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概要
2017年(平成29年)、第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞する。
直木賞と本屋大賞のダブル受賞及び同作家2度目の本屋大賞受賞は、史上初である。また、第5回ブクログ大賞で小説部門大賞も受賞している。
音楽コンクールをそのまま、最初から本選までのすべてを小説として書くという着想を得たが、かなり難しく2009年に書き始めるまでに5年かかったと言う。ピアノコンクールを舞台としてそれぞれの関わりと過去と進行を描く青春群像小説。3年に1回、開催される浜松国際ピアノコンクールへ2006年第6回から2015年第9回まで、途中からは執筆に並行して、4度も取材。毎日、会場の座席で午前9時から夕方までピアノ演奏を聴き続け、この小説に結実した。
あらすじ
3年ごとの芳ヶ江国際ピアノコンクールは今年で6回目だが、優勝者が後に著名コンクールで優勝することが続き近年評価が高い。特に前回に、紙面だけでは分からないと初回から設けられた書類選考落選者オーディションで、参加した出場者がダークホース的に受賞し、翌年には世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝したため、今回は大変な注目を集めていた。
だが、オーディションの5カ国のうちパリ会場では、「不良」の悪名の審査員3人は凡庸な演奏を聴き続け、飽きて来ていた。だがそこへ、これまでにない今年逝去の伝説的な音楽家ホフマンの推薦状で、「劇薬で、音楽人を試すギフトか災厄だ」と、現れた少年、風間塵は、破壊的な演奏で衝撃と反発を与える。議論の末、オーディションに合格する。
そして日本の芳ヶ江市での2週間に亘るコンクールへ。
塵は師匠の故ホフマン先生と「音を外へ連れ出す」と約束をしていて、自分では、その意味がわからず、栄伝亜夜に協力を頼む。
亜矢は塵の演奏を聴いていると、普通は音楽は自然から音を取り入れるのに、彼は逆に奏でる音を自然に還していると思った。マサルは子供のころピアノに出会わせてくれたアーちゃん(亜夜)を出場演奏者に見つけ再会する。
3人の天才と年長の高島明石のピアニストたちが、音楽の孤独と、競争、友愛に、さまざまに絡み、悩みつつ、コンクールの1次2次から3次予選そして本選へ、優勝へと挑戦し、成長して、新たな音楽と人生の地平を開く。
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