最近、誰も彼もがライダーキックのイラストや写真を投稿しているような?
イラストには「空N」という謎の文字。何かの暗号でしょうか……?
この流行の起源には、20世紀から続くシュールな伝統とゲームクリエイターたちの工夫がありました。
漫画家・ichikaの投稿から話題「ピカチュウの空N」とは何か?
今回の流行の発端となったのは、漫画『寿司ガキ』などを連載する漫画家・ichikaさんの10月23日の投稿。
「スマブラ64のピカチュウの空Nいつ見ても面白い」との一文とともに、ピカチュウが開脚したシュールな画像が添付されたこの投稿は、執筆時点で8.6万いいねを記録。
マッチョな鳩胸、ピンと張った足先や描き込まれた膝が妙にリアル。「スマブラ」シリーズのピカチュウってこんなでしたっけ?
この画像のポージングを真似た投稿が大いに流行。Xで「空N」と検索すると様々なキャラクターに(半ば無理やり)ライダーキックのようなポーズを取らせたイラストが多数投稿されています。
同じくichikaさんも、24日にはにじさんじのルンルンさんにポーズを取らせたイラストを投稿しています。
その起源は、25年周年の大人気シリーズ「スマブラ」の初代に遡る
『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』は1999年に発売された対戦アクションゲーム。
NINTENDO64向けに発売された大人気ゲームで、初代の登場は特に衝撃的でした。当時は自分のコントローラーを持参して、友だちの家に集まってプレイしたものです。
そう、今回話題になっている「ピカチュウの空N」とは、ピカチュウの空中ニュートラル攻撃のこと。ジャンプ中に3Dスティック(これまた懐かしい単語!)を、どの方向にも入力しない状態でAボタンから出せる攻撃で、発生時間が長いのが特徴です。
発端となった画像と比べてみると、デフォルメは効いていますがあながち間違いでもない……。
そのシュールな見た目は以前からネタにされており、ゲーム実況者・幕末志士さんの2014年の動画でもサムネとして採用されています。今から10年前の動画ですが、動画投稿当時でも発売から15年経過してたんだよな。
「表現はオーバーにして丁度良い」ゲームクリエイターたちの創意工夫と努力
なぜこんなシュールなポーズが生まれたのでしょうか。
ねずみがモチーフということもあり、本来手足が短いデザインのピカチュウ。
そんなピカチュウがなぜキックをしているのかについては、当時の3DCG表現の限界およびカセット容量の都合から察するに余り有りますが、真実は開発者のみが知ります。
しかし、一見長すぎるようにも思えるオーバーな足の表現にはヒントが。
「スマブラ」シリーズの生みの親として知られるゲームクリエイターの桜井政博さんは、YouTubeに「やり過ぎてちょうどよい 【モーション】」と題した動画を投稿しています。
動画で桜井政博さんは、一見すると人間の体の構造を無視したかのような3Dモデルのモーションがどのような意図でつくられているのかを解説。
概要欄にも「CGだから、要素がボロボロ落ちる」「表現はオーバーにしてちょうどなんですよ!!」と力強い言葉が並んでいます。
キャラクターの行動や仕草をわかりやすく伝えることが求められるゲームのモーション。今回の流行も、クリエイターたちの努力や創意工夫が生み出したものだといえるかもしれません。
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