VRChat「ぽこピーランド」はクリエイターの夢──制作に1年を要した可能性の世界

音楽チーム 玉田デニーロさん/nerdwitchkomugichan/コイデシュンペイさん/桶田知道さん「僕らだけ参加して、まだ2ヵ月なんです」

「ぽこピーランド」は、SEやBGMなど、様々な音に彩られている。

シームレスに区画された広大なワールドだが、音楽が変わることで「あ、いまエリアが変わったんだな」と直感的に分かるように設計されている。

玉田デニーロさん

そんな数々の音楽を手がけたのが、玉田デニーロさん、nerdwitchkomugichanコイデシュンペイさん、桶田知道さんの4人だ。桶田知道さん以外は、ピーナッツくんのアーティスト活動も支える音楽家たちでもあり、ピーナッツくんの3rdアルバム『Walk Thorug The Stars』での功績も記憶に新しい。
ピーナッツくん×nerdwitchkomugichan対談「めっちゃ広い世界と、狭い世界の話をしよう」
桶田「僕はデニーロさんの大学の後輩で。ぽこピーの2人が“レンタルぽこピー”をやっているときに『ピピピピーナッツくん』のオケ制作をやらせてもらったのが、関わらせてもらった最初のきっかけです」
ポピー the クラウン(日本語訳ver)【ピピピピーナッツくん】
玉田デニーロ「桶田くんはここ以外の制作でも一緒になることもあり、その腕を見込んで今回お誘いしました。今回僕はぽこピーランドの音楽監督として楽曲周りのディレクション、作曲やミックスなどを担当させてもらいました」

桶田「実際の遊園地でも実は結構音楽って鳴っていて。USJでたくさんshazamしましたね」

「短期決戦で、一人では絶対につくりきれないのと、複数人で関わることによってアイディアの広がりが欲しかった」として仲間を集めたという玉田デニーロさん。短期決戦というと、音楽チームはいつごろからワールド制作に参加したのだろうか。

玉田デニーロ「2023年1月で、めっちゃ最近なんですよ。2ヵ月前くらい。さっきぬるもとさんが『もうつくりはじめて1年になるんですよ~』って話してて、そんなにやってるんだって思いました(笑)

ピーナッツくん「正直に申し上げると、音楽面を疎かにしていたナッツ(汗)。フリーBGMでいいか~って思ってたんですよね^^ そんな甘い考えがゆえに、依頼が遅くなったナッツ!」 一同「(爆笑)」

VRワールドといえば、まずデザインやモデリング、ギミックなどが目立つが、音楽もその世界を構成する大事な要素となる。ピーナッツくんもはじめてのワールド制作ということで、気が回らなかったという。

ワールド制作初挑戦は、音楽チームも同じこと。音楽チームは全員がバンド活動や他アーティストへの楽曲提供を行っている。しかし、BGMやSEの制作は初めてのことだった。

nerdwitchkomugichan「もちろんバンドの音楽制作とは全然違って。でもピーナッツくんのおかげで、ヒップホップのビートをつくるようになった経験がすごく活きたっすね。あとはもともとゲームやゲーム音楽は大好きで興味は強くあったから、上手くハマったと思ってます」

玉田デニーロ「元々ゲームのBGMや劇伴が好きだったのもあり、どのようにして作られているのかを調べたりもしていました。今回はそのインプットが役に立った感じです」

なんと音楽チームは玉田デニーロさん以外、VRChatにログインできる環境を持っていないらしい。DiscordでVRChatの様子を中継しながら取材させていただいた。

nerdwitchkomugichan「でも僕は直接ワールドに入れてないから、実際にランドを体験することができてなくて……。今みたいに中継してもらったり、もらった動画を観ながらイメージを膨らませていった感じです」

玉田デニーロ「若者の集うストリートをイメージした“豆下通り”には、komugichanにキュートなフューチャーベースをつくってもらってます。本当に納品が早くて助かる!」

nerdwitchkomugichan「エリアを歩いている動画を送ってもらって、すぐにイメージが出来たおかげでこの曲は一晩で完成しました。というか、ずっと想像はしてたんですけど音楽が実装されてからははじめて観るから──今めちゃくちゃ感動してます(涙)

ピーナッツくんのこれまでのアルバムを体験できる施設も

ちなみにコイデシュンペイさんは音楽チームの「顧問」だという。実際には何をされているのだろうか。

コイデシュンペイ「ちょっとギターを弾いているのと──バイブス担当ですかね?」

玉田デニーロ「(笑)。いやでもかなり重要な立場で、この中でも随一の”考察厨”なんですよね。実際に制作で手を動かしている人が踏み込めない領域まで聴いて、フィードバックをくれるというか」

例えば、入り口のワープの音について聞くと、コイデさん曰く「“転送”って感じで“ワープ”とはちょっと違うかなあ…」というような意見を出してくれるという。マニアックだ。

コイデシュンペイ「はい。カスタマー目線というか、厄介なオタク目線でいろいろ意見させてもらってます!」

玉田デニーロ全く忖度してくれないので、助かってます

ピーナッツくん「ぽこピーランドを、音楽面からどう見せていけばいいのかっていうことも一緒に考えてくれたナッツ。ぽこピーランドのテーマソング『お気楽KING』もみなさんからのアイディアだったナッツ」 テーマソング『お気楽KING』はnerdwitchkomugichanがプロデュースし、玉田デニーロさんがミックスを手がけている。「ぽこピーランド」内でも聴くことができるのだろうか。

ピーナッツくん「実はまだ、どう使うとかまでは考えてないナッツよ(笑)」

玉田デニーロ「もしランドの中でイベントやったりする時がくれば、みんなで歌って踊ってもらえたら嬉しいですよね。ピーナッツくんのこれまでの楽曲の中でも、特にいろんな人と共有しやすい曲になってると思うんです」

nerdwitchkomugichan「全然つくったことないタイプの曲だったんで、結構大変だったすね。これをつくってる時は、自分の思う"踊れる曲"とか"みんなで盛り上がれる曲"を車でもライブハウスの楽屋でも延々と聴いていて……普段はあんまりそういう曲を聴かないので、バンドメンバーやスタッフに心配されました(笑)」

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2件のコメント

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匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6658)

めちゃくちゃ良い記事でした。VR chatの環境がない状態ですがいつか必ず行きたい場所です。ほぼファンメイドという、ぽこピーのオタクが輝いていますがそうさせる魅力のあるぽんぽこさんとピーナッツくんは本当にすごいです。わくわくするような記事を書いていただきありがとうございました。

匿名ハッコウくん

匿名ハッコウくん(ID:6656)

素晴らしい記事でした。めちゃめちゃ面白かったし期待が爆発してます!はやく行きたい!