「Shutterstock」でイラストの無断販売が横行 画像素材サービスに注意

「Shutterstock」でイラストの無断販売が横行 画像素材サービスに注意
「Shutterstock」でイラストの無断販売が横行 画像素材サービスに注意

左右反転・色調補正した上で無断販売されているとみられるVTuber・星街すいせいさんのイラスト(本来の作者はイラストレーター・Li Flagさん)/画像はShutterstockのスクリーンショットより

近頃、「ストックイラスト」「ストックフォト」などイラスト・写真素材の販売サービス(以下、画像素材サービス)において、著作権侵害を巡るトラブルが相次いでいる。

9月4日、ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する光インターネット回線「NURO 光」のX(旧Twitter)広告に、イラストレーター・minamoさんのイラストが無断で使用されていると判明して騒動に。

minamoさんからの連絡を受け「NURO 光」側が調査したところ、該当のイラストは、米Shutterstock社が運営する画像・動画素材などの販売サービス「Shutterstock(シャッターストック)」でロイヤリティーフリーの素材として無断で販売されていたことが発覚。

その素材を広告代理店が購入し、オンライン広告のクリエイティブに使用したことが明らかとなった(外部リンク)。

目次


「Shutterstock」で無断販売されているイラスト

既存作品の無断販売と思われる素材が散見

今回の事態を受けて「NURO 光」側はminamoさんに謝罪。利用料の支払いなどを含め、すでに当事者間で和解が済んでいる。騒動の発端となった「Shutterstock」の素材も削除された。

しかし「Shutterstock」に関しては、その他にも既存作品の無断販売と思われる素材が散見されており、SNS上で物議を醸している。

左右反転・色調補正した上で無断販売されているとみられるももこさんのイラスト/画像は「Shutterstock」のスクリーンショット

少なくともKAI-YOU編集部は、Li Flagさん、ももこさん、Mika Pikazoさん、儀式さんといったイラストレーターの作品が、左右反転や色調補正され、「Shutterstock」で販売されていることを確認した。

「Shutterstock」を巡っては、過去にも、フリー素材サイト「ぱくたそ」の写真が無断販売されたほか、VTuber結目ユイさんのイラストが無断販売および購入された結果、CDジャケットになって発売されるといったトラブルも起きている。

なお、「Shutterstock」の公式サイトには、同サイトに投稿された素材を審査する際、「コンテンツの商標または知的財産権を侵害している可能性、著作権を侵害している可能性」も考慮していると明記されている(外部リンク)。

デザイナー「『NURO 光』の騒動は決して他人事ではない」

物議を醸す「Shutterstock」

納期が短い、素材を新たに制作できるほどの予算がないといった理由から、広告代理店含むデザイン業界において重宝されている画像素材サービス。

人員や予算などが潤沢な大企業はともかく、中小企業や個人事業主のデザイナーにとっては欠かせない存在だ。素材を投稿・販売するクリエイターの立場から見ても、これら画像素材サービスは有力な収益源のひとつとなっている。

しかしその一方、悪意を持った第三者が既存の著作物を無断販売しているケースも存在しており、プラットフォーム側の対応がそれに追いついていないのが現状だ。

「職業デザイナーの多くは、画像素材サービスで販売されている素材の中に、権利関係が危ういものが存在していることを認識していると思います」

そう話すのは、都内のIT企業につとめるデザイナーの男性(20代後半)。

KAI-YOU編集部の取材に対し、「『NURO 光』とminamoさんの一件は、デザイナーにとって決して他人事ではありません」と警鐘を鳴らす。

デザイナーが語る、権利侵害を避けるための対策

Shutterstock「アニメ 美少女」の検索結果。既存IPのキャラクターと思われるイラストも散見されている/画像はスクリーンショット

無断販売されているものか、あるいは権利侵害していないか──画像素材サービスを利用する際に、それらを見極める術はあるのだろうか? 前出のデザイナーが説明する。

「まず、使いたい素材を投稿した人物が、他に投稿した素材を確認するようにしています。一覧で見たとき、イラストの絵柄や画風、写真・動画のジャンルなどがあまりにもバラバラで統一感がない場合、無断販売の可能性を警戒して、別の素材を探します」

その上で、「必ず、事前に使いたい素材のプレビュー画像をGoogleなどの画像検索サービスで検索する」ことを心がけているという。

「特にイラストの場合は、画像検索すると絵柄や画風が近いものがヒットして、原作者を辿りやすいんです。その原作者と画像素材サービスに投稿している人が同一人物かどうかもチェックします」

しかし、こうした対策を徹底したとしても、完璧にリスクが回避できるとは限らない。

知らず知らずのうちに、自分も無断販売だったり、権利侵害している素材を使ってしまうかもしれない。正直、日々不安と隣り合わせです」と不安を口にした。

現在KAI-YOU編集部は、直近の騒動や他の無断販売の現状について、米Shutterstock社に問い合わせているが、現在までに回答はない。

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