aespa「Spicy」
aespaは、大手企業のSM Entertainment所属アーティストを一つのフィクション世界—“KWANGYA”—に集めるという、膨大な《SM Culture Universe》計画の核心として生まれた新人グループでした。しかしSM Ent.は今年、経営権をめぐる紛争で世間を騒がせました。それと同時に《SM Culture Universe》計画も有耶無耶になったようです。
そんな混乱の中で生まれたaespaの新曲「Spicy」は、「Savage」で見せた刺激的なサウンドと分裂的な展開を残しつつも、“KWANGYA”から一定間自由になった活気が溢れます。
K-POPの演技的なフィクション性が、現実の騒動と連携して動き出すことを露骨に示す、興味深い事例でしょう。
fromis_9「Attitude」
fromis_9が、活動5周年目にしてようやく初のレギュラー・アルバムを出しました。「Attitude」は、その新たなチャプターへの決意を見せるオープニングとしては最適な洗練さです。
チーム結成初期、「DKDK」や「LOVE BOMB」の明るい鮮やかさとはまた異なるテイストが滲み出ます。
UKベースのビートにグリッチポップな質感、繊細に重なるオートチューンごもったハーモニー、高音程のフィルイン──「今日私は旅立つさ」とシックに積むコーラスに入る反転、「静かに弾けるこの花火」とのごとくミニマルに打ち込む重低音のダブ・ビートなど、様々な音楽的技巧が飽きずに耳を惹きつけます。
NewJeans「ETA」
NewJeansの新EP『Get Up』に関連した活動で面白かったのは、企業との取引を前面に出してアプローチするところです。『パワーパフガールズ』のライツで新たなシンボルを生み出したり、本曲「ETA」ではiPhone 14 Proで撮影されたことが大々的にプロモーションされました。
オルタナティブな道でポップなアイコン性を獲得する道筋や取り組みにはいつも驚かされます。
すでに「Attention」「Hype Boy」「Ditto」などでNewJeansと最高のケミストリーを見せた250さんのプロデュース、独自のラップ・テクニックとポップさを兼備したBeenzinoさんの作詞など、楽曲クレジットもまた注目すべきでしょう。
レイヴ/クラブ・チューンの音を軽めにして負担を減らした編曲、フックソングに具体的な状況で抒情性を植え込むヴァースから、その影響が映ります。
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:9173)
最新の流行を網羅したよい記事だと思います。
ただ、H1-KEYやEVERGLOW、KISS OF LIFE、ICHILLIN'に触れられていないのが個人的には残念でした。