VTuberを学問へ──『VTuber学』刊行 哲学やジェンダー論の専門家が分析

VTuberを学問へ──『VTuber学』刊行 哲学やジェンダー論の専門家が分析
VTuberを学問へ──『VTuber学』刊行 哲学やジェンダー論の専門家が分析

総合学術書『VTuber学』

VTuberの総合学術書『VTuber学(仮)』が、7月に岩波書店より刊行される。価格は未定。


日本から広がり、今や世界的なカルチャーとなったVTuber(バーチャルYouTuber)。


『VTuber学(仮)』は、そのVTuberの今後のさらなる発展を見据え、総合的な「学問」として確立することを狙いとした学術書となる。


刊行決定を記念して3月10日(日)には、企画発表会がYouTubeにてライブ配信される。

各分野の専門家がVTuberを分析『VTuber学』

『VTuber学(仮)』は、「VTuberことはじめ」「VTuber学①(調査・研究編)」「VTuber学②(理論編)」の全3部、13章で構成。


社会学、人類学、哲学、文化論、ジェンダー論、観光学、エンタメビジネスなどの専門家が、それぞれの視点からVTuberを現象として分析する。

総合学術書『VTuber学』刊行決定記念 企画発表会

3月10日(日)の企画発表会には、発起人・編者である岡本健さん、山野弘樹さん、著者の一人でありVTuberのバーチャル美少女ねむさんの3名が登壇。


刊行の意図や執筆陣の紹介、制作の進捗状況などを元にトークを繰り広げる。「企画発表会」の模様はYouTubeで無料で視聴できる。

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書籍情報

岩波書店 VTuber 総合学術書『VTuber学』(仮)

刊行時期
2024年7月初旬予定
判型・頁数
A5判・350頁程度予定
価格
未定
版元
岩波書店

■第1部「VTuberことはじめ」
VTuberについて、その発端から歴史的展開、ビジネス的な特徴など、多様な観点から解説する。初心者も安心のVTuber論。全4章。

1章:広田 稔
パノラプロ代表取締役。アスキー、アスキー・メディアワークス(現KADOKAWA)にて雑誌の編集者、ウェブ媒体の編集記者を経験後、独立。アップルやニコニコ動画、初音ミクなどを専門に取材する中、昨今のVRムーブメントに出会い、2013年より取材を始める。その後、専門媒体の必要性を感じて2014年11月に「PANORA」を立ち上げ、VRエバンジェリストとして活躍。VTuberムーブメントも初期から注目し、キズナアイらトップランナーにインタビューして業界を伝えてきた。
・X:https://twitter.com/kawauso3

2章:吉川 慧
(同上)

3章:草野 虹(くさのこう)
福島県いわき市出身。音楽・アニメ・VTuberを中心に、『Real Sound』『SPICE』『KAI-YOU』『Rolling Stone Japan』など様々なメディアで活躍するライター/インタビュアー/コラムニスト。音楽プレイリストメディア・Plutoではプレイリストセレクターとしても活動している。
・X:https://twitter.com/kkkkssssnnnn

4章:バーチャル美少女ねむ
メタバース原住民にしてメタバース文化エバンジェリスト。「バーチャルでなりたい自分になる」をテーマに2017年から美少女アイドルとして活動している自称・世界最古の個人系VTuber。著書『メタバース進化論』(2022年、技術評論社)で「ITエンジニア本大賞2023」ビジネス書部門”大賞”を受賞。国連の国際会議「IGF京都2023」に登壇。MoguLive VTuber Award 2023では「今年最も輝いたVTuber」に選出された。
・X:https://twitter.com/nemchan_nel
・researchmap:https://researchmap.jp/nemchan_nel

■第2部「VTuber学①(調査・研究編)」
様々な分野の研究者がそれぞれの専門の観点からVTuberを読み解く。社会学・人類学・ジェンダー・表象文化などからの現代社会への問いかけ。全4章。

5章:岡本 健
(同上)

6章:池山 草馬
1994年生まれ、和歌山県那智勝浦町在住。2022年に大阪大学人間科学研究科博士前期課程を修了(人間科学修士/人類学)。会社員として勤めながら、大阪大学大学院工学研究科に招へい研究員として在籍。主にVRChatを対象として、デジタルな人工物と人間との関係性に着目した人類学的研究を行っている。アバターは、主に二足歩行リアル猫を用いている。
・researchmap:https://researchmap.jp/sativus_sataivus
※アバター:©suzuki2n

7章:リュドミラ・ブレディキナ
マルタ大学の博士課程在籍。エスノグラフィーの手法を通じて、男性の”kawaii”とバーチャルなジェンダー表現について研究している。2021年、バ美肉と伝統的な日本の演劇に関する修士論文でジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル」を受賞。翻訳された「要約「バ美肉――バーチャル・パフォーマンスの背後にあるもの。技術と日本演劇を通じたジェンダー規範への異議申し立て」」は『現代思想』に掲載された。
・X:https://twitter.com/BredikhinaL

8章:関根 麻里恵
早稲田大学、十文字学園女子大学、文化服装学院などで非常勤講師を務める。2020年学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得退学。修士(表象文化学)。専門は表象文化学。著書に『ポスト情報メディア論』(共著、ナカニシヤ出版、2018年)、『ポストヒューマン・スタディーズへの招待――身体とフェミニズムをめぐる11の視点』(共著、堀之内出版、2022年)、『ゆさぶるカルチュラル・スタディーズ』(共著、2023年、北樹出版)などがある。
・X:https://twitter.com/mariekr430
・researchmap:https://researchmap.jp/marie_sekine

■第3部「VTuber学②(理論編)」
VTuberとは一体どのような存在なのか。
哲学を専門とする執筆陣による、学術的分析の成果。全5章。

9章:山野 弘樹
(同上)

10章:富山 豊
千葉工業大学情報科学部教育センター准教授。2016年、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻哲学専門分野博士課程修了。博士(文学)。専門はフッサール現象学。著書に『フッサール 志向性の哲学』(2023年、青土社)、『ワードマップ現代現象学 経験から始める哲学入門』(共著、2017年、新曜社)がある。
・researchmap:https://researchmap.jp/YutakaTomiyama

11章:篠崎 大河
慶應義塾大学大学院文学研究科哲学・倫理学専攻後期博士課程在籍。2023年、慶應義塾大学院文学研究科哲学・倫理学専攻修士課程修了。修士(哲学)。分析哲学の手法を用いて、意識の形而上学および価値論に取り組むかたわら、現代形而上学を応用したポップカルチャー研究も試みている。
・X:https://twitter.com/taiga_shinozaki
・researchmap:https://researchmap.jp/shinozakitaiga

12章:松本 大輝
東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程満期退学。東京女子大学、千葉大学で非常勤講師を務める。哲学・美学に依拠しつつ、視覚的フィクションのあり方や芸術作品の存在論を研究。美学理論をスポーツや現代のポップカルチャーなどの様々な領域へと拡張する可能性も追究している。
・researchmap:https://researchmap.jp/hirokimatsumoto

13章:本間 裕之
東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程在籍。桜美林大学で非常勤講師を務める。2015年、東京大学文学部卒業。修士(文学)。13世紀末の後期スコラ哲学におけるヨハネス・ドゥンス・スコトゥスの思想を中心に研究に取り組んでいる。著書に『世界哲学史 4 中世II 個人の覚醒』(共著、2020年、筑摩書房)がある。
・X:https://twitter.com/spt__dormi
・researchmap:https://researchmap.jp/h-homma

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