アニメや出版業界の主要18団体が10月31日(金)、「生成AI時代の創作と権利のあり方に関する共同声明」を発表した。
声明は、ChatGPTの開発で知られるOpen AI社が9月末にローンチした映像生成AI「Sora 2」をめぐり、著名な作品に酷似した生成物が確認されている現状を受けたもの。
「Sora 2」は著作権や肖像権についてオプトアウト方式(※)で運用されており、声明は著作権法の原則に基づくオプトイン方式の徹底と、学習データの透明性確保を求めた内容となっている。
※権利者が反対を表明しない限り同意したものとみなす方式
「オプトアウトは権利侵害につながる」KADOKAWAや講談社、スクエニが声明
声明は、日本動画協会、KADOKAWA、講談社、小学館、スクウェア・エニックスなど、アニメ/漫画/出版分野の主要企業や団体が連名で発表。
生成AIの進展を歓迎しつつも「著作権侵害を容認しないという原則」を改めて確認すると明言した。
発表された共同声明/画像は講談社より
その上でAI事業者に対して、学習および生成/公開の各段階で権利者の許諾を得ること、学習データの透明性を担保すること、権利者に対し適正な対価を還元することを求めている。
さらに、「オプトアウトが原則では権利侵害につながる」として、AI事業者側が積極的にオプトインを申請し使用許諾を得るべきと主張している。
一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構も同様の声明を発表
この声明に先立って10月28日には、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)もOpen AI社に対し、「Sora 2」の運用に関する要望書を提出している。
CODAは同要望書で、「Sora 2のように特定の著作物が出力として再現・類似生成されている状況においては、学習過程での複製行為そのものが、著作権侵害に該当し得る」と指摘している。
CODAは集英社、講談社、小学館などの出版社や、スタジオジブリ、アニプレックスといったアニメ制作会社、テレビ局、芸能事務所など36社が会員企業となり構成している団体。
今回の共同声明は、先日のCODAの発表内容を改めて強調するものと見られる。
【10月31日19時追記】集英社も声明を公開
10月30日、集英社も「生成AIを利用した権利侵害への対応について」と題した声明を公開(外部リンク)。
生成AIの進化について、「より多くの人々が創作の喜びを分かち合い、創作物を享受できるようになる社会は歓迎されるべき」としつつも、「それが、心血を注いで作品を作り上げた作家の尊厳を踏みにじり、多くの人々の権利を侵害することのうえに成立してよいはずはありません」と強調した。
集英社は、AI事業者側が「早急に『オプトアウト方式』以上の実効的な侵害対策、権利者に対する救済策を打ち出さない限り、コンテンツ産業の基盤を揺るがし続ける生成AIサービスを利用した侵害のスパイラルは止まらない段階にきています」とコメント。
「法整備を含め、コンテンツ保護に向けた国家レベルでの対応も不可欠」と主張している。
 
      この記事どう思う?
関連リンク
 
        
 
         
         
         
         
         
               
  
0件のコメント