音楽ユニット「Empty old City」インタビュー 時代に囚われない“作品主義”の徹底

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オグマフミヤ

4曲をかけて一つの物語を描く新EP『From Noir into Clair』

──新EP『From Noir into Clair』では、4曲が一つに連なったコンセプトEPという新たな試みに挑戦されています。今回のコンセプトに至ったきっかけや経緯を教えてください。

Neuron 現代って毎日、誰かしら好きなアーティストの新曲が出て、リスナーも新しい曲をどんどん聴ける時代じゃないですか。

もちろんそれはそれで面白いと思いつつ、そのサイクルだけに縛られるんじゃなく、「時間をかけて大きな作品に向き合いたい」「ドッシリと腰を据えて制作したい」と思ったのが、今回のコンセプトEPの出発点です。

コンセプトEP『From Noir into Clair』ジャケット写真

Neuron 同時に、これまでEmpty old Cityでは、1曲単位でストーリーや世界観、それらに準ずるサウンドデザインを考えてきたんですが、そういった制作を「複数曲に跨がっていてもできるのでは」と思い至って。

たとえば、自分の頭の中にあるストーリーを楽曲に落とし込むとして、1曲にまとめる場合は「この部分に焦点を当てるしかない」みたいなことがよくあるんです。

でも、複数の曲で一つのストーリーを描くなら「この曲ではここに焦点を当てて、次の曲では別の部分に焦点を当てて……」みたいに、もっと深掘りすることができる。

そういった流れで、今回コンセプトEPを制作することになりました。

コンセプトEP『From Noir into Clair』ティザー

Neuron 今回のEPを通しで聴いてみると、各曲のサウンドやメロディにそれぞれ特色がありながらも、全体的に一貫性があるように感じられるかと思います。

リード曲「From Noir」のフレーズが他の楽曲で再登場したり、また別の曲同士で共通のメロディを使っていたりするんです。その上で、それぞれの楽曲が、ゲームや映画のサウンドトラックのように形を変えて、一つのストーリーを演出しています。

ぜひ、13分間、『From Noir into Clair』の世界を深く堪能してほしいです。

──先ほどおっしゃられた通り、現代は毎日のように新しいコンテンツが生産され、同時にものすごい速度で消費されていく時代だと思います。そんな中で「時間をかけて一つの作品に取り組む」という、ある種時代に逆行した方針を選ぶことに対して、不安や葛藤などはありましたか?

Neuron むしろ、解放される気分というか、目まぐるしさから一息つけるという感覚の方が大きかったですね。

自分の性格的にも、手広くいろんなことをやるというよりは、一つのことにのんびりコツコツと向き合う方が向いていると思うので。

今回のように、一つの作品に何ヶ月も取りかかれるという機会ができたのは良かったです。Empty old Cityらしいことをしているなという実感もありました。

──先に述べた時代の流れもあり、より短くよりキャッチーな、言わばタイパ(=タイムパフォーマンス)を重視した楽曲も数多くヒットしています。お二人はこういったシーンをどう見られていますか?

Neuron 今はそういう時代だよなと思って傍観しているというか。

たとえば「冒頭数秒でリスナーの心を掴まないといけない」みたいな意識で音楽制作するのは、それはそれで面白いのかなとは思っています。 僕自身はあまりそういうことを考えないんですけど。

kahoca 私もそういう曲を好んで聴くことも多いですし、Empty old Cityがやりたいこととは違うけど、それはそれで素敵だなと思っています。

Neuron 僕らとしては、流行りのラインに乗れば成功、乗らなければ失敗、みたいな話ではないので。たとえEmpty old Cityの音楽性やスタイルが流行に乗っかりづらいとしても、それを気にせずに楽しんでくれる人が日本や世界にたくさんいることは実感しているんです。

なので、僕らは僕らで、ひっそりとできることを、できる規模感で目指してやっていけばいいかなと思っています。

kahoca Empty old Cityにみんなが求めていることと、自分たちがやりたいことが一致してれば、それでいい。だから、そんなにそのシーンに対しての焦りとかは感じていないんです。

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イベント情報

Empty old City 2nd ONE-MAN LIVE

開催日時
2026年5月8日(金) OPEN 18:00 / START 19:00
金額
¥6,600(税込)+1ドリンク
会場
Spotify O-EAST
受付期間
〜11月3日(月・祝) 23:59

関連キーフレーズ

Neuron(ニューロン)

コンポーザー/音楽プロデューサー

Empty old CityのComposer / Producer。ユニットとしての活動に加え、外部アーティストへの楽曲提供も行う。花譜「ひとえに壊れて」「黄金の木」「アポカリプスより」「ホワイトブーケ」、明透「illumina」、Albemuth「Replica」、琶舞「Symbiotic Dominion」、梓川「uni」、V.W.P「神話」理芽&幸祜「甘粒」を提供。

kahoca(カホカ)

ボーカル

Empty old CityのVocalとして活動。鳴潮同人スペシャル番組『ソラリスシーサイドストーリー』タイアップソング「Summertime Polaroid」の作詞・歌唱を担当。KAMITSUBAKI STUDIO と”Kazuhide Oka”がタッグ組んだインディーゲームと音楽のプロジェクト「ANMC」では、「アウトライン・シーサイド」「また旅はネコミミと」「二人だけの物語」を歌唱。明電舎 Pixel Singer Project では「電鉄ちゃんのうた」を歌唱。

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