「あの祠を壊したんか!?」
近頃、SNSを中心になぜか祠が壊されています。なんと罰当たりな……。あくまでネット上の言葉遊びとして楽しんでいただきたいところです。
祠を破壊するという行為──怪奇小説や映像作品などではお馴染みのシチュエーションだといえますが、どうしてまたSNS上で注目を浴びているのでしょうか。
無精髭に長髪の喫煙者30代男性「あの祠壊しちゃったの?」が発端
今回の祠ブームの火付け役となったのは、TRPG配信をしている文町さんの、10月9日のXへの投稿。
「爺さんに『あの祠を壊したんか!もうダメじゃ!』って言われるよりも、無精髭に長髪の喫煙者30代男性から『あー、あの祠壊しちゃったの?それじゃもうダメだね。君、たぶん死ぬ』って言われる方が無理」と投稿。
TRPGのシナリオでは、怪奇や怪物、幽霊といった超常的な存在に対処するようなシチュエーションも多く、そうしたTRPGプレイヤー的な想像力がSNSのユーザーのリアクションを誘いました。
「無精髭に長髪の喫煙者30代男性」のファンアートや、他のセリフやシチュエーションなどが引用RT等で集まり、執筆時点で18万いいねを叩き出しています。
「祠」ミームの流行に、インフルエンサーたちも反応
こうした「祠(破壊)」ミームの流行に対して、インフルエンサーたちも次々に反応を行いました。
例えばにじさんじ所属のVTuber・周央サンゴさんは「祠ガチャ」と題した企画でライブ配信を実施。
配信には様々なにじさんじのライバーたちが登場。
文町さんの投稿通り「君はもう死ぬ」と告げるおじさんを引き当てるまで祠を壊し続ける──という内容になっています。
近年、強い人気が続く物語ジャンル“因習村”とは?
こうした「祠」ミームの流行は、以前から続くムーブメントと接続して考えることができます。
近年、TRPGにおいて「クトゥルフ神話TRPG」や「エモクロアTRPG」のようなホラーや怪異を扱ったシステムがインターネット上でも人気に。
映像作品においても『ミッドサマー』や『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のような作品は、因習が残る村を扱った物語の類型「因習村」として認知され、関連する投稿は都度話題を呼んでいます。
ほかにもドラマ「トリック」シリーズや、横溝正史さんのミステリ小説など、「因習村」という言葉が広まる以前から、“独特の風習が重要な役割を果たす隔離された村(空間)”を扱ったミステリやホラーの作品群は人気を集めてきました。
(それらをひっくるめて「因習村」という名前で呼び、ミームとして扱うことの是非は一考の余地がありますが)今回の「祠」ミームの流行も、人々が持つ「こことは違うどこか」への好奇心や想像力がもたらした結果だといえそうです。
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