITHER TRANSFORMATION SMEAR RAVE DECOMPOSITIONさん / 写真提供・Yoさん
意外な音楽表現と、ジャンルを超えたアプローチに集まった観客は驚きと共に、そのパフォーマンスに聞き入っていた。
AXONOX×DREAMPV$HER
AXONOX×DREAMPV$HER / 写真提供・Yoさん
心地よく混ざり合った、ビートとノイズ音は激しい音響表現であると同時に、快感を感じさせる音楽表現でもあった。
JUNKOさん / 写真提供・黒電話666さん
独創的なヴォーカルは、時に美しく、時に激しい。観客の心を揺れ動かすような、そんなエモーショナルな力が感じられた。
KazumaKubotaさん / 写真提供・Yoさん
切れ味の鋭いノイズ音や、深淵な重さを感じさせるノイズ音など、単にノイズと形容するだけでは足りない、複雑な音の広がりやそれに付随する音楽性を感じさせられた。
安達かおる&アビシェイカー / 写真提供・Yoさん
酷使される肉体と、それに呼応するかのような激しいノイズが共振する現場を安達さんのビデオカメラが捉える。その映像はプロジェクターに映し出され、激しいパフォーマンスが繰り出されると同時に、記録されてゆくという不思議な美しさを感じさせるグルーヴ感に会場が包まれた。
ノイズレーベル […]dotsmark主宰・平野Yさんが語る、「NOTHING FEST」が持つ意味
━━今回の「NOTHING FEST」の開催意図・狙いとはなんでしょうか?
平野Y 単純明快に五月蝿くて情報量過多な音響表現の、今日的な集まりというイベントにしたつもりです。
今回のフェスティバルは3分の2以上がノイズでしたが、「ノイズフェス」というような言い方での公式アナウンスは極力避けました。
ノイズを肯定することが本イベントの意図に含まれていたことは確かですが、「それがノイズである」というだけで何か意味が有るものであるかのようなアピールの仕方はしたくなかったし、ノイズ全体を代弁しようとして今回の企画を打った訳でもないからです。
それよりも前述の通り「単純明快に五月蝿くて情報量過多な音響表現の、今日的な集まり」という考え方でこのようなブッキングになった、という説明が自然です。
ですからこのイベントでは、ノイズもウィッチハウスもノイズグラインドもノーウェーヴも一つの切り口として捉えていますし、結果としてノイズの界隈が多く参加するのも当然だと考えています。もう一つのの狙いとしては「エクストリームの日常化」と言ったところでしょうか。
━━昨今のノイズミュージックシーンをどのように感じておられるでしょうか?
平野Y 充実していると思います。2年前に他サイトでも同様の話題でしゃべらせていただいたのですが、その頃と比べてもより充実している様に感じています。
SNSのおかげで情報の発信も入手も容易になりましたし、シーンが多様化・分裂してそれぞれ勝手に活動しているのが素晴らしいですね。
日本にはまともなメディアやガイドとなるものがほぼ皆無なので、ノイズというジャンルそのものに興味を持つと日本語だけで情報を集めるのは大変ですが、それはどのジャンルにおいてもいえることなので…。ノイズは基本的に国際的なジャンルなのですがヨーロッパやアメリカの方も熱いですね。
今の日本のちょっとしたノイズブームは表面的に見ればいわゆる80'sリバイバル、つまりニューウェーヴ/インダストリアルリバイバルとかインディーズリバイバルの巨大な潮流の中にあるという憶測ができなくもないのですが、少なくとも我々の周囲にはそういったものにあやかろうというムードはないです。
そういうムーブメントとは無関係にそれぞれ地道に活動していましたから。
じゃあ現代のノイズと目されるシーンで何が起きて、何がアップデートされていて、何に価値を問おうかという点についても、今回のイベントで検証なり表明できたと思っています。
多様な音楽・音響表現が披露された「NOTHING FEST」は、次回開催も予定されており、今後もノイズシーンやアンダーグラウンドシーン以外にも、多様なアーティストを紹介してくれるだろう。
※記事初出時、一部出演者名に誤りがございましたのでお詫びして訂正いたします
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