「著作者人格権の不行使」迫る契約に注意喚起
著作者人格権とは、自分の著作物を公表するかどうか(公表権)、著作者名を表示するかしないか(氏名表示権)を決定し、著作物の内容などを自分の意に反して勝手に改変されない権利(同一性保持権)を指す。
小学館の編集者たちの声明を受け、画家やイラストレーターがSNSで、著作者人格権と契約の問題について言及。
『映像研には手を出すな!』の大童澄瞳さんは、「イラストの仕事とかしてると契約書にしれっと『イラストの作者は著作者人格権を行使しないこと』ってかなりの確率で書いてあって、いつも普通に『ここ書き替えてください』って突っ返してる」と自身のXにポスト。
また、イラストレーターのlackさんは、「イラストレーターは契約書で不行使を契約させられるのがほとんどなんだよなぁ・・ツライ」と業界の実情を明かした(外部リンク)。
このように、「著作者人格権を行使しないこと」を確約する条項について注意喚起が行われている。
雛形を半自動で作成できる著作権契約書作成支援システム
文化庁では2006年度から、著作権契約書の雛形を半自動で作成する「著作権契約書作成支援システム」を文化庁の公式サイトで公開。
このシステムは、口頭での契約も多い一般人同士の著作権を想定して開発されたもの。画面の案内にしたがって項目を入力/選択することで、契約書のひな型を作成できる。
雛形はイラストの作成や原稿の執筆のほか、講演や演奏会、写真撮影や舞踊といったケースを想定。
例えば原稿の執筆依頼では、原稿の分量や納入期限、利用目的や対価だけでなく、著作権の移転をするかどうかまで設定し、契約書を作成できる。
なお、「システムが提供するのはあくまでも契約書案ですので、実際に利用する場合は内容をよく理解した上で利用者の責任で使ってください」との但し書きがなされている。
文化庁では「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」も公開中
同じく文化庁のWebサイトでは、「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」と題したページが公開中。
これは、文化芸術分野における契約や活動に関係して生じる問題やトラブルについてまとめたもの。
「『契約』とはつまりどういうことですか」といった基礎的な質問から、「所属事務所との間で専属契約期間中ですが、事務所を辞めたいです。どうしたらよいでしょうか」といった詳細な疑問までQ&A形式で回答を掲載。
なお、こちらのQ&Aは一般的な解釈に基づく情報を掲載。具体的な事情や契約の背景により結論が変わる可能性があるとの注意書きが付されている。
前述の「著作権契約書作成支援システム」を含め、具体的な契約の詳細については、弁護士に相談することが推奨される。
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