内閣府による特設メタバース空間「ぷらっとば~す」について、ここ数日、様々な意見を見聞きした方は多いだろう。
5月1日〜31日までの期間でオープンし、当初は目立った反響はなかったが、26日に社会学者・古市憲寿さんがXで「信じられないくらいやばいサービスです」と投稿した後、一気に注目を集めた。
その後、主にユーザー同士の会話が禁止されていたことや、入場時間が10時〜18時までと限定的な点に対するネガティブな意見がSNSに多くの投稿されている。
結果的にポジティブな印象を残したサービスとは言い難い結末になったわけだが、そもそも内閣府の孤独・孤立対策推進室は、ユーザーがどのように利用することを想定していたのか?
そうした疑問を窓口に問い合わせた結果、回答が送られてきたため、これを掲載する。
「終盤の利用者の多くには意図が理解されていなかった」
──「孤独・孤立対策強化月間」に対して、なぜこの「ぷらっとば~す」を立ち上げようと考えたのでしょうか?
内閣府担当者 孤独/孤立対策の広報の一環として実施しました。具体的には下記の通りになります。
・政府の孤独・孤立対策の基本情報の広報
・5月中に孤独/孤立の問題についての社会の理解を深めるために行った各地NPO等の活動の見える化
・孤独/孤立の問題に関する理解者を広げるためのイベントの開催
・孤独/孤立に悩む方に対する相談員による相談場所
・孤独/孤立対策の重要な担い手であるNPO向けの情報発信
これらをワンストップで提供できないか検証する観点で、メタバースは広報のツールとしてもポテンシャルが高いと考え、今回採用しました。
──「ぷらっとば~す」内でコミュニケーションが禁止されている意図が、利用者に正しく伝わっていなかったように思います。
内閣府担当者 誰しもが利用できる空間として設計しましたが、実際に孤独/孤立状態にある方や、他者とのコミュニケーションの苦手な方にあわせて、相互のコミュニケーションは不可としました。
メタバースの通常の使い方とは異なる活用であることは認識の上で、利用者の安全性確保を最優先する運用としていました。
終盤の利用者の多くには、その意図が理解されていなかったと思われます。
「ゆるいつながりの空間とすることを想定」
──「ぷらっとば~す」は、孤独・孤立の対策にどのように役立てようと想定していたのでしょうか?
内閣府担当者 先ほどの回答と重なりますが、メタバースは広報のツールとしてもポテンシャルが高いと考え、今回採用しました。
政府から発信する情報はURLなどが散逸して分かりづらいと考えており、一つの空間から様々なリソースにアクセスできるところに注目したためです。
参加者同士のコミュニケーションというメタバースの大きなメリットをあえて活用していないため、変則的な活用であることは認識しています。
──インターネットユーザーが最も活動するのは一般的に夜帯だとみられますが、なぜ開場時間を10時〜18時までにしたのでしょうか?
内閣府担当者 空間内に、ルールに沿った利用をお願いする監視員を配置するなど、利用者の安全性確保を最優先とする運用としたことを踏まえ、開設時間は午前10時から午後6時の8時間としたところです。
──「ぷらっとば~す」を、ユーザーにどのように使ってもらおうと想定していたのでしょうか?
内閣府担当者 「ぷらっとば~す」空間自体は、そもそも長時間入室して楽しめる空間になるようには設計しておらず、ふらっと立ち寄って、少し見たらふらっと去っていく──というような、ゆるいつながりの空間とすることを想定していました。
1カ月限定オープンされたメタバース空間「ぷらっとば~す」
「ぷらっとば~す」は、内閣府の孤独・孤立対策推進室が提供していたメタバース空間。
孤独・孤立の問題を抱える当事者、その周りの方やNPO等の団体を含め、誰もが気軽に立ち寄れる空間を目指して開発された。
「孤独・孤立対策強化月間」に定められている5月に合わせて、5月1日~5月31日まで提供された。
期間中は空間内に孤独・孤立に関する相談窓口が開設され、自治体・NPO等の取組を紹介するなど、様々なイベントやセミナーを実施していた。
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