「おねがいマイメロディ」という女児向けアニメの達成
マイメロ関連アニメで最も知名度が高いのは、2005年4月から2009年3月まで4期にかけて放送されたTVアニメシリーズ「おねがいマイメロディ」でしょう。
それ以前に、アニメ映画『マイメロディの赤ずきん』があったり、最近ではショートアニメ『KUROMI'S PRETTY JOURNEY』などの展開はあります。
ただ、「おねがいマイメロディ」シリーズは多くのサンリオファン──女児から大人たちにまで──大きな衝撃を与え、以降のサンリオアニメ(『ジュエルペット』『ミュークルドリーミー』など)の作風が自由になったきっかけでもある、エポックメイキングな作品でした。
TVアニメ「マイメロディ」シリーズ
アニメで物語を展開することによって、マイメロとクロミの関係性、キャラクター性を視聴者に認知させたのも、今後の作品展開やキャラ人気において重要な点でしょう。
見た目のかわいさはもちろんのこと、アニメで描かれた真っすぐと言いたいことを言うメンタリティが、マイメロとクロミの人気を支えているのですから。
余談ですが、マイメロやクロミのキャラクター性から派生または飛躍して、一部の層でいわゆる地雷系や病み系の象徴=アイコンとして紐づけられるようになったのも興味深い現象です。
「おねがいマイメロディ」の森脇真琴監督は、『おるちゅばんエビちゅ』『探偵オペラ ミルキィホームズ』『プリパラ』などの作品を手がけたアニメ監督。
実はクロミというキャラクターは、「おねがいマイメロディ」から生まれたアニメオリジナルキャラクター(※)で、名付けたのも森脇監督だと言われています(外部リンク)。
「自称マイメロディのライバル」と紹介されているクロミ/画像はサンリオより
(※)なお、クロミの著作権等については、現在サンリオと「おねがいマイメロディ」シリーズを制作したアニメ制作会社・スタジオコメットの間で係争中です。
森脇監督はハイテンポな会話から発生するシュールなギャグ、子ども向けアニメでは一般的な、50話前後という放送期間を活かした超多様なキャラクターづくりを得意としています。
「おねがいマイメロディ」シリーズについても、その特徴が顕著に表れています。
「おねがいマイメロディ」になくて『My Melody & Kuromi』にあるもの
ただ、いわゆる作画や動画といったアニメーションの観点から見ると、「おねがいマイメロディ」はクオリティのインフレが止まらない現代の作品と比較すると物足りなさは否めません。
それ故に、本来アニメーションによって引き出されるであろうキャラクターの魅力や内面・感情が表現しきれなかったという惜しさもあります。
対して『My Melody & Kuromi』は、「純粋な動きの面白さ」について、徹底的なこだわりを見せた作品でした。このアニメーションとしてのクオリティの追求は、サンリオアニメにとって大きな革新です。
本作を制作したのは、WIT STUDIO内のストップモーションスタジオ・TORUKU。監督をつとめたのは『PUI PUI モルカー』で名をとどろかせた見里朝希さん。
『PUI PUI モルカー』は2021年に第1期、2022に第2期が放送され、瞬く間にヒット。フェルトでつくられたかわいいモルカーたちが感情を露わに暴れる姿が、大人から子どもまで多くの層に愛されました。
当時、誰もがあのモルカーの動きまくる顔と体に感動したはずです。本来は感情を見出しにくいモルモット(と車)に、あそこまで感情を吹き込めたのは、アニメーションの力によるものだと考えます。
そして『My Melody & Kuromi』にも、そのような感情表現がたくさん盛り込まれています。

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