竜闘虎争のトレーディングカードゲーム(TCG)戦国時代において、20年以上の歴史を持つ古豪が『デュエル・マスターズ』だ。
相手プレイヤーを守るシールドを全て破壊し、直接攻撃すれば勝利という単純明快なゲーム性。ドラゴンや悪魔、天使とワクワクするモチーフのクリーチャーたち。両面カードに五枚が1つに合体するカード、三枚折りのカード、カレーパンの匂いがする(!?)カードなど、奇想天外なギミック──TCG界でも特異な魅力を放つタイトルである。
『デュエル・マスターズ』
また、YouTubeを介した情報発信/交流の活発さも『デュエル・マスターズ』の特徴。
公式チャンネル「デュエチューブ」では新カードの情報解禁、カード開発の裏話や背景ストーリーの解説など、公式ならではコンテンツを積極的に展開。
対して、UUUM所属のシモカワチャンネルやカードゲームショップ・flat-工房、ブロガー・デネブログ、プロプレイヤーのZweiLance選手らを筆頭に、プレイヤー側も『デュエル・マスターズ』を題材にした動画を精力的に投稿。
各々YouTubeというメディアを介し、ファンコミュニティを形成している。
『デュエル・マスターズ』において、ここまで動画文化が隆盛を見せているのはなぜなのか。当事者たちへのインタビューを通じて紐解いていく。
企画/取材/編集:都築陵佑 文:オグマフミヤ
目次
開発者デッドマンが語る『デュエマ』×YouTube創成期
現在、チャンネル登録者数15万人超を誇る『デュエル・マスターズ(以下、デュエマ)』公式チャンネル「デュエチューブ」が開設されたのは、意外にも2021年と最近のこと。
「デュエチューブ」メンバーにして、『デュエマ』開発者のひとりであるデッドマンさんは、立ち上げ期をこう振り返る。
『デュエマ』の開発者のひとりであるWizards of the Coast社のデッドマンさん
「もともと、公式としてYouTube上で情報を発信すること自体は10年近くやっていて。僕が開発に加わった2014年ごろには、新商品を使った対戦動画なども公開していました」(デッドマン)
ただ、それらはあくまでも『デュエマ』の販売元であるタカラトミーや原作漫画が連載されている『コロコロコミック』(小学館)のYouTubeチャンネル内の一コンテンツだった。
「箱として『デュエマ』の公式チャンネルをちゃんとつくるべき」──デッドマンさん自身は長らくそう考えていたという。その想いは、『デュエマ』20周年記念企画の一環として実現することになる。
「これまでは、新カードの紹介やそれらを使った対戦動画など、“公式側が見せたいもの”だけを発信していたんです。しかし、改めてゼロからYouTubeチャンネルを立ち上げるとなると、ユーザーが本当は何を望んでいるか、試行錯誤しながら見極めなければなりませんでした。なので、立ち上げ初期の動画は、今見ると迷走してるかもしれません(笑)」(デッドマン)
そもそも、デッドマンさん自身も、『デュエマ』の開発元であるWizards of the Coast社に入社する前は、YouTube上で対戦動画を公開していた有名プレイヤーの1人であった。
「僕が一プレイヤーとして動画を投稿していた十数年前は、YouTube上でカードゲームを取り扱うチャンネルはカードゲームショップさんのものくらいで。僕はその後追いとしてやっていただけだったんです」(デッドマン)
「しかしここ数年、シモカワチャンネルさんにflat-工房さん、Zweilanceさんらのように、『デュエマ』が好きで『デュエマ』に関する動画を発信してくれる方がどんどん増えていきました。これはもう、本当にただラッキーなことだったと正直思っています。だからこそ、そのラッキーを『デュエチューブ』では活かすべきだと思いました」(デッドマン)

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