早川書房の文芸誌『SFマガジン』2025年8月号が、小説家のウィリアム・ギブスンさんを特集する。
SF小説『ニューロマンサー』原書刊行から40年。そこに遺された都市の幻影、表現の残響は、いまなお人々を惹き付けてやまない。
今回の特集では「スプロール」三部作の新版刊行を記念し、各種インタビュー、エッセイ、ブックガイドなどから、ウィリアム・ギブスンさんの著作が持つ現代的価値を多角的に明らかにする。
後世のサイバーパンクに大きな影響を与えたウィリアム・ギブスン
ウィリアム・ギブスンさんは、『ニューロマンサー』『カウント・ゼロ』『モナリザ・オーヴァドライヴ』の「スプロール」三部作で知られる小説家。
「スプロール」三部作の第一作である『ニューロマンサー』は1984年に発表された長編小説。
サイバネティクス技術が発達した世界を舞台にしたSFジャンルであるサイバーパンクの代表的な作品として知られ、「電脳空間(サイバースペース)」などの単語を世に広めた。
電脳空間に名付けられた「マトリックス」という呼称や、ザイバツ、ヤクザなどの用語が飛び交うエキゾチックな日本描写など、後世のSFで描かれるディストピアの世界観に大きな影響を与えている。
現在でもウィリアム・ギブスンさんは作品を執筆。
2014年に刊行した『The Peripheral』は、2022年に『ペリフェラル ~接続された未来~』としてAmazon Prime Videoで映像化されている。
Apple TV+は『ニューロマンサー』の映像化を配信予定
『ニューロマンサー』はネビュラ賞、フィリップ・K・ディック賞、ヒューゴー賞というSF小説の代表的な賞を受賞。3つの受賞は史上初の出来事だった。
日本では黒丸尚さんによって1986年に邦訳が刊行。また、2024年に『ニューロマンサー』の映像化をApple TV+が発表し、2025年3月には出演陣などの続報も報じられている。
なお、「スプロール」三部作は新装版が新たに刊行予定。『ニューロマンサー』は8月6日(水)に刊行が控えている。
今回の『SFマガジン』での特集はそれに合わせたものになる。
特集では、ウィリアム・ギブスンさん自身へのメールインタビューや、アメリカ文学者の巽孝之さんによる評論などを掲載。
ウィリアム・ギブスンさんの著作が持つ現代的価値を多角的に明らかにする。なお、表紙絵はイラストレーターのえすてぃおさんが担当している。

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